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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『28年後...』

2025年07月12日 | 映画(な行)
『28年後...』(原題:28 Years Later)
監督:ダニー・ボイル
出演:ジョディ・カマー,アーロン・テイラー=ジョンソン,ジャック・オコンネル,アルフィー・ウィリアムズ,レイフ・ファインズ他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
ダニー・ボイル監督のことは結構好きですが、前作の『28日後...』(2002)と『28週後...』(2007)は観ていません。
だってその頃の私はまだホラーが苦手でしたから。
今はホラーも躊躇なく観に行くようになって、話についていけるかなぁと思いつつ、予習もせずに鑑賞しました。
 
冒頭、大勢の少年と少女がひとつの部屋で肩を寄せ合って“テレタビーズ”を観ています。
部屋の外では何かが起きているらしく、子どもたちは不安でいっぱいの顔をしているけれど、
出てきてはいけないと親から言われているのか、懸命にテレビ画面に集中しています。
しかし、そんな努力も空しく、ドアが破られてゾンビのごとき大人が殺到。逃げ惑う子どもたち。
次々と捕まって無残に噛みつかれるなか、ジミーという少年だけが生き延びます。
 
そして場面変わって28年後。
てっきり上記のジミーが大人になってゾンビと戦うのかと思っていたら、違うじゃあないか。
冒頭のジミーとちょうど同じ年頃の少年スパイクは両親との3人暮らし。
ゾンビ(ってか、これってゾンビと呼んでいいんですかね?)の巣窟となっている本土から逃れ、人々は島で暮らしています。
 
島の少年たちは、15歳前後になると大人と共に本土に出向くのが慣習。
本土でゾンビを狩りつつ、島では手に入らない生活必需品等を本土で探して持ち帰る。
そうして無事に戻れば、大人の仲間入りをしたことを島をあげて祝うのです。
 
スパイクはまだ12歳ながら、島でも屈指の強さを見せている父親ジェイミーに従って本土へ。
動きの遅いゾンビを仕留めることに成功しますが、ゾンビの親玉アルファに遭遇してしまう。
ジェイミーの的確な指示のもと、スパイクもなんとか島に帰り着って皆に褒められます。
 
しかしそのお祭り騒ぎのなか、スパイクはジェイミーの浮気現場を目撃。
スパイクの母親アイラは病に冒されて精神が不安定。
そんなアイラを支え続けるジェイミーではあるけれど、スパイクは父親の浮気が許せません。
 
本土に変わり者の医者がいることを知ったスパイクは、アイラを連れて島を抜け出します。
母親を医者に診せる気があるとは思えない父親に代わって、自分が母親に治療を受けさせるため。
 
という物語。
ダニー・ボイル監督、アレックス・ガーランド脚本というのがウリの本作は、
巷の評判はあまりよくないようですが、私は結構楽しく観ることができました。
かつてはゾンビといえば走らないと決まっていたものですが、いつしか走るゾンビが登場し、
本作では動きの遅いゾンビと速いゾンビ、両方出てきます。そこも可笑しい。
 
ジェイミー役にはアーロン・テイラー=ジョンソン、アイラ役にはジョディ・カマー
変わり者の医師ケルソンを演じるのはレイフ・ファインズ
スパイク役のアルフィー・ウィリアムズも知的で勇敢な少年を好演。
 
最後の最後にあのジミーが大人になったのがこのジミーですかという彼が登場します。
で、まだ終わらないのですよ。続くんかい!と思わずツッコミ。
はいはい、次も観ますってば。次は早めにお願いしますね。私も体力がもたなくなってしまうから。'^^;

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『年少日記』

2025年07月04日 | 映画(な行)
『年少日記』(原題:年少日記)
監督:ニック・チェク
出演:ロー・ジャンイップ,ロナルド・チェン,ショーン・ウォン,ロサ・マリア・ヴェラスコ,ハンナ・チャン,カーティス・ホー他
 
キノシネマ心斎橋にて4本ハシゴの3本目は香港作品
 
監督はこれが長編デビュー作となるニック・チェク。
途中、自分の思い込みが覆されて「えっ!?」と声が出そうになりました。
どこから書いてもネタバレになってしまいそうです。
 
高校教師のチェンは、暴力をふるった男子生徒とクラスの委員長を務める女子生徒を呼び出し、事情を聴く。
男子生徒がいじめられているのは知っているが、暴力はいけないとチェンが諭すと、
先生は自身の離婚問題で頭がいっぱいなのに生徒にかまっている暇はないだろうと捨て台詞を吐かれる。
 
ある日、用務員がゴミ箱の中から見つけた紙きれには、自殺をほのめかす内容が書かれていた。
学校側はまもなくおこなわれる共通テストへの影響を鑑み、遺書を書いた生徒をあえて探さない方針。
しかしチェンは気が気ではなく、委員長に心当たりがないかを尋ねて協力を求めるのだが……。
 
