日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

白鵬の連勝「63」でストップ

2010-11-17 22:51:20 | 編集手帳
  11月16日 読売新聞編集手帳


   1年半ほど前の本紙『よみうり時事川柳』に、予言めいた一句が載っている。
  〈稀勢の里君(きみ)が何とかせにゃいかん 東京・後藤克好〉

  きのうの午後6時前、どれほど多くの人の口から「ああッ!」の声が漏れただろう。
  大相撲九州場所2日目、横綱・白鵬が稀勢の里に寄り切られ、
  今年1月の初場所14日目から続けてきた連勝記録は「63」で止まった。

  白星を重ねていけば7日目には“昭和の大横綱”双葉山の連勝記録「69」に並ぶ。  
  記録の達成が待ち遠しく、
  立ちはだかる人が現れるのも待ち遠しく、
  複雑に心みだれる「ああッ!」であったに違いない。

  双葉山の連勝記録を止めた安芸ノ海に挿話がある。
  師匠(出羽海親方)はさぞかし喜んでくれるだろうと意気揚々、部屋に戻ったが、
  ニコリともしてくれない。
   やがて口をひらいたという。
  「節男(=安芸ノ海の本名)、勝って騒がれる力士より、負けて騒がれる力士になれよ」

  負けて列島が騒然となるのは“平成の大横綱”たる証しだろう。
  記録の重圧と、一人横綱の重圧に挟まれて、
  不祥事つづきの土俵を白星の山で清めてくれた。
  その人に拍手を送る。
コメント