夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『チェスト!』

2008年09月28日 | 映画(た行)
『チェスト!』
監督:雑賀俊郎
出演:高橋賢人,御厨響一,中嶋和也,宮崎香蓮,
   松下奈緒,高嶋政宏,大坪千夏,羽田美智子他

最近ものすごく邦画UP率が高いような。
どこの国のも満遍なく観てるんですけど、
なんだか邦画にジワーンと来ることが多いのはどーして?
歳のせいやろか。

舞台は鹿児島。
バリバリの薩摩っ子、小学6年生の隼人は、
やんちゃだが武道の志をも持つ学校の人気者。
薩摩藩の武士に伝わる「郷中教育」に従い、
「嘘を言うな、負けるな、弱い者いじめをするな」をモットーにしている。

ところが、隼人にはひとつだけ、
友だちにも先生にも明かせない事実があった。
カナヅチなのである。

毎年開催される「錦江湾横断遠泳大会」は、
町を挙げての一大行事。
去年も一昨年も適当に理由をつけて休んできたが、
小学校最後の年である今年は、なんとか参加したい。
しかし、カナヅチだなんて口が裂けても言えない。
隼人は苦悩する。

そこへ、東京から智明が転校してくる。
クールな転校生に女子はゾッコンだが、
男子(隼人を除く)はそれがおもしろくない。
遠泳大会にも参加しないという智明に、何かと絡む男子たち。

ある日、水泳の授業を抜けて校舎の陰に隠れていた隼人は、
人気(ひとけ)のなくなったプールで、
万年下痢症でいじめられっこの雄太が溺れているのを見かける。
すると、颯爽とプールに飛び込み、華麗に雄太を救出する智明の姿が。

一部始終を見ていた隼人は、智明の後を追いかけ、
自分がカナヅチであること、それを隠している卑怯者であることを打ち明け、
どうか泳ぎかたを教えてほしいと頼む。

秘密の練習場を探していた隼人と智明は、
雄太の家が病院で、プールもある豪邸であることを知る。
こうして、4kmを泳ぐ遠泳大会に向けた3人の特訓が始まる。

タイトルの「チェスト!」とは「気合いじゃ!」みたいな感じでしょうか。
桜島を臨む鹿児島の町の人がおおらかで、
特に高嶋政宏演じる隼人の父親の豪快っぷりがイイ。
子どもは子どもなりにさまざまな悩みを抱えていて、
「それはそう簡単には解決しないけれど、こうやって大人になって行くんだよ」と、
後ろ向きの考えかたは一切なしで、
ひたすら前向きな視線で子どもたちを送り出しています。
ツンツンした学級長向き美少女に抱く恋心なんかもいいなぁ。

「ありがとう」と言うはずが、「ありがとう」と言われたとき。
ここが私の泣きのツボ。

『ガチ☆ボーイ』

2008年09月24日 | 映画(か行)
『ガチ☆ボーイ』
監督:小泉徳宏
出演:佐藤隆太,サエコ,向井理,仲里依紗,宮川大輔,泉谷しげる他

『タイヨウのうた』(2006)と同監督の作品。
同じ難病ものとはいえ、あまりにイメージがちがうので、ちょっと驚きでした。
だけど、「人の記憶に残る生き方をする」という点では一緒。

某大学のプロレス同好会。
スター選手が抜けて、新人は一向に入ってくる気配がなく、
部員たちの表情は暗い。

そこへやって来たのが、背だけは高いが、見るからにひ弱な五十嵐。
去年の学園祭でおこなわれた試合を観戦して、
スター選手のドロップキックに魅せられたが、
それ以上に部員みんなの楽しげな様子が忘れられず、
自分もその一員に加わりたいのだと、彼は言う。
部員たちは大喜びし、五十嵐にプロレスのいろはを教え始める。

ところが、五十嵐は信じられないほど物覚えが悪い。
五十嵐にその自覚はあるようで、何でもメモに取り、
ポラロイド写真におさめてまで懸命に覚えようとしているが、
昨日教えたことを思い出すのに、メモを繰らなければわからない。

そんな五十嵐も、デビュー戦を迎えることに。
大学プロレスは安全第一。危険を回避するために台本が存在する。
しかし、それを思い出せなくなった五十嵐は、いきなりガチンコ勝負に出てしまう。
そのおかげで一躍人気者になるのだが……。

