夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈わ行〉

2008年12月31日 | 映画(わ行)
《わ》
『ONCE ダブリンの街角で』(原題:Once)
アイルランドの人気ロックバンド、
ザ・フレイムスのフロントマン、グレン・ハンサードと、
チェコの新鋭シンガーソングライター、マルケタ・イルグロヴァ主演。
デビューする日を夢見て、ぼろぼろのギター片手に街角で歌う男。
彼女の歌に足をとめたのは、花売りの若い女。
移民の彼女はピアノが趣味で、貧しい生活ではもちろん自前のピアノなどない。
そこで、近所の楽器店に立ち寄っては、
店主の好意でたまにピアノを弾かせてもらっているのだと言う。
彼女に連れられて楽器店へ行った男は、
そのピアノの音色に心を衝き動かされ、彼女と演奏してみたくなる。
ふたりが演奏する“Falling Slowly”は、優しくて素晴らしい曲。
一緒に演奏するときの喜びに溢れた表情が良いし、
スタジオでのレコーディングを決意したふたりが、
ほかにもバンドのメンバーが必要だと、
街角で演奏するおっちゃんバンドをスカウトする姿なども良し。
最初はどうせ素人バンドだと、適当にあしらうつもりだったスタジオ担当者が、
ある瞬間から目を輝かせ、レコーディングに没頭し、
みんなで迎える朝の清々しさ。
最後はちょっと切なさが残ります。
その後に観た別の映画で、同曲を挿入歌として使用していた作品があったのですが、
それが何だったのかがどうしても思い出せません。
検索しても引っかかってくるのは、大元の本作ばかりで。
思い出せないと年が越せん。(--;

《を》《ん》
ありません。

今年もおつきあいをどうもありがとうございました。
こうして1本ずつ、観た映画を思い出してみると、
映画の内容はもちろんですが、
そのときの状況をいろいろと思い出します。
ほとんど貸切状態の映画館で観た映画だな~とか、
この映画のポスターを見ていたアメリカ人とおぼしき親子がいたな~とか、
これとこれをハシゴしたとき、合間を縫って誰それに電話したっけとか。
そのときの状況が瞬時に頭の中に広がり、心がぽかぽかして、
映画と直接関係ないことでも、微笑んでしまう幸せな想い出です。

来年も体力の続くかぎり、
またこうしていっぱい映画を観たいと思っています。
皆様、どうぞよいお年をお迎えください。
そして、来年もよろしくお願いいたします。

今年観た映画50音順〈ら行〉

2008年12月30日 | 映画(ら行)
《ら》
『ライセンス・トゥ・ウエディング』(原題:License to Wed)
婚約したサディーとベン。
サディーの夢は、 家族が通う教会で結婚式を挙げること。
しかし、2年後まで予約でいっぱいで、
3週間後に唯一空いている日があると言う。
あまりに急な話だが、この機会は逃したくない。
ところが、牧師考案の結婚準備講座を2人で受講し、
合格しなければ挙式できない決まりで……。
牧師が課す難題の数々は、少し行き過ぎの感も。
だけど、彼に振り回されるうち、相手のすべてが見えてきて、
もちろんハッピーエンド。

《り》
『猟奇的な彼女 in NY』(原題:My Sassy Girl)
日本でもドラマ化された、韓国映画『猟奇的な彼女』(2001)のリメイク。
オリジナルが大好きだったので、
このハリウッド版も期待していましたが、アンマリだ~。

《る》
『ルイスと未来泥棒』(原題:Meet the Robinsons)
発明好きの孤児ルイス。
母親の記憶を辿るために製作した「メモリー・スキャナー」が、
怪しげな山高帽の男に盗まれてしまう。
そんなとき、未来から来た少年ウィルバーと出会い、
一緒に未来へと旅立つことに。
ウィルバーの大家族に歓迎されたルイスは、幸せなひとときを過ごす。
ある日、山高帽の男の策略を知り、それを阻止すべく行動を開始する。
子どもたちの過去の繋がりには、
幼い頃に負った心の傷が細やかに描かれています。
秀作アニメ。

《れ》
『レンブラントの夜警』(原題:Nightwatching)
鬼才というより変人としか思えないピーター・グリーナウェイ監督作。
17世紀のオランダの画家レンブラントの人生を
彼の代表作「夜警」に絡め、変人監督独特の感性で。
市警団から依頼された集団肖像画。
乗り気はしないが引き受けなきゃ仕方ない状況で、
絵の中に最大限の皮肉を盛り込んでいるんですね。
映画というよりも、舞台を観ているような気分。

