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閣僚が論戦から逃げてどうする

2011-09-20 08:40:24 | 編集手帳



  
  9月16日付 読売新聞編集手帳


  長屋の壁にきのう吊(つ)った棚が、
  ない。
  亭主が女房に聞く。
  「わいが吊った棚あれへんな」
  「徳用のマッチ箱載せたら落ちたやないか」
  「せやさかい言うてるやろ。わいが吊った棚へは物載せな、ちゅうて」。
  上方落語『宿替え』である。

  野田首相も内閣という名の棚を吊った。
  与野党の対話を載せましょう。
  白熱した論戦を載せましょう…当然そうなるものと思っていると、
  どうも違う。
  私の吊った棚には、
  まだ物を載せてくれるな、
  ということらしい。

  会期を4日間で閉じることに、
  与党はかたくななまでに固執している。

  野党の要求を受け入れて会期を延長すれば、
  答弁でどんなボロを出すか分からない。
  時間を稼いで、
  ソツのない答弁術を官僚からみっちり勉強するつもりだろう。
  「適材適所」はどこへやら、
  何とも頼りない棚である。

  「俺たち力士が相撲を取らないでどうする」。
  大相撲の八百長問題を巡って開かれた今年4月の緊急力士会で、
  本場所ボイコット論を静かに制した大関魁皇関(当時)の言葉を思い出す。
  俺たち閣僚が論戦から逃げてどうする――
  閣内に一人の名大関もいないとは、
  さびしい。
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