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閣僚のお粗末さ

2010-11-25 22:37:52 | 編集手帳
  11月23日、読売新聞編集手帳


  正岡子規が大学予備門、のちの旧制一高を受験したとき、
  英語の試験問題に「Judicature」という単語が出た。
  隣の受験生にこっそり聞くと、「ホーカン」(法官)だという。

  子規は答案に「幇間(ほうかん)」(=たいこもち)と書いた。
  司馬遼太郎さんが『坂の上の雲』(文春文庫版)に書き留めている。
  法官を束ねる立場の人も似たような勘違いをしたのかも知れない。

  法相はいいですよ。答弁を二つ覚えておけば務まります…。
  地元の支持者らを前にして下手な幇間よろしく、
  笑いを誘って聴衆のご機嫌を取り結ぼうとした自虐ネタが仇となり、
  柳田稔法相が国会軽視の発言で引責辞任した。

  火災現場でダジャレを言う消防士はいない。
  手術中に漫談をする外科医もいない。
  スピーチをする人ならば誰しも多少の笑いを取りたいのが人情とはいえ、
  国難と呼んでもいい「尖閣」問題の渦中に身を置く閣僚が、
  職務を貶(おとし)める冗談をみずから口にする。
  常識の埒(らち)外(がい)であり、資質を疑われても仕方があるまい。

  タイコだけにバチが当たります――
  小咄(こばなし)のサゲではなし、
  緊張感を欠いた菅内閣のお粗末は笑うに笑えない。
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