Club野風増   岐阜・本巣100夢プロジェクト!

自転車、登山、テレマークスキー、カヌー・・・そんな情報が満載ですよ!!

クラブモデルでツイードラン 安曇野

2011-04-29 20:38:25 | 自転車旅
《クラブモデルでツイードラン 安曇野》

 近ごろ、ツイードランというものが自転車仲間の間で流行りだそうです。ツイードとは、英国スコットランド産のウール(毛織物)で、千鳥格子や杉綾格子など独特の柄と風合いは大人の雰囲気に満ち溢れています。そんなファッションで自転車を走らせる・・・まさしくアダルトな遊びだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=qMdGMiX1KHQ&feature=channel

 クラブモデル(クラブマンモデル)・・・1930年代から1950年代にかけて英国で盛んだったクラブマンレースのための自転車で、泥除け、サドルバッグ、電装品を装備して、レース場まで自走して行き、それらの装備を外してレースに出場し、また装備を戻して自走して帰宅するという使い方をされたもので、ツーリング車とレーサーの中間にある自転車・・・と、あるサイトに書いてありました。イメージは、パターソンのペン画で描かれた自転車でしょうか、サドルバッグがとても格好良いです。
http://blogs.yahoo.co.jp/lloyd356/folder/201207.html

 日本のサイクリングの原点は英国にあるように感じます。ジョンブル・・・英国紳士のきりっとした精神性には日本の武士道にも通じるものがあるかも知れません。そんな雰囲気を味わいたくてツイードラン「クラブモデルの集い」を計画してみました。


(これぞクラブモデル!?)
 集合は、明科の龍門淵公園。カヌーでは何度もお世話になった場所です。今回の参加者は9名・・・関東や関西より筋金の入った趣味人の方々が集ってきました。天候・・・まだ雨は降り出してはいませんが、午後よりは大荒れの天気になるとか・・・大人の遊びは無理をしない!・・・クルマにて観光地めぐりプランへと変更です。

 先ずは安曇野の定番ともいえる大王わさび田へ・・・丁度わさびの花が満開で、散策を楽しみました。ちょっと欧州を思わせる風景にツイードファッションの紳士たちが似合っています。黒沢映画のセットにも使われた水車のところで記念撮影・・・万水川の清流が絵になります。


(安曇野・大王わさび田にて)
 観光客で賑わう穂高町(現安曇野市)の街並みを通り抜けていきます。穂高神社、禄山美術館・・・本来ならクラブモデルの自転車で訪れる予定のコースでした。昼食は穂高温泉郷の一角にある「ぶたのしっぽ」手造りカレーの美味しい店です。なんと、前泊の仲間の方がここに宿泊・・・とてもリーズナブルで食事の美味しいペンションでもありました。

 走らないサイクリストは陸に上がった河童も同然・・・まるで絵になりません。急遽、信州の酒蔵めぐりへと大町市の造り酒屋を目指しました。「金蘭黒部」市野屋商店、「北安大国」北安醸造、「白馬錦」薄井商店・・・この三つの蔵が盛業されているそうですが、生憎と休業日・・・仕方なく、地元の酒屋さんで三銘柄のお酒を購入・・・夜の打ち合わせ?時のお楽しみとしました。

 今宵の宿は、大町温泉郷にある老舗旅館「かしわ荘」・・・美人若女将の宿としても評判だとか・・・まさしく美形の姉妹が出迎えてくれました。源泉かけ流しの温泉は透明で湯量も豊富、先ずは身体の保養です。夜の料理・・・リーズナブルな宿泊料に見合わない手料理と品数に大満足・・・当然、キリッと冷やした純米生原酒が信州の旅を盛り上げてくれたことは言うまでもありません。


(絵になる風景)
 翌日は快晴・・・スタートは大町運動公園より・・・大町ダムにある龍神湖を目指します。民家の庭先に植えられた梅や桜、畑の林檎や梨・・・信州の春は全ての花が一斉に咲くようです。背後には、北アルプスの白い峰々が・・・蓮華岳、針ノ木岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳・・・真っ白に雪をかぶった三千メートル級の鋭鋒が聳え立っていました。この風景を見たくって・・・


(迫力のサドルバッグ仕様 大町ダムにて)
 大町ダムの展望台にてしばしの歓談・・・どれも凄すぎる自転車に圧倒されます。半世紀以上を耐え抜いた名車たち・・・ALPS、東叡、EVEREST・・・そこに装備されたパーツ類も凄い・・・ルーカスのヘッドランプも絵になります。


