時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ウクライナ東部、人道回廊についての報道

2014-06-15 23:43:02 | リビア・ウクライナ・南米・中東
北朝鮮の報道もそうですが、もはや何が何やら…ですね。
メディアが真実を語るとは限らないことがウクライナを通じるとよくわかる。


まず、「ロシアの声」から3つの記事を紹介します。

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ウクライナ大統領選挙に託されていた望は叶わなかった。
ウイクライナでは国民対話の代わりに、南部・東部の特別作戦が強化され、
多くの血が流れ、新政権の代わりに、クーデターで政権に就いた
ヤツェニュク氏が率いる「以前と同じチーム」が残った。


(中略)


ウクライナ情勢を平和的に解決するチャンスは急激に少なくなっている。
現地のマスコミの情報によると、ウクライナ南部・東部では27日、
軍人、義勇兵、一般市民およそ500人が死亡した。負傷者の数は不明だ。
おおよその数さえ分からないという。ドンバスの病院は患者で溢れかえり、
医薬品や医師が不足し、大勢の人が必要な援助を受けることができないために
命を落としている



治療を必要とする負傷者を別の地域へ搬送することも不可能だ。

なぜならキエフ政権は、包囲されている地域の子供たちのための
「人道回廊」でさえ、設置拒否しているからだ。

ウクライナ軍司令部は現在、
もっとも弱く、もっとも無力になることを目指しているかのようだ。

27日には、戦闘地域から負傷者を搬送していたトラック2台が
空からの攻撃を受け、負傷者のほぼ全員が死亡した。最近設立された、
ウクライナ西部の超過激派組織のメンバーで構成されている
ウクライナ国家親衛隊は、犠牲者の数に触発され、義勇兵が搬送される
医療施設を攻撃する意向を表明した。ポロシェンコ氏は、
南部・東部での軍事作戦は「数時間」で終わるべきであり、長く続くべきではないと述べた。
ロシアのラヴロフ外相は、ウクライナでは暴力が停止される代わりに、
軍の動員が発表され、軍事行動が強化されていると指摘し、次のように語っている。

「ピョートル・ポロシェンコ氏は、国の団結を掲げて大統領選挙に立候補した。
 ポロシェンコ氏は、最初の訪問先はドンバスになると述べた。
 現在ドンバスでは正真正銘の戦闘が行われている。
 そしてポロシェンコ氏自身は、軍事作戦を強化することで、
 この作戦を迅速に終わる必要があると語っている。
 来るポロシェンコ氏の就任式までに、重火器を使用している軍、
 国家親衛隊、『右派セクター』やそれと似たような部隊などが、
 南部・東部で抵抗を鎮圧させたならば、ポロシェンコ氏は、
 勝利者としてドンバスを訪れることができるだろう。
 だがこれが、ドネツク州でポロシェンコ氏が歓迎されるための
 良い条件をつくることは恐らくないだろう。」

(2014年5月28日)
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_05_28/272908216/
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西側の代表者たちは、国連安全保障理事会にロシアが提出した
ウクライナに関する人道支援決議案を、政治的なものにしようとしている。

ロシアのチュルキン国連大使が3日、
国連安保理でロシアが提出した決議案の事前協議の後、記者団に明らかにした。


チュルキン大使によると、ウクライナに関するロシアの提案は、
ウクライナでの暴力停止に焦点を当てたものとなっている。

チュルキン大使は、国際団体が人道支援や医薬品などを届け、
地域の住民が戦闘地域から脱出するために、
ウクライナ南部・東部に人道回廊を設置することに集中する必要があると語った。

だが、西側諸国は決議案を議論する際に、建設的な姿勢をみせなかったという。

チュルキン大使によると、西側諸国はロシアの提案について
「十分にシニカル」に、「問題をさらに分析する」必要があると指摘したという。

チュルキン大使は、「ロシアが提案した決議案に関する作業は、
簡単にはいかないだろう」との見方を示した。


(2014年6月3日)
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_06_03/273101748/
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ロシアは国連安全保障理事会に、ウクライナに関する決議案の「修正版」を提出した。
ロシアが提出した新たな決議案は、紛争の当事者たちに、
民間人の生命や安全を脅かす行動の自制や、
永続的な停戦交渉を即時に開始するよう呼び掛けている