《ろ》
『ロシアン・ドールズ』(原題:Les Poupées Russes)
前述の『モンテーニュ通りのカフェ』がよかったので、
同じ女優が出演している2006年の本作を観ました。
『スパニッシュ・アパートメント』(2002)の続編。
疎遠になりつつもそれなりに連絡を取り合っている、
前作の各国の同居人たちが登場し、それぞれが恋に悩みます。
タイトルの「ロシアン・ドールズ」は、すなわちマトリョーシカ。
開けても開けても次の人形が出て来る、あれです。
主人公のグザヴィエ曰く、恋はマトリョーシカ。
次こそ自分の理想の女性が出てくると信じ、次々と開けてしまう。
ちょっと唸る比喩でした。

今年観た映画50音順〈や行〉

2008年12月26日 | 映画(や行)
《や》
『山のあなた 徳市の恋』
SMAPの草なぎ剛主演で、『按摩と女』(1938)をリメイク。
目の不自由な按摩師、徳市と福市は、
春先になると渡り鳥のごとく山の温泉場へやって来る、ちょっとした有名人。
鋭い勘を持つ徳市は、温泉場へ向かう途中、
すれ違う一行の人数や年頃までピタリと言い当てて、
いつも福市を感心させる。
その日は、「横を通り過ぎた馬車に東京の女が乗っている」と徳市。
温泉場の按摩師宿泊所に到着した徳市は、
さっそく毎年世話になっている宿から呼び出される。
行ってみると、そこにはあの東京の女、美千穂が。
ワケありげな美千穂に、徳市は惹かれてゆく。
福市に加瀬亮、やはり美千穂に惹かれる他の宿の客に堤真一
宿の主人に三浦友和など、なかなか豪華なキャスト。
温泉町というのは、今も昔もこんな風情なのでしょうが、
服装や髪形、また、言葉遣いに昭和初期が感じられ、のんびり和めます。

《ゆ》
『夕凪の街 桜の国』
広島の原爆投下後を描いた同名コミックの実写版映画化。
異なる時代を舞台にした「夕凪の街」と「桜の国」の2部構成で、
最後にこれらの時代が繋がります。
「夕凪の街」は、1958年の広島。
皆実は、想いを寄せていた同僚の豊から、好きだと言われる。
嬉しくてたまらない皆実だったが、突然泣き崩れる。
13年前の原爆投下の日、彼女は幼い妹を失い、
自分は幸せになってはいけない人間のように感じていたのだ。
「桜の国」は、2007年の東京。
最近の父の言動を怪しく思っている七波が、
ある晩、父の跡をつけてみると、父は広島へ。
父の行く先を巡るうち、七波は自分のルーツを知る。
七波の父親は皆実の弟という設定。
皆実を演じる麻生久美子が素晴らしいです。
「生きとってくれて、ありがとう」。

《よ》
『容疑者Xの献身』
東野圭吾原作。ご存知、ガリレオ先生もの。
河川敷で、顔を潰され、指紋も焼かれた死体が発見される。
しかし、まもなく身元が判明し、
刑事の草薙と内海は、被害者の別れた妻を訪ねる。
彼女には完璧なアリバイがあるが、どうにも彼女が疑わしい。
草薙と内海は、天才物理学者の湯川にアドバイスを求めるが……。
原作を読んでから観に行きました。
どうして、別れた妻の隣人で、イケてない教師役が堤真一なの?と
キャストを聞いたときには思いましたが、
あれは堤真一じゃないとできないと納得。
牢獄の天井の点を四色問題に見立てるシーンに泣きました。

エスプレッソコーヒーにバルサミコ酢。

2008年12月23日 | 映画(番外編:映画と食べ物・飲み物)
また話が横道にそれますけれど。

前述の『モンテーニュ通りのカフェ』は、
ちょっとした会話にくすぐられる作品でした。

“カフェ・ド・テアトル”を訪れるのは、
3日後に近くでおこなわれる演奏会、芝居、オークションの関係者です。

演奏会から本当は逃げ出したいと思っている男性ピアニストは、
クラシック音楽はまったくわからないというジェシカに、
『きらきら星変奏曲』の出だしを弾いて聴かせます。
「それなら知ってる!」とにっこり微笑むジェシカ。
「これはモーツァルトの曲だよ」とピアニスト。
ジェシカは申し訳なさそうに「無知でごめんなさい」。
すると、ピアニストは、「悪いのは僕たち演奏家のほうだ。
クラシックのコンサートは堅苦しいものだと、
君に思わせてしまっている」と逆に謝ります。
こんな会話があって、ラストに聴く彼の演奏は胸を打つものでした。