(休憩は英国式ティータイムで)
 北安・・・北安曇野の意味合いでしょうか・・・田植えの準備が始まった田園風景の中を走り抜けて行きます。次は、仁科三湖と呼ばれる木崎湖へ・・・ここで英国式ティータイム・・・ミニストーブで沸かされたお湯で入れる紅茶も本格的・・・ビスケットとともに優雅な時間を過ごさせていただきました。


(木崎湖畔を快走)
 小熊黒沢林道の基点はここ・・・今年は残雪が多く、走ることは出来そうもない。天候が良い日に・・・その稜線から眺める鹿島槍は大迫力・・・また改めて訪れてみたい。


(大町の郊外にて 針ノ木岳は雲の中)
 大町の東に連なる山裾を池田町に向けて南下します。見下ろす田んぼの向こうには北アルプスの連山が・・・早くも天候は下り坂・・・山の頂上付近には重苦しい雲がかかり始めています。途中、国宝となる仁科神明宮へも寄ってみる。


(安曇野の道祖神)
 昼食は池田町の「あうん」で・・・隠れ家的なレストランのため、何度も道に迷う。地元の方に尋ねながらようやく高台にあるお店に到着・・・雄大な安曇野平野を見下ろしながらのランチタイムは至福のひと時・・・時間を忘れて仲間と歓談・・・タイムオーバー・・・早くもしぐれ雨が黒い雲とともに・・・走行をあきらめ、タクシーでのクルマ回収は想定外の出来事でした。


(満開の桜の下で)
 「クラブモデルでツイードラン」・・・こんな楽しい遊びがあって良いのかなと!・・・大満足な自転車旅を心の中で振り返りながら帰途のクルマを走らせました。

プチグレートジャーニー C区間・彦根から桑名へ!!

2011-04-17 21:17:28 | 自転車旅
《プチグレートジャーニー C区間・彦根から桑名へ!!》

 いよいよ最終章へ・・・慣れた自転車旅なら安心、といって、交通量の多い道路は苦手なので、冬季通行止め国道306号を選ぶ。彦根市内琵琶湖畔の芹川河口よりスタートする。多賀、佐目、大君ヶ畑、鞍掛トンネル、藤原、北勢、員弁、桑名を経て伊勢湾を目指す。

今回の旅の画像です・・・
http://gallery.nikon-image.com/110885861/albums/2342724/

 輪行で彦根駅に降り、彦根城の南側を通過して琵琶湖畔へ。桜にはまだ早くつぼみ堅し・・・堀に映る国宝のお城はいつ見ても素晴らしい。まさしく国の宝だと思う・・・


(琵琶湖畔・芹川の河口)
 スタート地点に立ち、記念撮影。湖上には多景島がゆらゆらと浮かんで見えた。芹川沿いに桜の並木の下を東へ向かう。お城のある町は、なんとなく落ち着きがあって心が安らぐ。高速道路をくぐった辺りより田舎の風景に一変する。右手に見える森は多賀大社のようだ。

 芹川から離れ、工業団地の先より国道306号へ入る。桜峠を越え、佐目の集落にて旧道へ入ってみる。ちょっとしたお店(よろずや?)を覗いてみる。駄菓子や雑貨が棚に・・・子供のころ、10円を握り締めて通ったお店を思い出した。見上げると猿の軍団が・・・


(佐目辺りの集落)
 大君ヶ畑の集落を過ぎると無人地帯に・・・冬季閉鎖のゲートも現れた。ここよりは静かな一人旅・・・三重県堺の山々が白い。鈴鹿山系の鈴ヶ岳?それとも御池岳・・・ずい分昔に登った覚えがある。


(国道306号)
 犬上川北谷に沿っ道が大きく左へカーブする辺りより本格的な上りに入る。上着を脱ぎ、気合を入れる。脚に負担が来る分、高度も一気に上がって気持ちが良い。白い山の峰がぐんぐんと近づいてくるのが嬉しい。


(無題)
 4月1日が開通のようで、崖から落ちた岩くずは片付けられ、照明類の点検もされているようであった。トンネルの手前で作業の方々が昼寝の最中であった。


(鞍掛トンネル内の氷)
 照明の点いていない真っ暗なトンネルを抜ける。暗闇に白い塊が・・・それは氷であった。ツララが割れて落ちたもののようである。冬場の厳しさを感じた。

 トンネルをぬければ三重県へ・・・藤原町(現いなべ市?)ののどかな風景が眼下に広がった。ここまで来れば一安心・・・あとは伊勢湾まで下り基調となる。簡単な昼食を済ませ、上着を着込んでダウンヒルに備える。路肩には大量の雪が残っていた。

