時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ドルに抗う第3諸国 金で脅す民主主義 抵抗する権威主義

2014-06-10 00:21:11 | リビア・ウクライナ・南米・中東
気に入らない国は、金の力で叩き潰すのが民主主義。


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クリミアでウクライナの銀行が活動することは禁じられている。
ロシアの銀行は国際的な経済制裁の対象になるリスクを恐れて進出しない。

これにより、クリミアの現金自動預け払い機(ATM)は止まったまま。

市民は預金を引き出そうとしたり、
クレジットの返済を行おうとしたりしているが、むなしい努力に終わっている。

連邦政府は現状の正常化を約束しているが、今のところ現金で取引することしかできない。


(中略)

ウクライナ国立銀行(NBU)の文書によると、5月6日より活動が禁じられている。

ウクライナの大手銀行クリミア支店の元幹部は、
ウクライナにとって外国人となったクリミアの住民が、
ウクライナ永住権などの追加的条件なしに
ウクライナの銀行のサービスを受けることは、法律で禁じられていると説明する。

NBUはクリミア住民へのあらゆる支払い、またクリミアとの決済を禁止したという。
これによってクリミアの預金者の口座は凍結されたが、銀行は返却権を持っていない。
また利用者がクレジットの返済を行おうとしても、クリミアから送金もできない。

http://jp.rbth.com/business/2014/06/05/48589.html
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言うことを聞かないなら預金を引き落とせなくしてやるぞ!

というわけです。



時間が経てば経つほど、中央政府の横暴が目に余ってきます。

ほとんどの識者は、この事態をもって民主主義の欠如を非難すると思いますが、
むしろ私はこういうことをするのが民主主義の本質だと捉えています。

(民主主義を絶対視することは、総じて民主主義を国是とし、
 また民主化という名の他国への干渉を正当化させる。

 実際に、彼らの多くはイラクの占領政策の失敗を
 その民主主義の本質のせいではなく、民主化に失敗したのであり、
 民主化そのものは良いものだと言っている。

 つまり、原則的に権威主義と彼らが名指しする国家に対して
 武力干渉、経済制裁を与えることは良いことだと是認しているわけである)

権威主義国では、途上国が多くを占めることもあり、
得てして武力を持って内外の敵を弾圧する傾向にありますが、
民主主義国の場合は、より狡猾で支援という形で間接的に武力介入する一方で、
食糧や金融を持って真綿で首を絞めるように体力を奪っていき、弱体化させていく。


逆らう国家や集団を、じわじわと嬲り殺しにしていくその様は、
暴力を使わない暴力とでも言えましょう。


こういう動きに対して、第3世界の諸国家も黙っているわけではありません。
近年では、ドルに代わる基軸通貨を打ち立てようとする動きが見られます。


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米国は強大な軍事力と基軸通貨としてのドルの力を背景に世界を支配してきた。
しかし、その力に陰りが指摘されて久しい。

米国はロシアに対して経済制裁を課しているが、
反発するロシアの対抗策の方がインパクトが強い。

ロシアを非難すればするほど、自国の弱体化を証明する泥沼にはまっている。

▼ロ中両首脳は5月20日、上海で会談し共同声明を発表。
金融での連携を強化し、ルーブル、人民元建ての貿易の増加を目指すと宣言。
直後にロシアのVTB銀行は、人民元による国際決済を開始した。
ロシアは朝鮮との貿易でもルーブル決済を開始する。西から東に重点を移している

▼ドル支配を瓦解させる動きは、制裁対象国から発信される。
ドルによる原油取引の中止を宣言したイランは、
自国通貨や相手国の通貨による決済に努めている。

南米、アフリカ、中東などでも、
ドルやユーロに経済的に対抗するための共通通貨を模索する動きが活発だ

▼1997年のアジア通貨危機や2008年の国際金融危機では、
 ドル依存の危険性を十分思い知らされた。ロシア、中国など、
 外貨保有率が高く、領土や資源が豊富な国がドル決済を解除し、
 潜在的な反米国家がそれに便乗することで、ドルは一気に弱体化する。
 制裁は自国に跳ね返る。

搾取と圧迫がある所には必ず抵抗がある。
 世界大戦後、力でねじ伏せられていた国々が反発し独立したように、
 経済で押さえつけられていた力が爆発する時が来る。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/06/il-287/
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最近、何かと欧米から攻撃を受けているロシアと中国ですが、
彼らも昔とは違い、十分に経済力を持ちつつあるわけで、
今後も先進諸国の言いなりになるつもりはないようです。

私としては、この動きに日本も加わってくれればと思わなくもないですが、
まぁ、大っぴらに欧米に喧嘩を売るこの動きに日本が応じるわけもなく。

というか、むしろ日本は欧米と一緒になって途上国を絞っているわけで、
まず、ないでしょう。いずれにせよ、金の力で解決するという手法は
もはや通用しなくなりつつあるわけで、その辺を踏まえて外交を
行わなければ、いずれ時代の波に乗れず大損をするような気がします。