夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『The Covers』が楽しい。

2014年06月30日 | 映画(番外編:映画と音楽)
最近楽しみにしている音楽番組があります。
NHK BSプレミアムで月曜の晩に放送している30分番組、『The Covers』。

“歌は、歌い継がれることでスタンダードとなり、永遠の命を授けられる”と、
毎回ひとりずつJ-POPアーティストが出演、
昭和や平成初めの歌謡曲やポップスを中心にカバーするというもの。

これまでの出演者は、クレイジーケンバンドの横山剣、一青窈、
大塚愛、フラワーカンパニーズ、ORIGINAL LOVEの田島貴男、
ウルフルズ、平井堅、miwa、高橋優という面々。
いつ始まったのか知らなくて、大塚愛の回は観そびれたのですが、
それ以外のアーティストに関しては再放送に当たる「選」の回で観ました。

自分のオリジナル曲とカバー曲を歌うことになっていて、その曲数や順序はまちまち。
オリジナル2曲、カバー2曲の場合が多いけれども、
オリジナル2曲にカバー1曲とか、オリジナル1曲もなしなんて人も。

私はよく知らないアーティストもいて、そのアーティストを知る楽しみもあります。
フラワーカンパニーズがそうで、彼らは『妹』(かぐや姫)と『世情』(中島みゆき)をカバー。
過去の出演者で最年少だったmiwaがカバーしたのは、
『あなた』(小坂明子)と『ささやかなこの人生』(風)でした。
前者を歌ったときの小坂明子が16歳だったということにたまげ(貫禄ありすぎ)、
この番組で観なかったら思い出すこともなかったかもしれない後者なのに、全部歌える自分に驚き。

原曲に比較的忠実なカバーをする人もいれば、
ウルフルズのように『春一番』(キャンディーズ)をロック色つよくしてみたり。
個人的には横山剣と田島貴男と平井堅の回がとても好きでした。
彼らが選んだ曲は『冬のリヴィエラ』(森進一)、『勝手にしやがれ』(沢田研二)、
『プレイバックPART2』(山口百恵)、『順子』(長渕剛)などなど。
NHKの“みんなのうた”が大好きだった私は、『切手のないおくりもの』(財津和夫)も嬉しくて。

MCを務めるのはリリー・フランキー、アシスタントは夏菜。
リリーさんが埋もれた名盤を披露する“うもれうた”のコーナーがまた楽しい。
こんな人がこんなアルバムを出していたのかというものが多くて興味津々。
「志の低いコーヒー店」とか「カウンターの向こうでホステスが心ない手拍子をするスナック」とか、
解説するときのリリーさんの表現もいちいち可笑しくて大好きです。

稀に、リリーさんのテンションが低いというのか投げやりなこともあります。
これまででそれを感じたのは高橋優の回。
彼の歌にも話にも力が入りすぎているように感じ、唯一イマイチだった回です。(^^;

とまぁ、そんな回もあるけれど、基本的にめちゃ楽しい。
ほぼ毎週放送していますが、今週はお休みらしくて残念。来週が楽しみだ。

『ハリケーンアワー』

2014年06月28日 | 映画(は行)
『ハリケーンアワー』(原題:Hours)
監督:エリック・ハイセラー
出演:ポール・ウォーカー,ジェネシス・ロドリゲス,ナンシー・ネイヴ,
   シェーン・ジェイコブソン,ナタリア・サフラン他

昨年の11月末、40歳で急逝したポール・ウォーカー
真っ赤なポルシェ・カレラGT(の助手席)に乗っていて事故に遭うだなんて、
“ワイルド・スピード”シリーズを地で行くような最期でした。

たいそうなイケメンなのにクセがなさすぎるというイメージがありました。
10年以上前は大根だとすら思っていましたし。
しかし、“ワイルド・スピード”シリーズ最新作のクランクアップ前に死去したため
本人生存中に完成した作品としては最後の出演作となった本作は素晴らしい。

公開時にはあまりに上映劇場が少なすぎて観に行けず。
今月初めにDVDレンタル開始となりました。

2005年8月、ルイジアナ州ニューオーリンズに暮らすノーラン・ヘイズは、
体調に急変を来した妻で妊婦のアビゲイルに付き添い、病院に到着。
母子の無事を祈るも届かず、未熟児の女の子を出産したアビゲイルは息絶える。
妻に生きていてほしかった、口には出せぬそんな思いを抱きながら、
人工呼吸器の中で生きる小さな命を見つめるノーラン。

