時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

なぜトランプが支持されるのか

2016-11-07 23:39:27 | 欧米
いよいよ大統領選の投票日が迫ってきた。
恐らく、怪物ヒラリーが当選するだろうが、それでもトランプを支持する者の声は大きい。


トランプが支持を受ける原因として日本のメディアは移民問題を第一に掲げているが、
そのような内政の問題とは別に、外交問題においても彼はオバマ政権の好戦的姿勢からの脱却を主張している。


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米大統領選の候補者で大富豪のドナルド・トランプ氏は、NBCテレビのインタビューで、
もしイラクのフセイン大統領やリビアのカダフィ大佐が打倒されていなければ、
中東情勢はより安定していただろう
との見方を表した。


トランプ氏は、

「論拠を得るためにはリビアを見てほしい。我々がリビアでしでかしたことを見てほしい。
 リビアは混乱状態だ」と語った。

トランプ氏は、
シリアのアサド大統領が倒されたら、シリアでも同じようなことが起こるとの見方を表している。


トランプ氏は、米国は実際に誰をサポートしているのかさえも分かっていないと指摘し、
「(サポートを受けている)人々の方が、アサド大統領よりも悪い可能性がある」と強調した。


またトランプ氏は、まさにイラクでの「カタストロフィー」が、
テロ組織「IS(イスラム国)」を生んだとの確信を示している。



トランプ氏はまた、シリアにおけるロシアのISに対する作戦への支持を表明し、
「私は、プーチン大統領が、ISを徹底的に空爆しているのが気に入っている。
 プーチン大統領はISを排除しなければならない。なぜならプーチン氏は、
 ISがロシアまでやって来ることを望んでいないからだ」と語った。


ニューヨーク・タイムズ紙とCBSニュースの世論調査によると、
トランプ氏は、米大統領選有力候補の一人。リア・ノーヴォスチ通信が伝えた。


トランプ氏は、トップの支持率を獲得しているだけでなく、
トランプ氏に対する共和党の潜在的な統一候補者としての認識も高まっている。



続きを読む: https://jp.sputniknews.com/us/20151006997384/
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トランプを支持しているのは、保守的思想を持つ白人中産階級だけではない。
アメリカの軍国主義に飽き飽きしている、つまり軍需産業を肥えさせるために他国に干渉する一方で、
内政をないがしろにしてきたオバマ政権に怒りの念を抱く左翼の中にも彼を応援する者が少なからずいるのだ。


また、オバマ政権が推してきたTPPに対しても反対の姿勢を示し、
石炭産業など、オバマ政権時代に国策として切り捨てられてきた産業界の復活も主張してきた。


要するにトランプの過激な言動は、平和の使者オバマと愉快な仲間たちによって散々な目に合ってきた
国民の声を上手く代弁しているというところがあって、それゆえに熱烈に支持されていると言えよう。


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〈ニュースの窓〉米単独支配体制の崩壊 反米・脱米の雪崩現象

米国の一極支配体制が終焉を迎えていることを示す象徴的な出来事が同時多発的に発生している。
それはとりわけ中国、ロシアの反米化とフィリピン、トルコの対米政策の大転換に見られる。



中露の露骨な反米姿勢

中国杭州市で開かれたG20(主要国首脳会議、9月4、5日)で外交的にはあり得ない事件が起きた。

18カ国の首脳の場合とは違って、オバマ米大統領が大統領専用機で杭州空港に降り立った時だけ、
VIP用の赤い絨毯付きタラップが用意されず、オバマは機体から出された普通の階段から降りるしかなかった。


米国の取材陣が飛行機に近づこうとすると阻止され、抗議すると「ここは中国の飛行場だ!」と怒鳴られた。

中国はオバマ大統領の習近平主席との共同記者会見要請を拒否した。

西側メディアは中国側の不手際と欠礼を強調したが、
中国がいかに米国に対して反発し強硬な態度に出ているかを如実に物語っている。



一方、中国は国連安保理を舞台にした米国主導による対朝鮮制裁騒動には冷たい態度を取り、
制裁強化はおろかむしろ貿易量を増やしており、朝鮮への水害復興支援にも積極的に乗り出している。

また、朝鮮戦争を米国の侵略戦争として描いたTVVドラマの大々的放映など
「抗米援朝」という原則的立場をはっきりさせている。



プーチン大統領下のロシアも明確な反米姿勢を打ち出し米国包囲網の構築に力を注いでおり、
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の結束を一層強めるとともに
朝鮮との戦略的パートナーシップの強化を着実に進めている。

とくに中ロは、南朝鮮へのTHAAD配置決定を機に米国との徹底対決姿勢を固めると同時に、
南を潜在的攻撃対象に定めるなど圧力を加えている。



同盟関係崩壊

もう一つの括目すべき出来事は、フィリピンとトルコという米国の対中、
対ロ包囲戦略の要である同盟国の指導者が同時に米国離れし始めたことである。


麻薬犯罪撲滅に乗り出し過激な発言で世界の注目を集めているフィリピンのドゥテルテ大統領が、
政治、軍事、経済的に大きく依存している米国との関係を根本的に見直し、
中国との接近、戦略的協力関係構築を進め始めたことは、オバマ大統領のアジア重視戦略に大打撃を与えている。


米国はフィリピンへの米軍駐留を再び実現し、
今年3月には5つの米軍基地を永久的に存続させようとする計画を立てていたが、
新大統領の登場でこれが頓挫した。米国が南シナ海を巡る領有権問題に付け込んで
中国を牽制するために繰り広げる米比合同軍事演習も中止になる見込みだ。