 クルマのこない道を快適に飛ばす。右に左に・・・身体を傾けると面白いように曲がってゆく。まさしく童心に帰る!である。下りきったところが黄金大橋南詰・・・ここよりは旧道を忠実に走って阿下喜の駅へと至る。


(北勢線阿下喜駅にて)
 三岐鉄道北勢線(以前は近鉄)日本では数少ない762mm軌間(ナローゲージ)の鉄道路線の一つであるという。路線は1914年(大正3年)、大山田(現在の西桑名)- 楚原間14.5kmに軽便鉄道として開業したという。そのレールは、まるで遊園地の電車のようである。

 しばらくは北勢線沿いに走る。時より黄色い車両が走ってくるとカメラを向けてみる。いつかこの電車に乗り、写真を撮りに来たいなと思う。線路に沿った道は静かで、長宮の辺りまで走る。

 長宮より大泉橋へ向かい、員弁川に沿って走ることにする。大社橋の袂で小休止。「やぶさめ公園」とある。大社とは、この橋の北にある猪名部神社のことのようで、春に開催される「上げ馬神事」は有名だそうだ。多度大社も知られているが・・・


(伊勢湾へ)
 忠実に、忠実に員弁川の右岸を伊勢湾に向かって走る。名阪自動車道、JR関西本線、近鉄名古屋線、国道1号線と過ぎてゆくと海は近い。国道23号の町屋大橋の先で左岸に渡り、南下して伊勢湾へと出た。遠くには客船が・・・対岸には川越の火力発電所が見えた。

 ここで若狭湾、琵琶湖、伊勢湾へとつなげたプチグレートジャーは完結。南米のチリ、ナバリーノ島から人類発祥の地、タンザニアまでつなげた関野吉晴さんのグレートジャーニーにはほど遠く、足元にも及ばないプランではあるが、身近なところで旅の原点となるような体験が出来たことが嬉しい。

 帰り道・・・桑名市内をぬけ、養老鉄道の播磨駅よりサイクルトレインに乗車、大垣へと向かった。ささやかながら、一人で缶ビールを開け、旅の成功を祝した。

プチグレートジャーニー B区間・マキノから彦根へ!!

2011-04-15 21:57:14 | カヌー
《プチグレートジャーニー B区間・マキノから彦根へ!!》

 カヤックにてB区間となるマキノより彦根へ琵琶湖を横断・・・松林の美しいマキノ町知内浜より出航することにする。その前に回収用の自転車を彦根にデポ。

 今年の天候は変・・・東日本大震災・・・未曾有の大災害に身震いがする。津波の恐ろしさをリアルな映像で嫌というほど見せ付けられた。所詮、人間の力なんて微力なもの・・・恐ろしいほどのパワーで人間の築き上げてきたものを破壊していってしまった。ある人の言った我欲・・・心して反省しなければいけない部分もあるようだ。安全を高らかに歌い上げていた原発とは何なのか・・・

 今回の旅・・・ソロで進めているが、いかに自然に従い、謙虚に、かつ安全第一を心がけた。琵琶湖といえども、ひとたび牙をむけば恐怖の世界へ・・・3月、バス釣りのボートに乗った二人が転覆で死亡・・・この時期の湖水に1時間も浸かれば低体温症で絶命となる。

今回の旅の画像です・・・
http://gallery.nikon-image.com/110885861/albums/2354983/


(バラバラのカヌー)
 琵琶湖畔、マキノ町知内浜の松林でファルトボートを組み立てる。小寒い風を感じながら木製のフレームを組み立てる。この時期、例年であれば海津大崎の桜が満開となり、多くのカヌーや花見客で賑わうエリアとのこと。


(いよいよ出航)
 ソロ旅の悲しさ・・・誰に見送られることもなく、カヌーを湖面に・・・その前にセルフタイマーで記念写真を撮る。風はほとんどなく、絶好のカヌー日和と思えた。


(以前に越えた江若国境の山)
 ぬめっとした湖面にカヌーを滑らせ、快適に前へと進む。振り返ると、前回越えた近若国境の山々が白い。あの辺りの鞍部を通過・・・山スキーの記憶が蘇った。


(竹生島目指して)
 左手に海津大崎の桜が遠望できる。まだまだ咲き始め・・・観光客も少なそうで、かえって雰囲気がある。人がごった返す花見は好きになれない。前方には西国三十三観音霊場、30番札所の宝巌寺がある竹生島が見える。