昼メロのヒロインのイメージから
一刻も早く抜け出したいと思っている女優。
カフェでゆっくりお茶しようにも、
次から次へと現れる彼女のファンに、サインや握手をねだられてゲンナリ。
近くのホテルに有名な映画監督が滞在中であることを聞きつけ、
なんとしてでも自分の舞台を見に来てもらえるよう、策を練ります。
そんな彼女の毎度決まったオーダーが、
「エスプレッソ。バルサミコを入れてね」。

さらに話がそれますけれど、先日おじゃましたお店で、
「それは美味しそうには思えない」と話していたら、
話をお聞きになっていたシェフが、「やってみます?」と、
食後のエスプレッソにバルサミコを入れて出してくださいました。
絶対美味しくないと思っていたのに、NGでもなかったのが驚き。
分量にもよるんでしょうが、美味しいわけじゃないんです。
でも、なんとなく、私にとっては癖になりそうな味でした。

オークション出品者の老人とジェシカの会話も素敵です。
出品予定のブランクーシの彫刻「接吻」を見て、
芸術に無縁のところにいるというジェシカが、
「恋したくなるわね」と評したときの表情が
とってもキラキラしていました。

ジェシカの名言をもうひとつ。
「人には2種類あるの。
携帯電話がかかってきたときに、『くそっ、誰だよ』と思う人と、
『あら、誰からかしら』とときめく人。私のように」。

なんだか、バルサミコ入りのエスプレッソのように、
オシャレなような、オシャレでないような、
でもピピッと隠し味の効いた、素敵な映画なのでした。

今年観た映画50音順〈ま行〉

2008年12月23日 | 映画(ま行)
《ま》
『迷子の警察音楽隊』(英題:The Band's Visit)
ちょっぴり珍しいイスラエルの作品。
エジプトの警察音楽隊が、イスラエルの文化センターに招かれる。
お揃いのユニフォームでビシッとキメてイスラエル入りした一団は、
手厚いもてなしを受ける……はずだった。
しかし、何の手違いか、空港には出迎えなし。
役所への電話も取り次いでもらえず、自力で目的地に向かう。
ところが、たどり着いた先は、目的地とは似た名前の全然別の場所。
ホテルなんて存在しない辺鄙な町で、次のバスは明日。
バス停前の食堂の女主人の計らいで、
一団は3組に分かれて、付近の家の世話になることに。
それぞれが過ごす一夜が描かれた、愛すべき作品。
隊員の間には上下関係も年齢差もあり、考え方で衝突も。
異文化に触れ、くすりと笑えて、小さな幸せ。佳作です。

《み》
『ミス・ポター』(原題:Miss Potter)
ピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターの伝記ドラマ。
上流階級の女性が仕事を持つことなど考えられなかった、
20世紀初めのロンドン。
彼女は絵本画家になる夢をあきらめず、出版社に絵を持ち込む。
同族経営のその出版社は、まだ新米の末弟ノーマンにこの仕事をさせれば、
失敗しても彼のせいにできるからという腹で、
ビアトリクスとノーマンを引き合わせる。やがて恋に落ちるふたり。
本作を観れば、ピーターラビットにちがう思い入れが生まれます。

《む》
ありませ~ん。

《め》
『めがね』
およそ観光地とは言いがたい、海以外には何もない町に、
ふらりとやってきたタエコ。
放っておいてほしいのに、宿の主人は何かと声をかけてくる。
常連客らしき女性は、タエコを不審な目で見るし、
海辺にひとりでいれば、かき氷をしきりと勧められ、
どこへ行っても落ち着けない。
鬱陶しく思っていたはずが、次第に周囲のペースにハマる。
『かもめ食堂』(2005)同様、心地よくユルユルと時間が流れるけれど、
こっちのほうが微妙にシマリに欠けます。

《も》
『モンテーニュ通りのカフェ』(原題:Fauteuils d'Orchestre)
パリに実在するカフェを舞台に繰り広げられる群像劇。
“カフェ・ド・テアトル”は、普段は男性しか雇わない。
しかし、隣近所で3日後に3つの催し物があり、大忙しが予想されるため、
給仕の職を求めてやってきたジェシカは、ラッキーなことに採用となる。
カフェを訪れる3つの催し物の関係者たち。
会話が楽しく、とっても洒落た作品。
ほんとにパリのカフェにいる気分に。たぶん。