五十嵐がメモを取りまくる理由は、物語中盤で明かされます。
学内でも有名な秀才だった五十嵐は、数カ月前の事故で頭を打ち、
記憶を1日しか保てない障害を負いました。
眠れば前日のことを忘れてしまうため、毎日丁寧に日記を付け、
目が覚めたときにはまず日記を読むようにと、
ベッドから見える壁という壁に「日記を読め」という貼り紙をしています。

泣けるやんか~。でも、湿っぽくはありません。
ベタですけど、青春時代の友情とか、恋心とか、親心とか、兄妹の絆とか、
あらゆるものがちょうどいい具合に詰め込まれています。
そんなに詰め込まれたら、涙腺に響くやん。
最後の回想シーンのせいで、一気にTVドラマっぽくなってしまうことを差し引いても
私には直球ド真ん中。

翌朝になると前日の記憶が消えてしまうという設定が
『50回目のファースト・キス』(2004)と同じです。
こちらは女性がその記憶障害の持ち主で、
彼女を好きになってしまった男性が、
告白するところから毎日やり直すというラブ・コメディ。
これもオススメ。

『ファーストフード・ネイション』

2008年09月19日 | 映画(は行)
『ファーストフード・ネイション』(原題:Fast Food Nation)
監督:リチャード・リンクレイター
出演:グレッグ・キニア,アシュレイ・ジョンソン,
   カタリーナ・サンディノ・モレノ,ウィルマー・バルデラマ他

エリック・シュローサー原作のノンフィクション、
『ファストフードが世界を食いつくす』を基にしています。
一応フィクションですが、本作を観たら、
ハンバーガーにはまず手が出なくなるはず。

業績好調のバーガー・チェーン“ミッキーズ”。
ある日、マーケティング部長のドンは、社長室に呼ばれる。
社長と個人的に親しい大学の研究室で、
各チェーンの牛肉パテを調べたところ、“ミッキーズ”のパテは、
牛糞の混入率が図抜けて高いというのだ。
内部調査を命じられ、ドンは精肉工場へと向かう。

さて、コロラド州の精肉工場では、
メキシコから密入国してきた不法就労者たちが
牛の屠殺などの工程を請け負わされている。
まだ若いカップル、ラウルとシルヴィアもそうだ。
女癖の悪い現場責任者に、蔓延する違法ドラッグと、取り巻く環境は最悪だが、
メキシコでの1カ月分以上に値する給料が速攻で稼げるとあっては辞められない。

その精肉工場が建つ町の“ミッキーズ”でバイトする、
真面目な女子大生アンバーは、
大学の環境保護グループと出会ったことから、
バーガー・チェーンの在り方に疑問を抱くようになり……。

ファーストフード産業を皮肉ったお気楽作品を想像して借りたら
エライまちがい。凹みました。

視察に来たドンにいいところだけを見せて、
清潔な製造工程をアピールする工場責任者。
しかし、こっそり調べてみると、出て来る、出て来る。
耳を塞ぎたくなる数々の事実。

ラインの動きが速すぎて、牛の解体作業を急がねばならない。
すると、うっかり腸を傷つけてしまうことがあるそうな。
それはたまにではない、毎日起こること。
関係者はもちろん事実を知っていて、ドンが詰め寄ると、
「焼けばどんな菌も死ぬ」と開き直ります。
社長に報告するつもりだったドンも、
それがいかにドンの出世にマイナスとなるかを説かれ、
さらには自分を送り出した社長も、
そんな報告を望んでいないことがわかります。

不法就労者や環境破壊の話まで提議され、やるせない気持ちに。
だけど、いちばん強烈だったのは、やっぱり牛ですよ、牛!
肉嫌いになりそう。

西宮のお店、“淡路島バーガー”のハンバーガーだけはお薦め。
フルトッピングを予約して食べるべし。

『全然大丈夫』

2008年09月16日 | 映画(さ行)
『全然大丈夫』
監督:藤田容介
出演:荒川良々,木村佳乃,岡田義徳,田中直樹,蟹江敬三他

「味のある顔」のメンバーばかりで、
いつのまにか人気者で溢れる劇団となった『大人計画』。
そのうちのひとり、荒川良々の初主演作。

古本屋の長男、照男は、大のホラー好き。
超適当な男だが、人を怖がらせることには余念がない。
通りすがりの女の子を怖がらせようとするが、
「変な顔」と冷たく言われる始末。

照男の幼なじみ、久信は、清掃会社に勤めるサラリーマン。
清掃員のおばちゃんにはやたらウケがいいが、
実は八方美人で、嫌われることをしたくないだけ。

好物のちくわ片手に、
河原でホームレスを観察してスケッチする、あかり。
美人で、面白い絵を描くが、社会に適応できない。
しかも、不運を呼び込むオーラに包まれていて、
とんでもないことばかりが身の上に起こる。

