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破壊続くパルミラ遺跡を守れ 取り組み始めた日本人研究者

2015-10-14 07:30:00 | 報道/ニュース

10月6日 おはよう日本


奈良県立橿原考古学研究所 元副所長 西藤清秀さん。
奈良ともゆかりが深いシルクロードの文化財を研究し
パルミラ遺跡については国内の第一人者である。
「シリア砂漠の薔薇」と称されたパルミラ遺跡。
紀元前1世紀~3世紀にかけて栄えたシルクロードの交易として
荘厳な柱が並ぶベル神殿には世界中から観光客が訪れていた。
西藤さんは発掘調査隊の隊長として現地を繰り返し訪れ地元の研究者とも交流を深めてきた。
(西藤清秀さん)
「年代を示す大きな神殿
 西アジア式の神殿が残っているのはパルミラだけですし
 魅力ある遺跡だと思う。」
しかしシリアでは4年ほど前から内戦が激化。
今年に入ってからはISが勢力を拡大し現地調査が不可能になった。
さらにISはこれまで貴重な文化財を破壊してきた。
偶像崇拝を厳しく禁じるということだけでなく
取り去った文化財を資金源にしていると言われている。
そのISが今年5月パルミラに侵攻した。
国連の機関が公開したベル神殿の衛星写真
8月27日撮影した写真には本殿などが写っている。
しかし4日後の31日では建造物が無くなっていた。
事態が悪化するなか西藤さんの元に衝撃的な知らせが届いた。
長年親しくしてきたパルミラ遺跡の研究者ハリド・アスアドさんが殺害されたというのである。
“非常に悪いニュースを教えます
  ハリド・アスアドがきょうISによって殺された”
アスアドさんはパルミラ博物館の元館長で
半世紀以上にわたってい席の研究を行い
古代遺跡の解読するなど成果を上げてきた世界的な歴史学者である。
西藤さんとは20年以上にわたって親交があった。
(西藤清秀さん)
「もう残念しか言いようがありません。
 残念 無念。
 本当に腹が立つというか。」
西藤さんの元に届いた情報ではアスアドさんは被害を避けるため
パルミラ遺跡の文化財を別の場所へと移動させていた。
ISが迫りくるなか息子たちは安全な場所に逃げようと声をかけたが
アスアドさんは1人現地にとどまり
その2日後ISに拘束されたというのである。
(西藤清秀さん)
「留置されて文化財のありかをしゃべるよう強制されて
 それをしゃべらないから殺されたという話は聞いています。
 非常にパルミラを愛する人間ですので
 パルミラを見殺しにしたくないという思いはあったのだろう。」
アスアドさんの思いを受け継ごうと西藤さんは欧米など10カ国以上の研究者に呼び掛けた。
パルミラ遺跡の問題を話し合う国際会議を12月に隣国のレバノンで開こうというである。
会議はパルミラから他の場所に避難させた文化財を外国に移す方法を検討するほか
失われた文化財の復元を目指し各国の研究者が持つ情報を共有するのが狙いである。
さらに歴史や考古学に関係する期間を回り活動への募金を呼び掛けている。
この日は日本の古代文化について調査研究する施設を訪れ協力を呼び掛けた。
「シリアの文化財救済の支援をしようと思って寄付金を募っているものですから。」
(万葉文化館副館長)
「興味は持っていただけるんじゃないかなと思います。
 ぜひ積極的に協力していきたい。」
(西藤清秀さん)
「遺跡は人間が生きてきた証しを残してくれている場所ですし
 アスアドが愛したパルミラを現実には戻らないけれども
 できるだけ彼の見た世界に戻せるよう努力していきたいと思います。」
太古から人々が守り伝えてきた歴史の証し。
その灯を絶やさないという決意を秘めた取り組みが始まっている。

 

 

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