 島に近づくと、緑に覆われた島に異変が・・・多くの鷺が営巣し、その糞で木々が枯れてしまっている。

 この時期、海津大崎の花見に向かう観光船が増便されるようだ。大津、彦根、長浜辺りより大型の船が大挙してやってくる。前方にエンジンの唸りが聞こえると恐怖・・・真っ直ぐにこちらへ向かってくるようで怖い。その航路から外れるように進路を変える。

 竹生島の南側を通過・・・次に長浜の南浜を目指す。近そうに見えて遠い・・・いくらパドルを漕いでも陸地は近づかず、ちょっと焦りも・・・といって、手を休めれば永遠に目的地には着けない。頭の中を無にして、黙々とパドルを動かす。

 南浜が近づくころ、長浜のエクシブやフジテックの塔が確認できるようになる。ちょっとだけ残雪の見える伊吹山。湖北方面には金糞岳や横山岳が真っ白に望まれた。


(彦根、芹川河口付近)
 前方に彦根城が見えてくればゴールも近い・・・しかし、これからが辛かった。登山でいう胸突き八丁・・・気持ちが緩んできた時ほど焦りも・・・半ばヤケクソ!?で漕ぐ。彦根城の桜をカメラに納めてゴールへ。芹川の河口となる彦根市長曽根のポケットパークに上陸。

 9時半スタートで14時半着、約5時間の琵琶湖横断であった。ふらふらになりながら重いファルトを東屋に運び、素早くたたむ。柱に収納袋をくくり付け、15時にマキノへ向かって自転車を走らせる。


(湖北の琵琶湖)
 ビワイチと呼ばれ、人気のコースだけに多くのサイクリストとすれ違う。ウエットスーツのままで走る姿は変に見えたかと。長浜城の下を通過し、湖北町尾上「みずとりステーション」の辺りで写真を撮る。葦原、水鳥、竹生島の組み合わせが人気のエリアらしい。


(マキノ、清水の桜)
 木之本、塩津、永原と走り、奥琵琶トンネルを抜けて海津へ・・・道路下の「清水の桜」が満開で、ちょっと一休みする。湖畔の道路に出ればこの旅も終わりに・・・造り酒屋「竹生島」の看板が気になった。

 知内浜に到着・・・18時15分、日没前に着けて一安心であった。次回は自転車で・・・彦根芹川の河口よりスタートし、多賀、佐目、鞍掛トンネル、藤原、員弁、桑名へと走る予定である。

プチグレートジャーニー A区間・敦賀からマキノへ!!

2011-04-03 18:27:07 | 旅行
《プチグレートジャーニー A区間・敦賀からマキノへ!!》
 関野吉晴氏・・・アフリカに誕生した人類がユーラシア大陸を通ってアメリカ大陸にまで
拡散していった約5万3千キロの行程を、自らの脚力と腕力だけをたよりに遡行する旅、それが
グレートジャーニーです。手段は、歩き、自転車、カヌーで・・・こんな壮大な旅を真似ることはできませんが、そのロマンのほんの一部だけでも味わいたくて、日本海の敦賀湾より琵琶湖を横断し、太平洋の伊勢湾までをつなぐ旅を考えてみました。
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=ef99f2a653c37baaecebd7193b777283

 旅の移動手段は、徒歩、歩くスキー(テレマーク)、カヤック、自転車・・・アクセスにはクルマを使いましたが、回収等には鉄道を利用したり、自転車の自走にて出発点に戻るなど、サポートを入れない形で進めました。

 儀式?・・・日本海の海水を琵琶湖へ・・・琵琶湖の水を太平洋に!!フィルムケースに詰めて運ぶ。

『A区間・敦賀から黒河越えでマキノへ!』
 スキー板を使っての峠越えのため、時期は積雪期・・・しかし、ヘタレなアウトドアマンであり、ソロで厳冬期の山を越えるのはリスクが多すぎる・・・よって、残雪期の3月に決行。時間の短縮(安全確保にはこれがポイントかと)のため、敦賀湾の浜辺より自転車→歩くスキー→スキー滑降→自転車にて琵琶湖畔へ。

 朝、先ずは自転車のデポへ・・・滋賀県高島市マキノ町白谷、マキノ林道の降り口となる杉林にMTBを縛り付ける?放置自転車と間違えられないよう「登山に行っています」とメモを残す。

 更に敦賀市へクルマで移動し、敦賀湾「気比の松原」の公園駐車場へ停める。いよいよここよりスタート。浜辺に立ち、手で海水をすくって旅の安全を祈る。MTBでスキー板を運ぶ・・・これが難儀で、ザックに縛り付け、担いでみるが結構重くて大変。見た目も格好悪い!??



