夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

伯母のこと(その3)

2007年06月28日 | まるっきり非映画
伯母が亡くなってから、明日でちょうど1週間になります。
思い出話をあと少しだけ。

伯母をはじめとして、母方の一族はかなり天然ボケが入っていると思います。
一族をひと括りにしてはいけませんが、私も含めてということで。

いつだったか、伯母が「新しい扇風機がほしい」と言い出しました。
電器店に並ぶ扇風機を見ながら、
「どんな機能が付いてるのがいい?」と聞いたら、
伯母はひと言、「インターネット」。
インターネット付の扇風機はないで、伯母ちゃん。
結局、リモコンのまちがいだったんですけど。

ある日、職場に寄ってくれた伯母に、
カレイの干物をおすそ分けしました。
帰宅すると、留守電に伯母のメッセージが。
「干物をありがとう。一緒に入ってたん、
なんや白いキレイな食べ物やけど、これは何かな」。
慌てて伯母に電話しました。
「伯母ちゃん、それ、保冷剤やで。食べたらあかん!」。

間一髪のところでした。私の帰宅後の返事を待ちきれず、
保冷剤の袋を開けて、ガラスの容器に移した伯母は、
お隣の人にそれを見せて聞いたそうです。
「これ、姪がくれたんやけど、なんやわかれへんねん。
どないして食べたらええんやろ」と。
お隣の人曰く、「さぁ、わさび醤油でもつけたら美味しいんとちゃう?」。
保冷剤と気づかず、食べようとする伯母も伯母ですが、
お隣の人もお隣の人です。

黒豆を炊いた母が、伯母にも食べてほしいと言いました。
出勤途中、タッパーに入れた黒豆を伯母に届けると、
伯母は「これ、美味しい飴やから食べて」と、
私に小さな缶を持たせてくれました。

職場に着いてから缶を開けてみたら、
そこには飴ではなく、アリナミンAが。
可笑しくて、伯母に電話しました。
「伯母ちゃん、これ、飴とちゃうで。アリナミンAやで」と言ったら、
伯母も笑いながら、「そやったん。ごめんね。それでね、
あんたのお母さんがくれた黒豆やねんけど、
これ、どう見ても、黒豆やないねん。椎茸に見える」。
母よ、椎茸を渡してどうする。
姉妹ともにボケボケです。

葬儀の日、昼食のお造りに目が点になりました。
なんと大胆な盛りつけ。ひとり分ずつ、保冷剤の上に、
じかに刺身が盛られているではないですか。
伯母が保冷剤を食べかけた話を知っているのではないかと思いました。

保冷剤は空の上でも食べたらあかんで、伯母ちゃん。
わさび醤油つけても、美味しないからね。
忘れへんよ、伯母ちゃんのこと。

伯母のこと(その2)

2007年06月21日 | まるっきり非映画
今週初め、伯母に会いに行きました。

宙を見つめていましたが、
「来たよ」と声をかけた瞬間、伯母が泣き出しました。
一緒に泣いてしまいました。

涙が落ち着いたあと、口を開くのも辛そうなのに、
いっぱい話をしてくれました。
伯母が特に楽しげに話していたのは、
お気に入りだったイタリア料理店のことです。

マンションの6階に住む伯母は、
廊下側へ出れば見えるそのお店が大好きでした。
ランチタイムで混み合うお店を階上から眺め、
お客さんが引けてきた頃を狙って、
ひとりのランチを実に楽しんでいました。

そのお店のディナータイムに、
伯母が倒れる数週間前、一緒に行ったことがあります。
あれやこれやとアラカルトで飲んで食べ、
ワインもたくさん飲んだ伯母は、
「ひとりで来たらいろいろ食べられないもんね。
こんなに食べられて嬉しかった」と幸せそうでした。

先月、私がそのお店におじゃましたさい、
伯母と、数回訪れただけの私との繋がりなど
お店の方は覚えていらっしゃらなくても当然だったのに、
帰り際、マスターが「伯母さん、どうしてはります?
そろそろ来てくれはる頃かと思ってるんですけど」と
声をかけてくださいました。

