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菅政権の希薄な領土意識

2010-11-15 22:35:55 | 編集手帳
  11月6日、読売新聞編集手帳


  長州藩士で、のちに藩政改革に手腕を振るった人に村田清風がいる。  
  青年のころ、初めて江戸に出たとき、富士山を見て詠んだ歌がある。
  徳富蘇峰『吉田松陰』(岩波文庫版)より。
  〈来て見れば聞くより低し富士の山 釈迦も孔子もかくやあるらん〉

  話に聞いて想像していたほどには、高い山でもないぞ。
  偉い、賢い、と言われるお釈迦さまや孔子さんも、実際はどうだったのだろう。
  何ごとも、自分の目で確かめるに限るのだな、と。

  百聞は一見に如しかず、という。
  清風の歌をもじるなら、
  〈見てみれば聞くより酷しわが領海…〉だろう。

  ネット上に流出した海上保安庁のビデオ映像を見れば、
  尖閣諸島沖の漁船衝突事件は中国漁船の側に非のあるのは一目瞭然である。
  犯罪行為を裏づける証拠映像をお蔵に納め、国民の目に触れないようにする。
  逮捕・送検した中国人船長を処分保留のまま釈放する。
  日本政府による事実上の「証拠隠滅」「犯人隠避」を疑われても仕方がない。

  情報管理のゆるみは目を覆うばかりだが、
  それ以上に菅政権の希薄な領土意識が気に掛かる。
  〈…北方領土も かくやあるらん〉
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