時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

プミポン国王が逝去したが・・・

2016-10-13 20:56:35 | 国際政治
世界で最も在位の長いタイのプミポン国王が先刻、逝去した。

これに対してNHKは「タイ政治の安定化に決定的な役割を果たしてきた」と伝えたが、
正直、そうでもなかろうと思わざるを得ない。タイ国内での動乱は前から度々ニュースに上がっているが
その責任の一端は国王にもあった。日本では国王は国民に愛されていると説明されるが、
少なくとも数年前に反政府デモを行った人間は、彼の「仲裁」を快く思っていないだろう。


それにしてもイギリスしかり、スペインしかり、タイしかりカンボジアしかり、
どうして日本人というのは君主制に対してここまで弱いのだろう。好意的に反応してしまうのだろう。

他方で、選挙で元首を選んでいるシリアやイランに対しては「独裁国家」とレッテルを貼りたがる。
ウクライナの動乱もしかり。民主主義という言葉を賢しらに振りかざす割には封建制度には弱腰である。


特にイギリス王室はアフガンの侵略作戦と繋がりがあり、王子の一人も戦いに参加しているのに、
日本のメディアはエリザベス女王は「国民に愛されている」才女であるという風に伝えたがる。


さらに言えば、サウジアラビアというテロは支援するわ、イエメンに侵攻するわ、
暴力の限りを尽くしている正真正銘の独裁国家に対しては一言たりとも非難の言葉を浴びせない。


君主制には沈黙どころか崇拝とも言える意思さえ見せる一方で、
仮にも選挙で選ばれた市民政府に対しては「独裁」と憤る。「民主化」せよとけたたましく叫ぶ。


「民主化」とか「人権」という言葉は非常に独善的なもので、
 私たちは、誰が誰に対してその言葉を何のために使うのかを注意深く検討する必要があるのではないだろうか?


・追記

 思えば、ローマ法王しかり、ダライラマしかり、宗教指導者に対しても妙に好意的で、
 どうしてここまで封建制の遺物に対して飼いならされた犬のように平服してしまうのだろう。

 別に日本人のことだけを言っているわけではなく、いわゆる「民主主義国家」に住み、
 このイデオロギーを表面上は信奉し、シリアやイラン、北朝鮮といった欧米列強の敵国に対しては
 烈火のごとく「独裁」からの「解放」を願っている連中が得てして古い権力に弱いのはなぜなのだろう。
 
 私には、彼らが真に「民主化」を志向しているとは到底思えない。
 (まぁ、私はこのような非常に利己的で独善的な構えが近代民主主義の基軸ではないかと考えてはいるが…)


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