ちょうど巨大ハリケーン“カトリーナ”が近づいているとのニュース。
雨風が強まり、病院関係者や患者はすべて避難することに。
だが、生まれたばかりの娘が呼吸器に入っているのだ。
呼吸器ごと運べないかぎり、ノーランは娘を置いて避難することなどできない。
誰もいなくなった病院に取り残されたノーランたちはどうなるのか。

医師から聞かされていた呼吸器が必要な時間は48時間。
その間、ポール・ウォーカーの一人芝居と言ってもいいような設定。

停電により呼吸器が停止して、自家発電器を使用。
しかし、頼りない自家発電器に劣化したバッテリーと、このままではもちません。
病院内を駆けずりまわって手回し式のバッテリーを見つけたノーランは、
それを根性で娘のいる病室まで運び、ハンドルをぐるぐる回して充電。
それでも最大で3分弱しかもたず、病室を出る用事があったとしても、
必ず時間内に戻ってハンドルを回さなければ娘は死んでしまうのです。

点滴が切れそうだ、食糧はどこだ、救助ヘリが来たようだ、
どんなことも3分以内でなんとかしなければならず、すごい緊迫感。
ハンドルを回す手が疲れて意識も朦朧としてきたノーランが、
在りし日の妻のことを想い、まだ目も開かぬ娘に話しかけるシーンがいい。

終盤に登場する彼の助っ人。それが誰であるかは見てのお楽しみ。
生涯最後にこんな作品を見せてくれたポール・ウォーカー。
あらためてご冥福を祈るとともに、
育児のあらゆることを当たり前のようにこなす世の中のお母さんたちに敬意を。

『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』

2014年06月26日 | 映画(あ行)
『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』
監督:行定勲
出演:芦田愛菜,伊藤秀優,青山美郷,入江甚儀,丸山隆平,
   八嶋智人,羽野晶紀,いしだあゆみ,平幹二朗他

109シネマズ箕面にて、前述の『超高速!参勤交代』とハシゴ。

原作者の西加奈子はベストセラーを次々と生み出す人気作家ですが、
私はまだ1冊も読んだことがありません。
映画化された前作『きいろいゾウ』(2012)がどうにも退屈だったせいで、
原作を手に取る気になれずにいました。

ところが本作で関西出身の人だと知り、グッと親近感。
キャストにも関西圏出身の人がずらり並んでいるので違和感なし。
あえて文句をつけるとすれば、太陽の塔が映る北摂辺りでは、
あまり「~け」で終わるような大阪弁は使いません。
同じ大阪弁でも、淀川を挟むとかなり変わる。大和川を挟めばまた変わる。
本作に登場するのは、原作者の出身地である南のほうの大阪弁が基かしらん。

小学3年生の渦原琴子(芦田愛菜)、通称こっこ。
公団に祖父母(平幹二朗&いしだあゆみ)と父母(八嶋智人&羽野晶紀)、
三つ子の姉(青山美郷が三役)とこっこの8人家族で暮らす。
狭い家だというのに、台所にはどでかい円卓。
大皿料理が並ぶ円卓をみんなで囲み、くるくる回して食べる賑やかな食卓。

しかし、孤独に憧れるこっこにとって、それは嬉しくないこと。
母のお腹にこっこの弟か妹ができたと聞いても喜べない。
人とちがうことが何よりも“かっこええ”。
めばちこができて眼帯をする同級生や、不整脈で倒れた同級生、
ボートピープルや在日韓国人3世の親を持つ同級生、
それがとにかく格好良く見えて羨ましいのに、
真似をすると担任のジビキ先生(丸山隆平)から「おまえはちゃうやろ」と怒られる。

公団の向かいの棟に住む同級生の男子ぽっさん(伊藤秀優)。
吃音がかっこええぽっさんと、こっこは大の仲良し。
生き物が飼いたくて仕方なかったこっこは、
夏休み中、上級生が飼育するウサギの散歩をぽっさんと請け負う。
自由研究のネタ探しにも忙しい日々を送るのだが……。