ロシアの決議案は、ウクライナ南部・東部の幅広い問題を指摘している。
まず、地域における暴力を一刻も早く停止するよう呼び掛けているほか、
全ての当事者たちに、一般市民の生命や安全を脅かし、
社会インフラを破壊する行為を止めるよう求めている。

またウクライナ危機を解決するための基盤となるべきものは、
大規模な憲法改革と、ウクライナのあらゆる民族や政治勢力の対話について記載されている、
欧州安全保障協力機構(OSCE)のロードマップだ。

決議案では、居住区への砲撃が非難されており、
軍事作戦で禁じされている弾薬が使用されていることに懸念が表明されている。



ウクライナ軍は今週、ドネツク州スラヴャンスク郊外の居住地域に焼夷弾を投弾した。
軍事専門家のアンドレイ・クリンツェヴィチ氏は、民間人に対して
白リン弾を使用されたと指摘し、これは ジュネーブ条約で禁止されていると述べ、
次のように語っている。


「米国の分類によると、白リン弾は大量破壊兵器に属している。
 なぜなら白リン弾は、人々を死に追いやる大量の煙を出す。この煙で肺が焼かれてしまう。
そして、豆粒ほどの大きさの弾丸の一部が体にあたった場合、致命傷となる恐れがある。

医師は手の施しようがない。これは油の中に落ちた溶融金属 の一部のようなもので、
さらに深く潜り込んでゆく。医師が応急手当てを施し、2時間後に傷を開いたとき、
まだ燃え続けていたということもあった。」

ウクライナ国家親衛隊は、白リン弾使用に関する情報を性急に否定した。
だが多くのビデオ、目撃証言、そして破壊の性質が、その逆を示唆している。

ロシアは、この受け入れがたい事実に国際社会の関心を向けさせた。
ウクライナ南部・東部で活動している国連の監視団は、
ウクライナ軍が焼夷弾を使用したとの情報を調査していると発表した。


6月2日、ロシアは国連安全保障理事会で、
ウクライナに関する決議案を検討するよう提案した。

(2014年6月13日)
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_06_13/273489722/
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このように、5月末からロシアは一貫して人道回廊の設立や停戦を呼び掛けているのですが、
どうも朝日新聞は、この辺がピンと来ないようで、空爆を行うキエフ政権を支持しています。


次のような記事は、意図的であろうとなかろうとキエフを支持し、
ドネツクやルガンスクを誹謗するものでしょう。

http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN0ED0PM.html
http://www.asahi.com/articles/ASG691555G68UHBI574.html


他にも、ハリコフ(ウクライナ東部の州)で、
ウクライナ軍を支援する市民が物資を提供したという
にわかには信じがたい記事を載せたりしているわけですが・・・
はっきりとは言えませんが、正直、かなり怪しいと思わざるを得ません。

北朝鮮に関しては何度となく誤報を報じ、かつ訂正記事を載せてこなかったし、
何よりも現地では住民が爆撃を受けて逃げているのに、それを一つも記事に
していないわけです。朝日新聞の記者たちは。ロイター通信でかろうじて
ロシアの呼びかけを報じてはいるものの、どちらかといえば否定的な内容です。


これでは、ウクライナ軍よ、かまわず爆撃せよ
と言っているようなものです。



百歩譲って、東部で軍を支持している人間がいるとしても、
東部にもライトセクターの人間がいるという話ですから、
その種の保守派の人間がやっているものと思われます。


いずれにせよ、朝日新聞は東部からの難民がいること、
都市への空爆をウクライナ軍が行っていること、
それをポロシェンコが断固崩さない姿勢であることを知りながら、
あえてキエフ政権に都合がよい報道をしている
わけです。



そしてリビアやアフガンのように、すべてが破壊された後には
そんな攻撃は始めからなかったかのように報道数を減らしてしまう。


今の朝日をはじめとして新聞が売れない、テレビ離れが騒がれていますが、
根本の原因として、この種の悪質なプロパガンダを平然とやってのける点に
視聴者や読者が辟易していることが挙げられるはずです。

書くべきことが書かれていない。語るべきものが語られていない。
英語が読めない普通の人間は強制的に無知にされているわけです。

無知な人間を量産して、民主主義は果たして成り立つのでしょうか?

