先週1週間は、緊張の取材をはさみつつも、あまり残業せずにゆったり過ごしてみました。たっぷり睡眠を毎日とると、気分がよいです。
そいで映画も見ました。
1つは「
いつか読書する日」。田中裕子や岸部一徳が出演しています。
かなりグッとくる映画でした。照れますので多くは語りませんが、なかなかに重層的な映画でした。音楽(池辺晋一郎)もかなりよかったです。(私の)5本の指に入ります。(残り4本のうち1つは中国の「故郷の香り」)
お勧めしたいよい映画はたくさんありますが、(私の)5本の指に数えられる映画は、優れているとかどうというのは別に、より私に沿った映画だということなのかもしれません。
そこに共通する(私の勝手な)キーワードは、「誠実(誠意)って何かねぇ…」(本編のせりふではありません)。
少し意味不明の日記になってしまいました。
以上とは別に、お勧めしたい映画を紹介します。
「Little Birdsリトルバーズ ―イラク 戦火の家族たち―」(マクザム、102分+特典、5985円)(綿井健陽監督)です。
いろんな場所で上映会もされていますが、最近DVD(特典付)も発売されました。ぜひいろんな人と一度見て、感想を出し合ってみてほしいです。
平和新聞に紹介文を書くために、私は家の小さなパソコン画面で見ました。
私は綿井さんとは面識はまったくありませんが、なんとなく「この人はいい人だ!」と思っています。すごく勝手に。しかも「いい人」ってよくわからん表現ですけど。
なぜそう思ったかと言うと、1つはブログがおもしろいこと。
もう1つは、綿井さんが出演されたNHKの「課外授業 ようこそ先輩」を見て。
クラス全員にビデオカメラを持たせ、「幸せ」をテーマに撮らせるのですが、転校を前にしたある生徒の映像を見て、綿井さんはホロリとするのです。
ビデオジャーナリストとして、イラク戦争など厳しい現場に足を運んでいる綿井さんですが、この人が撮りたいものは本質的には「生(せい)」というか、暮らし・営みの尊さ、というようなものなのだろうと感じたのでした。そいで、私も単純なのですが、感激したのでありました。
そんな綿井さんがイラクの人々を丁寧に追ったドキュメンタリー。
平和新聞4月15日号に書いた映画紹介文に加筆したものです。
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本作品は、ビデオジャーナリストの綿井健陽氏が、戦火の中で生きるイラクの家族を追い続けたドキュメンタリーである。
3月20日のイラク開戦直前、イラク人は綿井氏のカメラに投げかける。「日本は広島・長崎を経験している。日本は好きだ。しかしなぜアメリカを支持するのか?」「なぜ急にイラクへの気持ちを変えたのか?」なぜ。
空爆開始から5日後、イラク人の疑問は怒りに変わる。綿井氏は空爆直後の現場に遭遇し、そこにいたイラク人に当時の様子を取材しようとする。しかし答えは「ノーアンサー」。「(殺したのは)お前らとブッシュだ。お前らとブッシュは一緒にイラクを破壊している」。
4月9日バグダッド陥落。町に米軍車両が乗り入れ、「悲しい制圧」が始まる。町では、ブッシュ像を倒そうとする者、それを遠巻きに静かに見つめる者。綿井氏は米兵に「何しに来たのか」と尋ねる。「イラク人を助けに来た」。綿井氏はさらに「これ以上殺さないでくれ」と訴える。「(殺したのは)わざとじゃない」「いろんな意見があるんだ」若い米兵たちは自信なさげに答え、その場を足早に立ち去っていった。
この場面を画面で見る私たちは、混乱に陥る。誰が何のために戦争を起こしたのだったか…?
サマワに駐留する自衛隊は、イラク人の血とは無縁のごとく、のんき顔で日本のマスコミへPRを続ける。まるで道化のようにも見える。日本のマスコミは自衛隊の食事に気をとられ、バグダッドやその他の虐殺現場には興味をもてないのだろうか。
虐殺は続いている。日本にいる私たちには、その様子を知ることは難しい。こうしたジャーナリストの活動が、切実に必要なのだ。病院で家族を看るイラク人は叫ぶ「撮れ。これを撮れ。これがアメリカのやることか。サダムと一緒じゃないか」
米兵が投下したクラスター爆弾の破片が右目に刺さったままの少女は、最後に語った。「人間として見てほしい」「私にとっての戦争はまだ終わっていません」「私たちは自分たちの暮らしを取り戻し守り続けていきたい」
カメラに向かったイラク人の怒りは、これを観る私たち自身に対するものではないか。この作品を見てもなお、「民主主義国家」による戦争が避けられないこともあると、言える人がいるだろうか。
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DVD付録の冊子に、綿井さんは「簡単には泣かないでほしい」と書いています。
しかしやはり私は少し泣いてしまいました。綿井さんが米兵に「何のための戦争か」と尋ね、若い米兵が「答えたくないな」とにじり去る場面。「人間の盾」にも参加した若い女性が「病院で死んでいく子どもたちを見よ」と詰め寄り、若い米兵は目をそらすしかできない場面。
イラク人がカメラに怒りをぶつける場面。
それでも、カメラに向かって静かに語る場面。などなど。
写真は今日ガイドをした靖国神社近くの川。