病室で伯母にその話をしたときのなんと嬉しそうな顔。
「あと2回ぐらいは行けると思ってたのにね。
行けなくて残念やなぁ。本当に楽しいお店だった。
小さな町の小さなレストランだけど、
ずーっと頑張ってほしいって言っておいてね。
みんなであのお店に行ったら、私のことを思い出してね」。

そんな話のあと、伯母が私の顔を見て、
「あんたも行きそうやな」と言うので、
「え?どこへ?」と聞き返しました。
しかし、何が言いたかったのか、伯母自身もわからない様子だったため、
「私も逝きそう?そしたら、私も伯母ちゃんと一緒に逝くわ。
空の上で一緒に誕生祝いしよ」と言ったら、
「そやねぇ。楽しそうやねぇ。あのお店、あるかな」と伯母。
空の上にも開店してくださいって、伝えるよ。

「また来るね」と言うと、
「ありがとう。そのときはもう息がないかもしれないけど、
来てくれたら嬉しいわ」。
そして伯母は、こう続けました。

「この世の中に楽しくないことなんて
 ないんじゃないかと思うぐらい、毎日楽しかった。
 いろいろ楽しい話ができてよかった。いい日だった」。

そう言って、伯母は目を閉じました。
今晩、空へ行ってしまうかもしれません。

伯母のこと(その1)

2007年06月20日 | まるっきり非映画
今日は映画と関係ない話をさせてください。

私には大正生まれの伯母がいます。
7人の兄姉妹を持つ母の、長姉であるその伯母は、
2005年に倒れて以来、病院に留まり、
もうじき息を引き取ろうとしています。

生涯独身を通し、マンションにひとり暮らし。
ハイカラで旅行好き。海外へ行くこともしょっちゅう。
世間でインターネットという言葉が常識となった頃、
英文タイプに慣れ親しんでいた伯母は、
パソコンなんて自分にとってはお手の物だと思ったらしく、
「インターネットをしてみないと死ねない」と言い出しました。
届いたパソコンを嬉々として触ってみましたが、
まずマウスが上手く使えません。

自分に操れて当然だと思っていたパソコンが
まったく言うことを聞いてくれなくて、
伯母はイライラし通しでした。
自分ができないのは私の指導が悪いせいだとばかりに、
パソコン教室に通い始めましたが挫折。
生協のお兄ちゃんが指導を試みるも、すぐにお手上げ状態に。

そしてようやく、高齢になってからのパソコン操作は
意外と難しいと悟ったらしく、やけに素直になりました。
「何度も教えてくれてるのに、すぐに忘れてしまってごめんね。
私がアホやから、ようできんでごめんね」と。

できることだけしよう。当たり前のことですが、
お互いにそう思ったらイライラすることもなくなり、
ふたりのパソコン教室も楽しくなりました。
あれこれ操作はできないから、ここをクリックするだけね。
やがて、メールの送受信だけはできるようになりました。
ただし、ローマ字入力しかできません。
文字入力の変更の仕方をすぐに忘れてしまうから。

こうして、伯母から毎日、ローマ字メールが届くようになりました。
今日の阪神、がんばったねとか、
サヨナラ負けでけったクソ悪いとか。

「ローマ字だけのメールなんて、
みんな読みづらいって言わはるねん。
ちゃんと日本語で入力できるようになりたいわ」。
そう口にしたことも何度かありました。
「ここを押したらええだけやねんけどね」と言うと、
「そやったね。でも、また忘れるからええわ。
私はこのままローマ字で通すわ」と笑っていました。

今から思うと、ちょっと寂しそうな笑顔でした。
みんなができることだったんだもの。
兄弟姉妹のゴッドマザー的存在だった伯母は
できるようになりたかったのかもしれません。
ちょっとぐらいビシッと、覚えるまで言ったほうがよかったかな。

続・ブリーフのどこが悪い。

2007年06月14日 | 映画(番外編:映画と下着)
ブリーフの話のついでに。
上下揃いの色の下着を身に着けていないと、
なぜかその日一日落ち着かない私。
一般的には、下着が上下揃いかどうか、
気にする人のほうが多いんでしょうか。
それとも、気にしない人のほうが多いんでしょうか。