中国が米国大統領を招いておいて外交的に恥をかかせたのと同様に、
ドゥテルテ大統領はオバマを「娼婦の息子」「馬鹿野郎」と呼び、
9月初めラオスでのASEAN拡大サミットで予定されていオバマとの初の首脳会談をボイコットした。


それは、麻薬犯罪組織員の殺害をオバマが非難しようとしたからで、
反対に彼は米国が植民地時代にフィリピン人を大量虐殺したことを問題にした。

これがフィリピン国民のホンネである。


一方、中東の米国の忠実な同盟国であったトルコのエルドアン大統領が、
米CIAにそそのかされた自国軍部のクーデターをロシアの情報提供によって
事前に察知し制圧したのを機に、それまでの親米、反ロから、米国とは距離を置き
ロシアとの関係改善を目指す方向に政策転換したことも国際関係における新たな地殻変動だ。

これは米国の対テロ戦争、中東支配、中ロ包囲戦略を大いに阻害するものだ。

フィリピンの反米自主化と、イスラム国家で唯一のNATO加盟国であり
EU加盟を望んでいたトルコの脱米欧化は、冷戦後の国際関係を揺るがす一大事件である。(益)


http://chosonsinbo.com/jp/2016/11/sinbo-j_161107-3/
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>米国はフィリピンへの米軍駐留を再び実現し、
>今年3月には5つの米軍基地を永久的に存続させようとする計画を立てていたが、
>新大統領の登場でこれが頓挫した。米国が南シナ海を巡る領有権問題に付け込んで
>中国を牽制するために繰り広げる米比合同軍事演習も中止になる見込みだ。


平和の使者オバマが率いるアメリカ合衆国は、
先の国連総会第1委員会において、核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」決議に異議を唱えた。


他方で、NPT体制(米英仏露中といった大国の核の保有は是認し、それ以外の国の核保有を禁じる体制)の強化と
北朝鮮への制裁強化を訴える核軍縮には賛成の意を示した。要するにオバマの平和とはそういう類のものである。


いつか記事として取り上げたいが、フィリピンのドゥテルテ大統領が国内で強い支持を受けているのも、
長らく政府がアメリカの言いなりになってきたことに対する民衆の怒りを吸収しているからという背景がある。


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フィリピンのドゥテルテ大統領は7日、米国からの武器の買い付け取引を停止するよう指示した。
大統領はフィリピン政府はより安価な武器を探すことを明らかにしている。ロイター通信が報じた。


ドゥテルテ大統領はTVのビデオ会談で
「我々はより安く、おそらく信頼性のおける供給先を探さねばならないだろう」と語った。


米国とフィリピンの関係はドッテルテ大統領が米国を名指しで非難し大反響を呼んだ後、緊張しているが、
米国はフィリピンとの緊密な協力を目指すと前向きな姿勢を示している。

これまでのロイター通信がベン・カーディン上院議員の補佐らからの情報を引用して報じたところでは、
米国務省はフィリピン向けの武器輸出取引の実現を一時停止している。


ドゥテルテ大統領は先の決定の背後にいる者たちを猿扱いする発言を行っている。


続きを読む: https://jp.sputniknews.com/politics/201611072983603/
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オバマ政権はドゥテルテ大統領の「人権侵害」を非難し、
麻薬撲滅のために使われるとされる重火器の売買を禁じた。

マリファナ(大麻)を合法化しているアメリカにとっては、
麻薬撲滅に真剣な意を示すフィリピン政府は非人道的に見えるのだろう。


「テロ掃討」を口実にムスリムの虐殺を黙認するスーチーや
 自国の民衆に空爆を仕掛けるポロシェンコは特に非難されず、ドゥテルテだけが責められる。


話し合いの提案すらせず、問答無用で制裁を加える。傲岸不遜としか書きようがない。



こういう動きを徹底して非難しているのが
皮肉にもドゥテルテや金正恩のような「悪の独裁者」だったりする。


トランプもまた、彼らと同じ気質を持っていて、非常にアグレッシブで過激でありながらも、
現在のアメリカ合衆国に対して明確なNoを叩きつけており、そこに民衆が惹きつけられるのである。


こういうタイプの政治家は日本にはいないので、新聞社やテレビ局も彼を評価しきれていない印象を受ける。

我が国では橋下徹とか安倍晋三とか森喜朗とか日本を取り戻すと言いながらアメリカに追従し、
逆に日本の国土を米軍に売り渡しているような政治家しかいないのでピンと来ないかもしれないが、
外国のナショナリストの中には民族主義的であるがゆえにリベラルな政策を唱える人間も少なくないのである。


そういう点も含めた上でトランプを評価しないと、
結局、カダフィやドゥテルテ、金正恩同様に「乱暴者」というレッテルを貼るだけで終わってしまうだろう。


その種のラベリングがされる時は決まって比較対象として「乱暴ではない人間」が同時に作られるわけで、
平和の使者オバマ、女性の味方ヒラリーなど、およそリベラルとは言えない人間がリベラル化される。


つまり「トランプを否定的に評価するためにヒラリーを神聖視する」行為が行われている。
ドゥテルテが「暴言王」とされる一方で、オバマが「平和の使者」になる。


そういう認識の下で、米軍基地の恒久化を強いてくるアメリカの大統領を国民が歓迎する。
広島に来ただけでコロッと騙されてしまう。非常に問題があると私は思う。


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