チェンの子ども自体を描いている映像が間に挟まれています。
それは、富裕な家庭で育つ小学生兄弟の様子。
豪奢な家に住む彼らのうち、勉強もできてピアノも上手なのは弟のほう。
兄も弟のような成績を残して両親を喜ばせようとするけれど、できない。
それどころか進級できず、父親からはいつも殴る蹴るの体罰を受けています。
母親も父親から息子が不出来な責任を問われ、口答えすれば殴られる日々。
 
てっきり現在教師になっているのは不出来だった兄だと思っていました。
ところがずいぶん経ってから、いま私が見ているのは弟だとわかる。
実は兄は10歳の時に自殺しているのです。それをきっかけに弟も両親の期待に応えるのはやめたわけで。
 
誰にも心を見せられなくなった彼は、それでも大好きな人と出会い、結婚する。
だけど、自ら命を絶った兄のことを考えると、子どもを持つ自信がありません。
そのせいで妻との仲がぎくしゃくして別れ話に至ってしまう。
 
この世のどこにも居場所がなかったら、どう生きればいいのでしょう。
死にたいわけじゃない。でも生きているのはつらい。
 
静謐だけど残酷で、心に染み入る作品となりました。
今年が終わる頃になっても本作のことは心に残っていると思います。

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『ノーバディーズ・ヒーロー』

2025年05月26日 | 映画(な行)
『ノーバディーズ・ヒーロー』(原題:Viens je t'emmene)
監督:アラン・ギロディ
出演:ジャン=シャルル・クリシェ,ノエミ・ルヴォフスキー,イリエス・カドリ,ミシェル・マジエロ、ドリア・ティリエ他
 
本邦初公開というアラン・ギロディ監督作品をとりあえず3本とも観ようかと思い、
『湖の見知らぬ男』を観た数日後に再び第七藝術劇場へと向かいました。
 
ハッテン場を舞台にした『湖の見知らぬ男』に度肝を抜かれ、
きっとこの監督の作品はこういうの(どういうの!?)ばかりなんだわと覚悟していたら、これはそんなの(どんなの!?)じゃなかった。
ただ、やっぱりギロディ監督は変態なんじゃないかと思う(笑)。
 
独身男性のメデリックは日課のランニング中、路上に立つ売春婦のイザドラに一目惚れして声をかける。
「君と寝たいけれど売春には反対だから、タダでヤラせてほしい」。
一旦はそこから立ち去ったイザドラから後ほど連絡があり、メデリックはいそいそとホテルに向かう。
 
ところが、いざ挿入というときにイザドラの喘ぎ声がピタリと止まる。
ホテル近くの広場で爆破テロが発生したというニュースがテレビで流れたから。
早く続きをしたいメデリックに対し、イザドラはそれどころではないと言う。
イザドラを押しとどめようとしているうちに彼女の夫が迎えにきて、そのまま帰ってしまう。
 
仕方なく帰ると、アパートの前にいたアラブ系のホームレスの青年セリムから金を無心される。
ケバブが買える程度の金を渡して追い返すが、雨の中にいるセリムが気の毒になり、アパートへ招き入れる。
 
アパートの住人たちはセリムの処遇について討議。
ここに置いてやるべきだと言う者、いやいや、危険だから追い出すべきと言う者。
 
そんなことよりもとにかくイザドラとヤリたいメデリックは、なんとか連絡を取ってベッドへと誘うが、
いつも今からというときに邪魔が入って……。
 
すごくヘンテコな作品です。
そもそもメデリック役のジャン=シャルル・クリシェの見た目が私の苦手なタイプなので、正直なところ気持ち悪さしかありません。
イザドラ役のノエミ・ルヴォフスキーにしたって、若い美人どころかバスケットボール級の巨乳のアラ還なんですもの。
このふたりの絡みなんて見たくないし、ドン引きやっちゅうの。
 
でもストーリーは確かに面白い。
売春は良くないからカネ払わんとヤラせろってどういう理屈やねん。
それにイザドラの夫は嫉妬深いというけれど、妻が売春を続けていることはなんとも思っていません。
客を取って帰るのが遅くなるのは許せなくて迎えに来るのもどういう心境なのかしらん。
 
聖戦士って童貞じゃないと駄目なんですね。
だからおそらく童貞のセリムが童貞を喪失したら自爆テロなんて考えなくて済むとか、もう無茶苦茶。
ギロディ監督らしくゲイの話ももちろん出てきて、ありとあらゆる社会問題が込められています。
 
誰にも薦めません。でも同監督の作品が上映されれば、私はまた観に行くことでしょう。

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『ナタ 魔童の大暴れ』〈字幕版〉

2025年04月18日 | 映画(な行)
『ナタ 魔童の大暴れ』(原題:哪吒之魔童鬧海)
監督:ジャオズ 
声の出演:リュー・イェンティン,ジョンセンセフ,ハンモー,チェン・ハオ,リュー・チー,チャン・ジャーミン,ヤン・ウェイ,ワン・デーシュン他
 
