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坂東玉三郎 沖縄の「組踊に挑む」

2013-03-22 20:27:58 | 報道/ニュース


  3月21日 おはよう日本


  歌舞伎女形の人間国宝 坂東玉三郎さんは
  これまで中国の伝統劇や世界的なバレエダンサーとの共演など
  様々なジャンルに挑戦してきたが
  今月挑戦したのは沖縄の伝統芸能である組踊(くみおどり)。
  組踊は今から300年ほど前 
  沖縄の伝統的な舞踊や音楽に能や歌舞伎の影響が加わって作られた演劇である。

  歌舞伎俳優として初めて沖縄の伝統芸能に挑戦した坂東玉三郎さん。
  以前から組踊の独特の美しさに惹かれていたと言う。
  (坂東玉三郎さん)
  「ある種 様式性の強い
   しかも神秘的な感じがした。
   あの美しさ あの音楽 統制された様式美
   素晴らしいなと思っている。
   この中に私が入れるかしらという思いだけ。」
  今回 玉三郎さんが出演したのは新作組踊「聞得大君誕生(ちふぃじんたんじょう)」。
  1500年ごろの琉球王国を舞台に国王の妹の聞得大君の悲恋を描いたものである。
  セリフは全編琉球の古語で語られる。
  玉三郎さんは一つ一つ確認しながらセリフを覚えていく。
  組踊の一から学ぶ玉三郎さんは
  一方で歌舞伎の良さも取り入れたいと思ってきた。
  そのひとつが聞得大君の恋人が争いに巻き込まれ命を落とすシーン。
  もともと琉球王国時代に生まれた組踊は死を直接的に表現しない伝統があり
  舞台上では人が殺される場面はない。
  一方 歌舞伎では見せ場で役者が大きな身振りによって感情を表現し
  観客に分かりやすく伝えることが大切とされている。
  玉三郎さんは組踊でもそうした演出を取り入れたらどうかと提案した。
  そして行われた舞台稽古では
  死を印象づけるために実際に刺される場面を演じることにした。
  稽古後 そのシーンについて議論が行われた。
  伝統を守りたいという沖縄側の思いもあり
  この日はどちらの演出にするかは決まらなかった。  
  さらに玉三郎さんはセリフや細かな所作についてもアイデアを出し
  直前まで台本を修正していく。
  台本は24稿にも及んだ。
  その姿勢に触発された沖縄の役者からも様々な意見が出され
  争いのシーンについてさらに稽古が重ねられた。
  (舞台監修 幸喜良秀さん)
  「歌舞伎役者と若い組踊役者たちの競作っていうんですかね。
   新しい合作ですよね。
   コラボレーションが行われる。
   画期的だと思う。」
  そして迎えた本番。
  沖縄 東京 合わせて6公演すべてのチケットは即日完売となった。
  畏り嬉しさや 夢一つ さらみうすりうりしさや いみふぃとぅつぃさらみ  
  (畏れうれしさは一つの夢だ)

  聞得大君が恋に揺れる思いを語る場面。
  組踊りの伝統にのっとった演技で観客を魅了する。
  最後まで議論された争いのシーンは双方の話し合いの結果
  あまり大きな身振りはしないものの舞台上で殺される様子が表現された。
  (坂東玉三郎さん)
  「劇場の大きさもありますし
   近代の人が見る時は
   ある程度 刺されたというところだけでも見れば
   一つだけ傷ついたことだけ見せた方がいいかと思って。」
  新たな分野に挑戦することで歌舞伎の芸をさらに高めていきたい。
  玉三郎さんはそう考えている。
  (観客)
  「沖縄の踊りにすごい上手におさまっていた。
   完璧です。」
  「いつもの組踊とは違う感じで
   すごく見やすくてよかった。」

  相次いで名優が亡くなった歌舞伎界。
  大きな重責を担う玉三郎さんの挑戦が続く。
  (坂東玉三郎さん)
  「これ以上たくさんの挑戦はできないでしょうけど
   とにかく自分の本拠地に戻って
   お客様に喜んでもらえる物をつくることが夢です。」
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