(敦賀・気比の松原)
 居合わせた若者に証拠写真?を撮ってもらい、松林の中を南進する。沿道の方々からの熱い視線!?が気になった。「何、あのオッさんのスタイルは!」かも・・・

 市内を抜け、黒河川に沿ったサイクリングロードに入ると一息つく。「バカなことを始めてしまったな!」と、路面に映る自分の影を見て反省してみる。


(人影)
 やがて林道に残雪が見え始める。釣りの連中であろうか・・・「魚は全然や!」と言っていた。ここで一台目の自転車をデポ・・・朝の自転車と同様に木に縛りつけ、メモを残す。

 しばらくは、雪があったり、無かったりを繰り返すため、スキー板を背負った状態で先へ進む。雪は適度に締まっていて、靴が潜ることは無かった。周りの木々は冬の様相で、緑の葉っぱは見られない。沢を流れる水はどこまでも透明で、雪解けなのか水量は多い。鳥の鳴き声、沢の水音だけが聞こえてくる。


(林道のデブリ)
 幾つもの橋を渡り、積雪が多くなったところより板を履く。テレマークスキーは優れもの・・・歩く、登れる、滑れるの三拍子が可能である。ただし、ステップソール(滑走面がウロコ状になったもの)ではないので、シールと呼ばれるものを貼り付ける。これがあれば斜面でも後ずさりをしない。ペタペタとペンギンの歩行のように前へ進んでゆく。

 この時期の怖いものが雪崩れ・・・もう時期的には落ち切っているのだが、油断は出来ない。デブリと呼ばれる雪崩れの跡も緊張させられる。雪の塊の中に上手くルートを探し、谷底への転落を避ける。


(歩くスキー)

 もう一つ怖いのが雪の斜面・・・林道は大量の雪で埋まり、雪の斜面と化している。そこをトラバースしてゆくのも神経を使う。スキーの山側エッジを効かせ、慎重に通過する。もし滑落すれば、数十メートル下の沢へ転落・・・水量の増した川を流される・・・想像すると怖い。


(峠・黒河越え)
 林道・・・結構枝道が多く、ルートファインディングに悩む。無雪期には2度ほど自転車で走ったコースであり、多少の記憶があるが、残雪期には風景が一変するために悩む。地図と高度計とコンパスを駆使して方角を定める。

 正面に送電線の鉄塔が見えたころ、道が大きく左へカーブしている。稜線に見える鞍部が峠のようだ。ちょっと気が楽になり、板の歩みも心持早くなる。道が右にカーブし、雪が消えていた場所が峠であった。黒河越え・・・この先はマキノ林道という標柱が雪の中から顔を出していた。

 板を外し、シールを剥がしてランチタイムとする。豪勢にレーズンロールを数個、かぶりつく。泡の出るジュースで乾杯と行きたいが、ソロツアーでは我慢・・・帰宅後の楽しみとする。峠の周りはブナの林・・・スギやヒノキの植林帯とは違い、伸びやかで明るいのが嬉しい。


(避難小屋)
 滋賀県側を偵察に行くと見覚えのある屋根が雪の中に見える。赤坂山、三国山と縦走をし、下りたところにある避難小屋のようだ。よくよく雪面を見ると、数日前のスキーの跡も・・・バックカントリースキーを楽しむ連中も来てるようで、ちょっと安心する。

 いよいよスキー滑降へ・・・午後よりは気温も上がり、雪質は腐り気味・・・林道といっても適度な傾斜があり、思ったよりスキーが走ってくれるのでありがたい。ただし、オーバースピードには注意・・・ガードレールも無い道端から転落すれば谷底へ一直線・・・もありうる。


(マキノ・琵琶湖畔へ)
 ほぼ自転車のデポ地点まで滑り、スキーを終える。ここより自転車で・・・マキノスキー場を過ぎるとメタセコイヤの並木が現れた。結構な規模で、止まって写真を撮る。更に山裾を走り、湖西線まきの駅、高木浜にて琵琶湖畔へ。風も無く、穏やかな波打ち際に立って休憩を入れた。

 沖に浮かぶ島は竹生島・・・その後方には白い伊吹山が遠望できた。次回はここよりカヤックにて琵琶湖横断・・・長浜沖より彦根までを計画している。

 時間は午後2時・・・遅くなれば鉄道にて敦賀へ戻る予定であったが、自走で行くことに・・・トラックの多い国道161号を避け、海津大崎~大浦~(県道286号)~沓掛~(国道8号)~疋田~敦賀へ。明るいうちに帰ることが出来た。

今回のフォトアルバムです・・・
http://gallery.nikon-image.com/110885861/albums/2341087/