テレビ朝日のウクライナ報道

2014-06-15 22:51:07 | リビア・ウクライナ・南米・中東
肝心なことは何一つ…というのは、これまで何度も指摘した通りですが。


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ウクライナ軍機が親ロシア派に撃墜されたことなどに抗議して、
市民がロシア大使館を取り囲みました。


東部ルガンスクで14日、ウクライナ軍の輸送機が親ロシア派に撃墜され、
兵士49人が死亡しました。これを受けて、首都キエフでは、
約200人がロシア大使館を取り囲んで抗議しました。

市民らはロシア国旗を降ろし、建物に石などを投げ付け、大使館の車などを破壊しました。

一方、アメリカのケリー国務長官は、
ウクライナの首相やロシアのラブロフ外相と電話で会談し、
ラブロフ外相に対しては親ロシア派への武器流入などについて強い懸念を示し、
緊張緩和への努力を強く求めました。ウクライナのポロシェンコ大統領は
親ロシア派への攻勢を強めるとしていて、早期の停戦は難しい状況です。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000028863.html
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朝日新聞をはじめとして、ずいぶん非道い報道ばかりしているので、
まだマシなほうかと思うのが何とも言えない。


まず、この問題を考えるうえで重要な点として、
この「市民」が擁護しているウクライナ軍の機体は現地で空爆を行っています。

これはピンポイント爆撃ではなく、病院や学校、民家をも破壊するものです。
そのため、現在、ロシアやクリミアに避難する者が多くいます。


また、次の記事を読むと一層、この軍の悪質な面が鮮明になるはずです。


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スラヴャンスクから子供たちを乗せて出発した2台の自動車が、
ウクライナ軍の銃火にさらされ
、少なくとも女性3人が負傷した。


独立を宣言したドネツク人民共和国防衛省の補佐官で
作家のフョードル・ベレジン氏が、ブログで伝えた。


ベレジン氏によると、自動車は白旗を掲げていたという。
2台のうち1台の自動車が横転し、乗員は別の車へ乗り換えたが、
高齢の女性一人が腕を折り、自動車から救出することができなかったため、
成人の娘と一緒に残ったという。

ベレジン氏によると、現場となった地域はウクライナ治安部隊の管理下にあるため、
スラヴャンスクの義勇軍は同地域に入ることができない。

ベレジン氏は、救急医療機関に電話し、状況を説明したという。
ベレジン氏はブログに、「砲撃が停止し、負傷した女性が搬送されることを願っている」
と書き込んだ。

http://japanese.ruvr.ru/news/2014_06_13/273480348/
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なるほど、確かにドネツクの義勇兵は戦闘機を撃墜しました。
しかし、キエフ軍は民間人を攻撃しているわけです。


殺す相手が兵隊と民間人とでは、その残虐性も大きく異なるのは自明の理でしょう。


また、この大使館を攻撃した「市民」には、
ネオナチ政党であるライトセクターの人間もいたことも書かれていません。

↓参考サイト
http://rt.com/news/165984-unsc-russia-embassy-blocked/
http://rt.com/news/166020-ukraine-minister-effing-putin/


これまでにも幾度か指摘していますが、現在行われているのは
親ロシアか親ウクライナかではなくて、中央政府と地方自治体との戦いです。
キエフの保守派をスタンダードにして今回の内戦を語るべきではありません。


私は、少なくともジャーナリズムを標榜する機関ならば、
空爆を支持する人間より、空爆の被害に遭っている人間の
立場から報じるべきだと思います。「中立」という美名で
肝心の事実を報じない、意図的であろうとなかろうと、
この問題を論じるにあたって重要な事実を隠匿すべきではない。そう思います。