本作のキャッチコピーが「小学三年生を経験したすべての大人たちへ」、
今夏公開の『STAND BY ME ドラえもん』のキャッチコピーが
「すべての、子ども経験者のみなさんへ。」。
2本続けて予告編を観たときは、あのなぁとゲンナリしかけましたが、
本作のジビキ先生の台詞が心に残ります。
「子どもの考えてることはわからへん。自分も子どもやったのになぁ」。
そうです、どうして忘れてしまうのでしょう。
それでも、眼帯や湿布に憧れる気持ちはわかりますよね(笑)。

冒頭いくつかのシーンでは、芦田愛菜ちゃんが芸達者すぎるのが鼻につく感じでしたが、
以降はちょっと控えめな演技にやっぱり上手いと舌を巻きます。

「しね」と書いた紙を机の中に溜め込んでいた同級生が休んだとき、
思い立って家を訪ねるこっこと友人たち。
別に学校で嫌なことがあったわけじゃない、でも面白くないから行かないと。
彼女が登校したとき、学校を面白いと思わせる秘策がアッパレ。
私も想像力をかき立てられて、心にじんわり美しい光景が広がりました。

余談ですが、うちの近所では鹿って珍しくないんです。
本作では大騒ぎとなった光景に、うちでは普通やけどと思いつつ、
去年だったか一昨年だったかの帰りがけ、
ちょうど小学3年生ぐらいの男の子3人に呼び止められたのを思い出しました。
私の車の行く手をさえぎり、「し、し、鹿がおるねん!」。
近所に住んでいるとは言え、初めて会った子どもたち。
見知らぬ私とも分かち合いたかったであろう興奮。
思い出すたびにクスッと笑ってしまいます。

帰りに乗るバスをまちがえて、30分近く歩くはめに。
だけど、夕焼けや鹿の話を思い出しながら歩いたら、
そんなにしんどくもありませんでした。

『超高速!参勤交代』

2014年06月25日 | 映画(た行)
『超高速!参勤交代』
監督:本木克英
出演:佐々木蔵之介,深田恭子,伊原剛志,寺脇康文,上地雄輔,知念侑李,
   柄本時生,六角精児,市川猿之助,石橋蓮司,陣内孝則,西村雅彦他

車ならば家から5分とかからない109シネマズ箕面。
この日は車をダンナが使用、徒歩で向かおうと思ったら、無謀だとダンナ。
ならばと、徒歩&バスで向かうことに。

箕面駅前からバスに乗車、10年以上住んでいて、こんな使い方は初めて。
ちょっと新鮮だったりします。
白島(はくのしま)で下車して、帰りのバスの時間を確認。
109シネマズ箕面に到着したら、カップルデーで客いっぱい。

カップルだらけの劇場のなか、私はひとりで鑑賞。
テレビ的なイメージがある本木克英監督、このタイトルは上手いし、
並ぶ顔ぶれを見てもものすごく楽しそう。

享保20(1735)年、治世するのは八代将軍・徳川吉宗(市川猿之助)。
現在の福島県いわき市にある、磐城国の湯長谷藩は小さな貧乏藩だが、
藩主の内藤政醇(佐々木蔵之介)の人柄ゆえ、
お百姓ら村民と良い関係を築いて、のんびりと穏やか。

この日、政醇をはじめとする藩士たちが1年の江戸詰めを終えて帰郷。
村民たちに温かく出迎えられ、皆で解放感に浸る。

ところがそんな政醇らのもとへ、寝耳に水の下命が。
帰郷したばかりだというのに再び参勤交代、江戸に来いというのだ。
しかも、江戸までは通常8日かかる道のりのところ、期限は5日。
期限内に江戸に参勤しなければ、藩は取り潰されてしまう。

実はこれは藩の金山に目を付けた幕府老中・松平信祝(陣内孝則)の陰謀。
隠密より金山ありとの報告を受けた信祝が私腹を肥やそうと考えたこと。
対抗するには、無理難題であっても5日以内に参勤するしかない。

そこで政醇は家老・相馬兼嗣(西村雅彦)に知恵を請い、
荒木源八郎(寺脇康文)、秋山平吾(上地雄輔)、鈴木吉之丞(知念侑李)、
増田弘忠(柄本時生)、今村清右衛門(六角精児)と共に江戸へと向かう。
すると東国一の忍び・雲隠段蔵(伊原剛志)が現れて、案内役を買って出るのだが……。

