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峠旅・杉坂峠から御池林道へ!

2006-11-08 21:22:10 | Weblog
≪峠旅・杉坂峠から御池林道へ!≫

 ふと一人で旅に出たくなることがある。旅といっても日帰り程度ではあるが、人の来ない山間の林道を一人で走るのはとても心が落ち着く。あまりにも煩わしい日常、人間関係・・・どっぷりと自然の中に浸かっているとなぜか新しい鋭気が沸いてきて嬉しくなる。

 近江の湖東地方、彦根の東に位置する鈴鹿山系の山裾には多くの廃村が今も存在している。武奈町、男鬼町、霊仙、五僧・・・今回は杉と保月の集落跡を訪れてみた。

 多賀大社の駐車場に車を停め、そこよりスタートする。時計は午前11時を示していた。先ずは芹川に沿って遡り、飛ノ木橋のところで右折して上りに入る。なかなかの急坂で、脚を休める間もなく40分、大汗を掻いて多賀神木の碑が建つ杉坂峠へ辿り着くことができた。

 お多賀さんと呼ばれて親しまれ、江戸時代には「お伊勢参らばお多賀へ参れ お伊勢お多賀の子でござる」「お伊勢七度熊野へ三度 お多賀さまへは月参り」と俗謡に唄われるように、大変な繁栄を誇ったという。造営に使われた用木がこの杉坂峠辺りより切り出されたのであろうか。

 峠より少し下ったところに杉の集落跡があった。いまだに朽ちかけた数戸の民家が建っている様は哀れでもあり不気味でもある。水田跡一杯に生い茂るススキも侘しげであった。

 道は少し下って平坦となり、紅葉の始まりかけた谷あいを行くことになる。車はまったく通らず静かそのもの。再度、上りに入ってその頂上に大きな三本杉があった。石灰岩の岩盤の上に立つ大杉の樹齢は数百年、思わず手を合わせたくなるような神秘性に包まれていた。

 昭和51年に廃村となった保月の集落は意外と明るかった。戸数にしたら10軒あまり(往時は65軒あったとか)、神社も寺院も健在である。人影もちらほら見え、二軒ほどは人も住んでいるようであった。離村して町に出ても年寄りには活躍の場はないが、山間であれば朝から晩までやることに事欠かない。雪の積もる冬場だけ町に戻るのであろう。

 この道はアサハギ林道と言うらしい。岩場を削ったような崖に猿の集団がたむろしていた。ギャギャと叫ぶ威嚇にこちらもチンカンベルと大声で対抗した。

 降り立ったところが権現谷林道、五僧へ上がる分岐点でもある。今から400年以上も前、関ヶ原の戦いに負けた島津義弘の一行は五僧から保月を通って中山道に抜け、堺の港より薩摩に逃げ帰ったという。

 権現谷林道を南に向かって詰め、峠を越えて国道306号へ出る。その後、大君ヶ畑から佐目へと犬上川北谷に沿って走る。トンネル内で大型ダンプが追い越しざまにクラクションを鳴らす。自転車などという目障りなものは道を走るなとでも言っているかのように。

 県道34号へ左折し、すぐに霜ヶ原への上りに入る。この道が御池林道のようだ。時刻はすでに午後の1時半を過ぎている。漆であろうか、赤く紅葉していた。道は舗装がされていて快適ではあるが、延々とジグザグを繰り返すばかりではかどらない。眼下には彦根の町と琵琶湖が霞んで見えた。

 宗教団体の建物とログハウスが出てきた辺りが峠かと思えば、道は一旦下ってまた上りとなった。蛭谷越えとでも呼ぼうか、ススキの生い茂る峠からは鈴鹿山系の御池岳(1247m)が前方に見えた。時刻は午後3時、日の短い時期だけに先を急ぐ。御池川に沿った道は水平に近い傾斜で、自転車は思ったようには走ってくれない。

 君ヶ畑まで来ると心に余裕が出てきた。この集落はまだ健在で人影も多く見られる。そそくさと写真を撮り、先を急ぐ。ここ君ヶ畑が木地師発祥の地であることはあまり知られていない。今から1150年ほど前、惟喬親王が隠棲の地として君ヶ畑を選び、ここより木地師が全国に広がっていったという。

 再び県道34号に出、右折して筒井峠へ上がる。結構な急坂ではあるが、以前にも通った道であり安心感がある。惟喬親王御陵なる神社が峠にあった。

 峠を下りた所が百済寺甲、この先にも百済寺丁とか百済寺乙、百済寺丙、百済寺戊という地名も見られる。昔の寺領を示すものであろうか。県道188号に沿った百済寺甲も廃村の憂き目なのか、石垣の跡が多く残っていた。

 最後の力を振り絞って角井峠を越える。上りはだらだらとした感じであったが、向こう側は急激に落ちていた。百済寺の門前を通り過ぎ、国道307号を北に向かって金剛輪寺、西明寺と右に見て多賀大社へと戻った。時刻は夕暮れ前の5時丁度であった。

 思い付いての日帰り自転車旅ではあったが、中身の濃い充実した一日であった。どんな些細なことにでも興味を持ち、少し掘り下げて調べてみれば面白いことは沢山あるように思う。好奇心、これからも大切にしてゆきたいものである。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
杉坂峠から御池林道 (sakano)
2006-11-18 21:13:54
はじまして、お邪魔します。

君ヶ畑へは、板ヶ谷を詰めて越えられたのでしょうか?2.5万地図では、前後2キロほど破線になっていますが?
返信する
杉坂峠から御池林道 (wajin)
2006-11-19 22:22:45
sakanoさん
はじめまして!です。
芥さんのところではお世話になっています。
ご質問の御池林道ですが、多賀大社より旧藤原町へ抜ける国道306号を行き、佐目の手前より県道34号へ右折(南下)します。500m程先で左側へ折れ、杉林の中を上に上がって行くのが御池林道です。あざ名は霜ヶ原といいます。もう十年以上も前に開通しているようで、今では全線舗装されていました。通常のロードマップには載っていませんね。
鈴ヶ岳の(1130m)のすぐ西を越え、御池川沿いにゆっくりと下れば君ヶ畑へと至ることができます。
是非とも一度訪れてみてください。

また機会がありましたらコメントを入れてくださいませ。
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