時事解説「ディストピア」

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ビートたけしは右ですよ、リテラさん

2015-04-29 00:22:27 | 日本政治
私は日本の右傾化は左翼が右傾化しているのであって
右翼が右傾化しているのではないということを再三、主張している。



これに加えれば、最近の論壇は右翼が左傾化していることも見逃せない。


といっても、別に右翼が足を洗って社民党や共産党の支持者になったわけではない。
逆に、表面的には左翼っぽいポーズを見せるようになってきているのだ。


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「最近のテレビは何もいえない」ビートたけしがテレビの自主規制を暴露し大批判!

報道局を圧力文書で脅し、コメンテーターの発言にイチャモンをつけ、
気に入らない番組を作ったテレビ局を呼びつける。
安倍政権のメディア、とくにテレビに対する圧力が日に日に強まっている。

一方、テレビの側も対抗する気などさらさらなく、権力のいうがまま、完全に骨抜きにされている。


しかも、テレビ局の関係者やコメンテーターたちはこんな状況におかれながら、
「圧力なんてない」「これをしゃべったらダメといわれたことはない」などと口をそろえ、
自分たちの弱腰ぶり、政権との癒着をひた隠しにする始末だ。

ところが、そんななか、ある大物芸人がテレビの圧力、自主規制の存在を暴露し、批判した。

「最近、テレビじゃ何も面白い事がいえなくてムカムカしてるんだ」


現在、発売中の「SAPIO」(小学館)5月号が「誰がテレビを殺したのか」
という大特集を組んでいるのだが、そのトップバッターとして、
あのビートたけしが登場し、吠えているのだ。

http://lite-ra.com/2015/04/post-1058.html
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この記事を読むと、さもビートたけしが安倍に抵抗している芸能人であるかのように見える。

だが、そもそもビートたけしは保守派の人間である。

彼自身、南京事件を否定しようとする歴史改ざん運動に携わっているし、
彼の名が冠された『ビートたけしのTVタックル』は有名な右翼番組だ。

記事にも紹介されているSAPIOは昔からある右翼プロパガンダ雑誌だ。
そういう雑誌に顔を出す御仁が左翼であるわけがなかろう。

つまり、政治的立場で言えば、たけしは安倍に近い人間なのである。


じゃー、なんで北野はリテラの記事で安倍にケチつけてんのという話だが、
よく読むと、何も北野武は安倍が慰安婦を否定しているだとか、
現地の反対運動を無視して沖縄米軍基地を立てようとしているだとか、
そういう左翼的な理由で反対をしているわけではないことがわかる。


テレビ業界の人間として、政府にケチをつけられるのが嫌だというそれだけの話である。
これは、業界の重鎮としては、しごく全うな意見だ。しかも、北野は長年TVタックルで
遠まわしに安倍の主張を後押ししていたプロパガンダ芸人だ。本人からすれば心外だろう。


「なんだよ!ずっとお前を支持してきたのに恩を仇で返しやがって!」といったところだ。



このように、最近の論壇では、右翼が安倍やネトウヨにケチをつける傾向がある。

小林よしのりや池上彰などのニュース芸人たちが「けしからん」とホザいている。
(忘れてはならないのは、ネトウヨの言い分は彼らの意見を真似たものであること)


最近、騒がれている古賀氏にしても、彼は元々は自民党側の官僚で、
小泉政権の時から、解雇規制緩和、法人税減税、郵政民営化といった
新自由主義政策に尽力してきた人間なのである



それがなぜか今、いかにも左翼の人間であるかのように語られている。
実に不思議だ。古賀は現在の格差社会をもたらした張本人の一人なのに。


いや、本当は理由がわかっている。
実のところ、今の出版業界では、意外と右翼本が売れないので、
解説芸人が生き残るには右にも左にも良い顔をしなければならない
のである。



単発では右翼本はヒットを出すのだが、
デタラメを書けばいいだけの専門知識が必要とされない楽なジャンルなので、
著者が多すぎて、一部の人間を除いて、全体としてはあまり売れないのである。


そういうわけで、池上彰をはじめとして、右翼でも左翼でもない「良心派」を
気取って客観的な解説(笑)を提供しようとしている輩が増えている。


ある意味、石原や橋下よりも卑怯な連中だと私は思う。
極右の連中は「自分は右翼だ、何がいけない、文句あっか」という立場だが、
池上や北野は「私は右翼ではありません」と言いながら右翼的発言をしている。

あきらかに後者のほうが読者や視聴者をだましている。

リテラも、最近の週刊誌の中では最も良心的なメディアではあるのだが、
せいぜい、中道左派といったレベルに留まっており、左翼でもなんでもない。



その証拠に、リテラは古賀氏は擁護しても、鳩山氏は擁護していない。

彼の先日のウクライナ問題に関しての発言は非常に含蓄のあるもので、
左翼を気取りたい人間ならば、当然、取り上げなくてはならないものだ。


ましてや、鳩山氏は正真正銘、政府の圧力を受けていたのだから、
記事のネタとしては、非常に美味しいはずだ。では、なぜ取り上げないか?


それは、鳩山由紀夫という保守を自称する政治家が、日本政府と違う見解を述べているからだ。
例えば、ウクライナ問題にしても、ロシアを擁護する発言をしている。


つまり、鳩山の発言は古賀のそれとは内容が質的に異なるものである。
一方、古賀の発言は安倍よりも程度が低いだけで、それは量的な問題である。


鳩山が「から揚げにレモンをかけるのは邪道」派なら
古賀や池上は「から揚げにレモンをかけるのが王道」派であり、
安倍は「から揚げはレモン汁で満たした鍋の中にドボンと入れて食うべき」派といったところか。


上の例からもわかると思うが、要するに今の良心派(笑)は
「レモンをつけすぎや!」と怒っているのにすぎないのであり、
「レモンをかけずに食え」と言っているわけではない。この違いを把握しないといかんだろう。


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