時事解説「ディストピア」

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日本近代史に欠けているもの

2014-12-01 00:48:28 | 歴史全般
中塚明氏の朝鮮史を読むと、
いかに近代日本の発展が朝鮮への侵略と表裏一体であるかがよくわかる。


それにも関らず、日本の通史(明治史や近代史の通史も含めて)
では、朝鮮に対する記述が少ないような気がする。



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986年から続いている朝鮮大学校歴史実習が11月13日から15日にかけて行われ、
4年制学部の2年生と教育学部と短期学部の1年生が参加した。


現地実習に先駆けて、10日から12日まで、
朝大教員と外部講師による5つの講義が行われ、
学生たちは「関東大震災と朝鮮人虐殺」、
「日本軍と朝鮮人軍『慰安婦』」、「広島、長崎の朝鮮人被爆者」、
「太平洋戦争と朝鮮人軍属」の4つのテーマについて各自研究を行った。



1日目、学生たちは埼玉県本庄にある本庄市立歴史民俗資料館を訪れた。


旧本庄警察署があったこの地では、
関東大震災時に収容されていた同胞43人が
隣接された演武場で暴徒と化した民衆によって虐殺されたが、
資料館には1枚のパネルと数冊の本以外にそれを物語る展示物はない



学生たちは長峰共同墓地の
「関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊碑」を訪ね花を手向け、追悼文を読んだ。
1959年に日朝協会によって建てられたこの碑にも民衆の虐殺行為への言及はない。


続いて学生たちは栃木県日光市の足尾銅山に向かった。
銀山平にある「中国人殉難烈士慰霊塔」を見学し、
足尾銅山の3つの抗(通洞抗、本山抗、小滝抗)のうちもっとも山奥にあり、
朝鮮人、中国人が多く収容された小滝抗跡を歩き、「朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑」を訪れた。


中国人慰霊塔と比べ、
あまりにも粗末な木製の碑の前で
生徒たちは沈痛な面持ちで黙祷をささげた。



その晩宿所では、総聯栃木県本部の崔朝雄委員長が
「足尾銅山と朝鮮人強制連行」というテーマで講義を行った。


2日目には足尾銅山の坑道内を見学した。


1940年8月から足尾銅山に連行された同胞の数は累計2416人。

しかし、坑道内にある年表には
「1940年戦時体制の中
労働力不足の補充として朝鮮人労働者を使用」
の一文のみが書かれ、世界遺産登録に向けての
「日本の近代国家創りに貢献した歴史ある観光施設」
が全面に押し出されている。



学生たちは専念寺で追悼式を行ったあと、
精錬所と足尾ダムを見学し、夜は西崎雅夫さん
(関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会
・一般社団法人ほうせんか)による講義
「八広に追悼碑ができるまでー東京の朝鮮人虐殺の実態ー」を聞いた。


最終日、学生たちは11月13日に「強制性」を否認する
新しい説明版が設置された松代大本営地下壕に向かった。



そこには総聯長野県本部の李光相委員長もかけつけ、説明を行った。

委員長は市当局の「非常に姑息なやり方」に怒りを露わにしながら

植民地政策により強制的に連行された犠牲者の存在を否定する
 安倍政権と世論の動きには、私たち自身のルーツにかかわる問題として闘わなければ。


 日本人もそうだが、同胞の中でも世代が変わり、実感がわかない部分もあると思う。
 
 しかし今日本列島の各地で
 同時多発的に起こっている歴史修正の動きもヘイトスピーチなどの差別も本質は一緒。


 若い人たちが過去の歴史の事実を知り、守っていくことが重要」だと述べた。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/11/sk1118-2/
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悪の権化として描かれることが多い総連だが、言ってることはすごくまとも。
逆に、総連に反対する人間が歴史改竄やコリアン差別を是認している。


私が北朝鮮バッシングについて懐疑的なのも、
やってる連中が差別主義者だったり歴史改竄工作を平然とやっていたり、
そういう極右と一緒になって人権を語っている姿がどうにも胡散臭いからだ。

実際、嘘ばっかり語っている連中で、
その言説の一端はこのブログでも取り扱ってきた。


私は、こういう連中が跋扈しているのも、元をただせば、
上の記事が述べているように、コリアンをのけものにした歴史叙述に
あるのではないかと思う。正直言って、私は足尾銅山=鉱毒事件であり、
コリアンが戦時に強制連行された場所でもあることは知らなかった。


日本史では足尾銅山=田中正造・鉱毒事件であり、強制連行は除外されていた。


最近は少しずつ工夫されてきたが、
それでも日本史は大和民族の歴史であって、マジョリティの歴史である。


簡単に言ってしまえば、黒人やインディアンを抜きにして
アメリカ史が語られているようなもので、相当問題があると思う。


公平性や中立が要求される日本史のテキストや通史で
こういうマイノリティを排した歴史を描くことを歴史家は許してしまった。


この責任はとても大きいと思うのだが、
まぁ……一部の識者を除いて特に論じられることもないのかもしれない。


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