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ここが変じゃない?武田さん

2009-11-18 00:03:25 | 武田邦彦
 お待たせしました。武田邦彦氏の外来生物に対する主張についてつっこみを入れていきます。
では、武田氏の論理のおかしな所を指摘していきましょう。まず指摘するのは、武田氏のブラックバス(オオクチバスとコクチバスの総称)に対する認識についてです。武田氏はこう主張しています。

>たとえば、外来種として有名なブラックバスは1920年代に食糧確保を目的として輸入され、当時は日本の淡水魚に勝てなかった。でも、次第に日本の自然が汚れてきたので、ブラックバスが繁殖するようになったのだ。

つまり、武田氏は自然環境が良好ならバスは繁殖しないし、ほかの在来生物を駆逐することもないと言いたいのでしょう。ここでいう日本の自然が汚れたというのが具体的に何を指しているのかはっきりと述べられていませんが、おそらく水質の悪化などを指していると思われます。

それでは武田氏の主張に対する反例を挙げさせていただきます。まず、オオクチバス指定時の小委員会で使われたデータ[i]によれば、環境改変がない場所474ヶ所の内の248ヶ所でオオクチバスの被害が顕著とあります。
このデータはランダムサンプリングをしているわけではないので統計資料として用いるには注意が必要ですが、たとえ環境の変化が軽微であったとしてもオオクチバスが在来生物に猛威を振るうということがあり得ないことではないことはおわかりいただけると思います。
 
 さらに具体例を紹介しましょう。宮城県に伊豆沼・内沼という湖沼があります。ここはラムサール条約登録湿地であり、多数の水鳥とそれを支える水生生物が生息していました。もともとここの水質は悪いのですが、絶滅危惧種のゼニタナゴが漁業として成り立つほど多く水揚げされた場所でした。具体的には定置網1ヶ統1日当たり580尾が漁獲[ii]されていました。オオクチバスは1992年に220kgの漁獲があった後、1996年に700kgが水揚げされるまで漁獲はありませんでした[iii]。 
しかし、この1996年から伊豆沼・内沼の魚類相は一変します。漁獲の多かったタナゴ類、モツゴなどが大きく減少し(タナゴ類は95年までは5~11tあった漁獲が96年には0.8t[iv])、2000年の段階ではハゼ科魚類2種とメダカ、ゼニタナゴが定置網による調査で確認されなくなっています。またモロコやモツゴなども個体が大型化し、小さな個体が見られなくなっています。こうした大型化する現象はオオクチバスが侵入した水域でよくみられます。漁獲も1995年までは30~40tで推移していたのが1997~1999年には11~13tに減少しています。一方、オオクチバスの漁獲は1997~1999年にかけ急増し、毎年2~3tが漁獲されるようになりました。 この間、伊豆沼・内沼における水質は目立った変化を見せていません。タナゴ類の産卵場所となるカラスガイやイシガイなどが大量へい死しているわけでもありません[v]。つまり、目立った環境の変化がないにも関わらずオオクチバスは増え、在来種に猛威をふるったわけです。

タナゴ類が減った理由を考察してみます。オオクチバスはタナゴ類やハゼ類をよく捕食します。ここで問題なのはタナゴ類が捕食されるだけでなくハゼ類も捕食されるということです。なぜこれが問題かというと、ハゼ類はタナゴ類が産卵する貝類の宿主となる[vi]からです。つまり、ハゼ類が捕食されるということは貝類の再生産を妨げ、結果タナゴ類の再生産も妨げられるということです。伊豆沼・内沼でタナゴ類が回復しないのもオオクチバスの捕食により現存する個体群と未来の産卵場所の両方がダメージを受けているからだと思われます。
これでも十分かと思いますが、駄目押しにもう一つ用意してあります。お楽しみに。




[i] http://www.env.go.jp/nature/intro/4document/sentei/fin_bass02/ext01.pdf
[ii] 川と湖沼の侵略者ブラックバスp51
[iii]川と湖沼の侵略者ブラックバスp49
[iv]川と湖沼の侵略者ブラックバスp48
[v]川と湖沼の侵略者ブラックバスp56
[vi] タナゴ大全,2009,マリン企画p155
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