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パキスタン 女性救う“希望のビーズ”

2015-10-29 07:30:00 | 報道/ニュース

10月15日 おはよう日本


2005年 パキスタン北部を襲った大地震。
7万人を超える人が死亡。
12万人以上がけがをした。
10年が経つが
地震によるケガで重い障害が残った女性たちの中には今でも社会から孤立している人たちがいる。

今年5月 首都イスラマバードで開かれたファッションショー。
駐在する各国の大使たちもモデルとして参加した盛大なイベント。
主役は胸元や頭で輝くビーズのアクセサリーである。
これは紙から作ったペーパービーズと呼ばれるビーズ。
いまパキスタンで大きな注目を集めている。
このファッションショーを企画したのは日本人の高垣絵里さん。
世界各地で開発支援を手掛けてきた高垣さん。
4年前 パキスタンに拠点を移した。
パキスタンで仕事をする中で高垣さんが目の当たりにしたのは
女性の社会的地位があまりに低い現実だった。
パキスタンでは学校に通わせてもらえずに労働にかり出されるケースや
10代での児童結婚などが横行している。
10年前の地震で最も苦境に立たされたのはその女性たちだった。
大けがをして働くことができなくなったことで厄介者とされ
家族から見捨てられる女性が続出したのである。
路頭に迷った女性たちの中には地震から10年経った今も保護施設での生活を余儀なくされている人が少なくない。
「『障害がある子が生きていくのは無理だ
 車いすの生活は家族の重荷だ』と言われ生きるのが嫌になりました。」
「地震で人生のすべてが変わりました。
 『死んだ方がましだ』と大勢の人に言われました。」
社会からも家族からも見捨てられた女性たち。
ところがそんな中でも生きる希望を失わない女性に出会い高垣さんは衝撃を受けた。
(高垣絵里さん)
「自分の手で何かがしたいとおっしゃって
 その言葉が忘れられなくて
 その生き方にすごい感動して
 彼女たちのために役立ちたいと考案したのがペーパービーズ作りでした。」
内に秘めた女性たちの願いをなんとか叶えたいという思いに突き動かされた高垣さん。
2年前にビーズを作るグループ「ペーパーミラクルズ」を設立。
生涯がある女性たちとビーズ作りを始めた。
限られた予算でも活動できるように材料になる紙は使わなくなったカレンダーやチラシを使う。
国内の支援者から無料で提供されている。
(高垣絵里さん)
「普通の人にしてみれば単なるごみの山にしか見えないと思うんですけど
 みんな1人1人
 個人・企業の方だったり
 そういう方たちが寄付してくださる紙なんで
 いろいろな方に支えられているとつくづく感じます。」
ビーズ作りは集められた紙を色合いを考えられた紙を細長く裁断することから始まる。
それをひとつずつ丸めていくことでビーズの形にする。
集中力が必要だが障害がある人でも指先さえ動けばできる仕事である。
紙のデザインはモザイクのような柄を作り出すよう
平面積とは異なる独特の輝きが魅力である。
活動は現在貧困層の女性たちも含め200人が参加するようになった。
作ったビーズは1つ2円~3円で買い取ってもらう。
外に働きに出ることが難しかった女性たちにとって貴重な収入である。
多い人で月に1万3,000円ほど。
公務員の初任給の半分ほどになる。
一度は社会から見放された女性たちはビーズをを作ることで再び生きる希望を取り戻している。
施設で暮らすシャヒーンさん。
地震で崩れた建物の下敷きになり下半身が不自由になったのは16歳のとき。
被災直後から病院を転々とし
3年前にこの保護施設にたどり着いた。
生きる意味を見失っていたシャヒーンさんだが
いま自分は社会の役に立っていると実感できるようになったという。
(シャヒーンさん)
「アクセサリーを買った人が喜ぶのはうれしいし
 自分にも何かできるという自信になります。」
前向きな気持ちになれたことで生活にも変化が現れている。
積極的に外出しショッピングなどを楽しむようになった。
さらに障害を負ったことであきらめいた夢を再び目指したいという気持ちも芽生えている。
(シャヒーンさん)
「以前は歌手になりたかったんです。
 そのためには自立することが必要でした。
 いまもう一度夢を実現させたいと思います。」
高垣さんはペーパービーズの活動を広めることで
女性たちが社会で輝ける環境を作っていきたいと考えている。
(高垣絵里さん)
「ちょっとしたきっかけで自信を取り戻すとすぐ性格も変わるし表情も変わる。
 小さな夢でもいいのでそれを見つけてちょっとずつ前進していくのが大事じゃないかと思うので
 あきらめずに常に前向きな姿勢で向かっていってほしい。」


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