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『カセットテープ・ダイアリーズ』

2020年07月15日 | 映画(か行)
『カセットテープ・ダイアリーズ』(原題:Blinded by the Light)
監督:グリンダ・チャーダ
出演:ヴィヴェイク・カルラ,クルヴィンダー・ギール,ミーラ・ガナトラ,ネル・ウィリアムズ,
   アーロン・ファグラ,ディーン=チャールズ・チャップマン,ロブ・ブライドン他
 
TOHOシネマズなんば別館で『一度も撃ってません』を観たあと、本館に移動して。
 
ブルース・スプリングスティーンのファンはもちろんのこと、
1980年代の洋楽に思い入れのある人は必見のイギリス作品。
ジャーナリスト、サルフラズ・マンズールの回顧録に基づいた実話です。
 
1987年、イギリスの田舎町。
パキスタン移民のジャベドは16歳。将来作家になりたいと思っている。
しかし、父親は経済学を専攻して稼げる人間になることを息子に求めているから、
ジャベドは自分の夢を両親には明かせない。
 
ジャベドたち移民のことを快く思わない住人もいて、
いわれのない差別を受けることしばしば。
世間では白人至上主義が謳われ、国民戦線に賛同する若者も多い。
唯一の友だちは幼なじみのマットだが、
マットには最近彼女ができ、ジャベドにかまっている時間はないらしい。
 
高校に通い始めると、女性教諭クレイ先生がジャベドを後押し。
とにかく書きつづけることを勧めてくれる。
クレイ先生の評は厳しくも優しく的確。
そんなジャベドと先生のやりとりを微笑みながら見つめるのが、
同級生女子で活動家のイライザ。次第に彼女に惹かれるジャベド。
 
ある日、食堂で出会ったシーク教徒のループスが
ジャベドに一方的にカセットテープを押しつける。
聴けば俺に感謝するはずだというループス。
絶望していた夜、何気なくそのテープをウォークマンで聴くと、
それはアメリカのロックスター、ブルース・スプリングスティーンの曲。
自分の心情そのものの歌詞に驚き、激しく共感するジャベドだったが……。
 
私はむしろブルース・スプリングスティーンよりも、
冒頭でかかるペット・ショップ・ボーイズやレベル42を聴いたほうなのですが、
こうして聴くといいですねぇ、ボス。
当時ファンだった人からは「当たり前やん」と言われそう。(^^;
 
どこにだって偏見を持つ人はいて、学校新聞に投稿したいと言っても門前払いされます。
それでもめげないジャベドは、ボスの音楽評を持ち込み、
「ボスを好きなムスリム」は記事として面白いかもしれないと言ってもらえるように。
いつも冷たい目をしていた近所の爺ちゃんが偶然にジャベドの詩が書かれた紙を拾い、
わざわざ「素晴らしい」と言いにきてくれるシーンもよかった。
 
父親に反抗したジャベドだったけど、やはり家族あってこその自分だと気づく。
スピーチのくだりには胸が熱くなりました。
 
音楽は、やはりいつだって人の心を救う。

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