遠足
萎(しお)れたる花びらを すておとす バツシカ草のごとく
乞食するものらよ かくのごとく むさぼりと怒りとをふりすてよ
( 法句経 )
バツシカ草とは
ラテン語で ジャスミヌム・サンバックと書かれてある花のことです。
私たちは ジャスミンという香水をもっていますが
この香水は このバツシカからとったものだそうです。
高い香りを放つ花 それがバツシカ草なのです。
釈尊の生まれたヒマラヤの南麓は
菩提樹や ニグローダ樹の生い繁った
美しい自然の展開されている地方でした。
そうした恵まれた自然のなかで 草花の実り熟れ散りゆくさまを
彼は じっと注意してみてきました。
バツシカの花びらが 時来って ハラハラ散る ・・・
そこに人生の意味を看取されたわけでしょうね。
「 飛花落葉の中に悟りを見出す 」 と仏教ではいいますが
ヒラヒラと散る花や葉のなかに
あるいは 素直な自然界の和(やわ)らぎのなかに
つまり
さりげなく咲く野辺の一輪の名もなき花や 囀(さえず)る小鳥に
敬虔(けいけん)な気持をもち 宗教的心情をいだく ・・・
そこに 釈尊のいう 「 悟りへの道 」 が開けていくのでしょう。
* 飛花落葉(ひからくよう)
花が風に散り木の葉が秋に落ちるように 世の移り変わりの無情であることのたとえ