TOHOシネマズ西宮にて4本ハシゴの3本目。
 
ちょっと前から『ナタ転生』(2021)という中国アニメが劇場で上映されていて、
いったいこれは何なのだろうと思っていました。
しかも英語字幕で日本語字幕なしの上映だったりして、特別料金を取っているし、意味わからん。
と思っていたら、続編の本作公開前の特別上映だったわけですね。
いや~、何も知らずに観たらめちゃくちゃ面白くて、前作をスルーしたことを激しく後悔。
 
スルーしたせいで最初は「ついていけないかも」と不安になる。
しかし細かいことがわからないのは全然問題じゃないくらいのめり込む。
 
魔丸の転生体ナタと霊珠の転生体ゴウヘイは敵対関係にあるはずが、前作で親友になった様子。
ところが本作序盤、ゴウヘイの体は死んで魂だけが残った状態に。
そこでナタの師匠が考えついたのは、ゴウヘイがナタに憑依し、1週間の猶予の間に仙人になる資格を得ること。
ナタが魔丸であることがバレないようにして、ゴウヘイの力を発揮できれば仙人になれる。
ゴウヘイは仙人として生き返ることができると。
 
って書いてみたけど、これで本当に合っているのかどうか不安。(^^;
まぁいいや。
とにかくこんな感じで、ナタとゴウヘイはニコイチとなり、仙人の試験に挑みます。
途中陰謀があって、ナタの暮らす村が丸ごと焼かれてしまう。
その犯人がゴウヘイの父親が統べる龍族だと思い込まされたナタは、龍族のもとへと乗り込みます。
 
『ヨウゼン』と同じく『封神演義』をモチーフにしているため、黒幕は同じ。
仙界を仕切るジジイがくせ者とは。
 
『封神演義』自体が面白いのでしょうね。
ゴウヘイやその父親、覚醒したナタも男前で心が躍ります。なんと楽しいアニメ。

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『ネムルバカ』

2025年04月10日 | 映画(な行)
『ネムルバカ』
監督:阪元裕吾
出演:久保史緒里,平祐奈,綱啓永,樋口幸平,兎(ロングコートダディ),
   儀間陽柄,高尾悠希,長谷川大,志田こはく,伊能昌幸,山下徳久,吉沢悠他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
阪元裕吾監督作品と聞けば観に行かずにはいられないでしょう。
“ベイビーわるきゅーれ”が好きな人ならきっとこれも好き。
同監督作品『最強殺し屋伝説国岡』(2021)で国岡役だった伊能昌幸も出演しています。
 
本作もオリジナル脚本かと思ったらそうじゃなかった。
原作は人気漫画家・石黒正数の同名漫画で、『月刊COMICリュウ』に2006年から2008年にかけて不定期連載されていたそうです。
今春、新装版が発行されたとのこと。根強い人気を持つ作品なんですね。
 
大学の“冴羽女子寮”で同室の鯨井ルカ(平祐奈)と入巣(いりす)柚実(久保史緒里)は先輩・後輩の関係。
ルカはインディーズバンド“PEAT MOTH(ピートモス)”でボーカルとギターを担当している。
一方の入巣は古本屋“古本MAX”でアルバイトする以外にはこれと言って趣味もなければ没頭するものもない。
 
ライブを開けば大盛り上がりを見せるピートモスだが、メジャーデビューにはなかなか至れない。
壊れた炊飯器を折半して買い換えようと入巣が言うけれど、ピートモスのライブチケット代と同額だと思うと凹む。
入巣のバイト代だって知れているから、美味しいものもなかなか食べられない。
こういうときは入巣の友人でボンボンの田口(綱啓永)を呼びつけて食べ物と酒を持ってこさせよう。
 
ところが、呼べばホイホイやってくる田口のことを入巣目当てだと思っていたのに、実は田口はルカのことが好きだと判明。
腹を立てて田口の電話を無視するようになった入巣だが、鈍感な田口は理由がわからない。
田口から相談を受けた伊藤(樋口幸平)がそれに気づき、4人で会うのだが……。
 
と、あらすじを書いてみましたが、こんな話がゆるゆると進むだけ。
ただ、会話がかなり面白くて何度かふきだしました。
たとえば、正直すぎる田口は入巣のことを貶めるつもりなどなくクソミソに言う。
泣きじゃくる入巣に呆れるルカの台詞は「そんなにショックを受けるようなことか。
田口なんて、楽器できないし、金持ちだけど親の金だし、あんな奴に脳の容量使うなんて」。脳の容量か(笑)。
 
ルカは男性3人とバンドを組んでいましたが、メジャーデビューの話が来たのはルカにだけ。
全員でデビューできると思っていたほかのメンバーたちが、ルカのじゃまをしないように努める態度が切ないです。
 
アイドルになったルカを見て、入巣は「こんなことがしたかったのか」とムカつく。
けれど最後の最後にステージでルカが歌うのは。
 
やっぱり大好きです、阪元監督の撮る作品。

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