通常のほぼ半分の日程でどうやって辿り着こうかと知恵を絞るのが楽しい。
けもの道を通ってショートカットすればなんとかなるのですが、
要所要所で大名行列を繰り出さねばならず、その人員を揃えるのが大変。
また、自分たちより大きな藩の大名行列にかち合った場合は、
それより前に出てはならぬとか、急ぐ足には困る決まり事ばかり。
信祝が送った刺客も次々やってきて、ドタバタと話は進みます。

期待以上の楽しさとは言えませんが、そこそこ。
高めの年齢層の客にはかなりウケていて、
特に、井戸に落っこちてお岩さん状態になった西村雅彦には爆笑。
温水さんの落ち武者姿に匹敵します。

百姓が心を込めて漬けたたくあんをちゃんと美味しいと思ってくれるお殿様。
自らが貧しくとも、困窮する藩があれば米を送るお殿様。
善きことをすれば善きことになって返ってくるのだと、あらためて思うのでした。

こんな福島応援歌、いいかも。

『春を背負って』

2014年06月24日 | 映画(は行)
『春を背負って』
監督:木村大作
出演:松山ケンイチ,蒼井優,檀ふみ,小林薫,豊川悦司,新井浩文,
   吉田栄作,安藤サクラ,池松壮亮,仲村トオル,石橋蓮司他

晩ごはんの支度をしなくていい日に、TOHOシネマズ伊丹にて。

黒澤明監督を師と仰ぐ御年74歳の名カメラマン、監督第2作。
第1作の『劔岳 点の記』(2008)と同じく、立山連峰が舞台です。

東京で外資系の大手投資銀行に勤める享(松山ケンイチ)は有能なトレーダー。
ひとりで何十億もの金を動かす日々に疑問を感じはじめたとき、
立山連邦で山小屋“菫小屋”を営む父・勇夫(小林薫)が急死したとの報らせが入る。

仕事を片付けて駆けつけると、山岳救助隊の工藤(吉田栄作)から頭を下げられる。
勇夫は救助隊の依頼を受けて遭難者を助けに行き、遭難者をかばって死亡、
当の遭難者は軽傷で、とっとと東京へ帰ったという。
顔をこわばらせる享を母・菫(檀ふみ)がなだめる。「お父さんは山で死ねて本望よ」と。

山の麓で民宿を切り盛りする菫は、小屋にまで手が回りそうにない。
小屋は誰かに任せるつもりで、今は勇夫を偲んで小屋へ。
長らく小屋へ上がっていない享も久々につきあうことに。
1年ほど前から勇夫のもとで働いてきた女性・愛(蒼井優)も同行する。

その折り、享が突如として自分が小屋を引き継ぐと言い出す。
上司の朝倉(仲村トオル)に惜しまれながら会社を退職。
食糧その他、必要な物品を担いで小屋へ向かうが、何十キロもある荷物にヨタヨタ。
その横をすいすいと上がっていく中年男性がひとり。
彼は悟郎(豊川悦司)といい、毎年、風のように現れては小屋を手伝い、
風のように去ってゆくらしい。

勇夫とも親しかった悟郎は、夢枕に立つ勇夫から享のことを頼まれたと言う。
こうして菫小屋での暮らしが始まるのだが……。

登場人物はほかにも魅力的な人いろいろ。
享の幼なじみ夫婦に新井浩文安藤サクラ。その父親に螢雪次朗
町医者に石橋蓮司、小屋を訪れる登山客に市毛良枝池松壮亮
ついでに、工藤の部下に鶴瓶の息子・駿河太郎。

お年を召した監督によくあることですが、良くも悪くも映画的。
会話ひとつ取ってみても、「お茶が入りました」に対して「素晴らしいわ」はないわ~。(^^;
こっぱずかしい台詞に苦笑いしてしまうシーンもありますが、
古き良き日本の風情も漂っていて、心が洗われます。

むさ苦しいだけになりかけていたトヨエツが本作ではいい味。
半人前の享を見守る彼の言葉が温かい。
人生は徒労の連続。一歩一歩積み重ねて行こうと思わされます。

山を舞台にした作品といえば、目の前に広がる風景や空が美しく、
自然そのものが主役のようなイメージがありますが、
本作はそれよりももっと近い地点で、人間に焦点を当てたドラマかなと。
とはいえども名カメラマンのこと、やはり山は美しい。