ある日、久信の会社の求人に、あかりが応募してくる。
面接に向かう途中、またもや不運に見舞われたあかりは、
遅刻したうえに服はボロボロ、泥だらけ。
それでも断れない久信は、あかりを採用する。

こんな3人を囲んで、ひたすらユルユルと話が進みます。
ただ、可笑しくて幸せ。

照男の制作するホラーなおもちゃは半端じゃありません。
自分(=荒川良々)をモチーフにしているため、
あの顔から醸し出される笑える怖さ。

照男が久信にナンパを提案する場面で、
「内面が綺麗そうな女性じゃないからパス」と言う久信に、
照男は「見た目でどうして内面がわかるんだよ。
それこそ、見た目で判断してるんじゃないのか?」と言います。
でも、結局断られて、「内面が綺麗じゃなかった」。
これって、どっちが正しいのかとしばし考え込みました。

あかりが、恋する相手が作ってくれたちくわを食べ、
「今までに食べた世界中のどんな食べ物より、美味しい」と言うときの至福の顔。
こんなホワンとするシーンがいっぱい。

古本屋は基本的に立ち読みも長居もOKだけど、
エロ本を買いに来た客にだけは「早く帰れ」をアピールし、
しかも目は合わせないようにするという掟にも興味が湧きました。

ところで、「全然大丈夫」という日本語。
「全然」の後は否定形でなければならないというのが一般的。
これって、根拠のない話だって、ご存知でした?
森鴎外の小説にも、全然+肯定形が出て来ます。
ということを雑誌で読んで以来、
私はバンバン使ってます。「全然大丈夫」って。

『東京少年』/『東京少女』

2008年09月11日 | 映画(た行)
『東京少年』/『東京少女』
監督:平野俊一/小中和哉
出演:堀北真希,石田卓也他/夏帆,佐野和真他

若手女優の発掘で定評があるプロデューサー、丹羽多聞アンドリウ。
その代表作『恋する日曜日』と同様、
本作もBS-iとTBSで放送されたオムニバス形式のTVドラマです。
そのうち、堀北真希と夏帆主演の2作が、今年初めに劇場公開されました。
どちらも、「決して逢えない二人の叶わぬ恋」がテーマです。

『東京少年』は、二重人格の片割れ同士の恋。
幼い頃に両親を亡くした少女、藤木みなとは、
心の支えとなってくれる文通相手、朝倉ナイトを自分の中に創りあげるが、
自分ではそのことに気づいていない。
バイト先のコンビニに来た浪人生、唐沢シュウに恋したことを、
みなとはナイトへの手紙に綴る。
みなとの中の別人格ナイトは、彼女のことを想うあまり、
シュウを攻撃にかかる。

『東京少女』は、平成と明治に生きる男女の恋。
10年前に父親を亡くした女子高生、藤咲未歩は、
母親の交際相手に会わされてイライラしていた日、
高層ビルの階段下に携帯電話をうっかり落とす。
時空のトンネルに落ちたと思われる携帯は、
明治45年の同じ場所で、夏目漱石の門下生、宮田時次郎に拾われる。
あり得ないことだと、最初は相手を嘘つき呼ばわりするが、
SF作家を目指す未歩は、やがて状況を受け容れる。
月の綺麗な夜にのみ繋がる携帯で、ふたりは会話を重ねるように。

キャッチコピーは同じでも、全然ちがう味わい。
2本併せてどうぞ。

前者は、堀北真希演じるナイトがオトコマエで怖すぎ。
ちょっとホラーっぽくもありました。
みなとがシュウとの初デートで、食べたいものを言えずにいると、
シュウが勝手にオムライスを注文してしまうシーンがあります。
そのときの表情は、今になっても解せません。
あれは、苦いとまどいの表情だと思いましたが、ちがった!
だけど、今の堀北真希なら、嬉しいとまどいの表情が出せる気がします。

後者は、時空を超えた恋愛話にハズレはないと思ったほど。
未来がわかっていたとしても、
人として、しなければいけないことがある。
そうすることで、未来が変えられることだってある。
ネタとしては決して目新しくありませんが、
やっぱりジワ~ンと来てしまうのでした。
ふたりと唯一、同じ時間に居合わせることができたおばあちゃん。
その表情を見れば幸せが伝わって来ます。

時空を超えたデート、してみたいと思いませんか。