いつだったか、あるテレビ番組で、
国生さゆりがこんな話をしていました。
交際していた男性と、ひと晩を共にすることになり、
脱ぐ前に自分の下着が上下ちがう色であることにハタと気づいたそうです。
しかし、帰るわけにもいかず、観念して脱いだら、
相手の男性がドン引きだったとか。
その日の彼女の下着は水色とピンク色だったそうです。

自ら気づいて脱ぐことを躊躇したり、
相手がドン引きしたという話からすれば、
やっぱり気にする人のほうが多いのかな。

ところで、下着の色を見て私がドン引きした映画といえば『ディパーテッド』(2006)。

マフィアの一員で、警察に潜り込んだコリンと、
警察官で、マフィア組織に潜り込んだビリー。
コリンの恋人でありながら、
ビリーにも惹かれるのが精神科医のマドリン。

コリンは彼女にひと目惚れ、速攻で口説きにかかります。
表向きはエリート特別捜査官ですし、
口説かれればまんざらでもなく、
じきにコリンとマドリンはつきあい始めます。

一方のビリーは、表向きはならず者。
誰も頼れない状況下で精神的苦痛が増し、
マドリンのもとへカウンセリングに通ううち、
彼女といることに安らぎを感じるようになります。

下着の色に「マ~ジ~で~?」と目が点になったのは
ビリーとマドリンのベッドシーン。
脱ぎ始めたマドリンの下着は、あろうことか、
白のブラジャーに黒のTバック。
私としては、絶対考えられない組み合わせ。
まぁ、どうせ脱ぐんだから何でもええけど、
白と黒って、なんでなの。

映画に登場する下着のシーンって、結構おもしろいので、
ぜひぜひご注目ください。

ブリーフのどこが悪い。

2007年06月12日 | 映画(番外編:映画と下着)
風邪で有休を使うのが惜しくて、
熱が出ようが、嘔吐くぐらい咳が出ようが出勤し続けた結果、
2週間以上経つ今も治らず、6月は映画とご無沙汰の日々。
今日は小ネタで済ませます。

こんなところで言うのもなんですが、
女性同士の下着談義はかなり盛り上がります。
下着の捨てどきには結構迷うもの。
紐が多少伸びようが、レースに穴が開こうが、
捨てられずに着用してしまう人も多いです。
これって、脱がなあかんことになったとき(いつやねん)、
そう簡単には脱げませんね。

私は上下揃いの色の下着を身に着けていないと、
なぜかその日一日落ち着きません。
揃いの色というのは普通のことかと思っていましたが、
数ヵ月前、何気なくその話をしたら、盛り上がりまくり。
そんなこと、気にしたことがないと言う人も、
揃いで買ってみようかなと言い出しました。

なんで小ネタに下着の話なんだと言われたら、
今月はDVDをレンタルする元気がなくて、
昔のビデオを引っ張り出して香港映画を観ていたら、
ブリーフのオンパレードだったから。
以前「ブリーフの似合う人」で書きましたが、
香港映画って、マジで、脱ぐシーンのある男優はみんな、
白のブリーフを穿いてるんです。

風邪で虚ろな目にも白のブリーフは強烈だったので、
何か理由があるのかなと思って検索してみました。
そしたら、真偽のほどは定かではありませんが、
「白のブリーフじゃないと検閲に引っかかるのかも」という説が。
そうかなぁ、白のブリーフのほうが生々しいやん。

さらに調べてみたところ、
香港ではブリーフは若者の下着、トランクスはオッサンの下着だと。
お国柄っておもしろい。
日本では数年前のワコールの調査で、
女性が男性に穿いてほしい下着のタイプとして
ブリーフと答えた人はわずか5%だったのですから。
香港映画大好きな私はブリーフ肯定派です。
ブリーフのどこが悪い?

目を釘付けにするブリーフに関心のある方には
『ブエノスアイレス』(1997)と『美少年の恋』(1998)をお薦めしておきます。
ただし、生々しさに覚悟が必要。

男性の下着と言えば、思い出す話がひとつ。
その昔、大学生だった弟が洗車をしようとして、
ウエス(ぼろ布)がないかと母に尋ねました。
母が出してきたのは父のトランクス(当然、穿き古し)。
広げてみて、弟がボソッとひと言。
「原形そのままって、なんか嫌やな。別にええけど」。