植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

インデイ(印泥)アンは嘘つかない

2023年01月12日 | 篆刻
先のブログで紹介したようにお御籤が「大吉」あったのに気を良くして、ちまちまとヤフオク入札を続けているのです。何しろ「金銭その他万事心任せ、旅立ち行き先利得あり、商い売り買い損はなし」でありましたから。

そして、昨日届いたのが「北京栄寶斎 印泥」であります。以前このブログでもなかなか入手困難と説明しました。その理由は、質のいい最高レベルの古い栄寶斎は本場中国でも珍しいことと、非常に高価なことにあります。今でも、中国の輸出商などで詰め替え用の袋入り印泥は売られているようですが、実際には、昔のオリジナルとは全く異なる作り方や色合いであろうと思います。

現代の、中国印泥製造は、「李 耘萍 (リーウンピン)女子」監修のものが全盛であります。潜泉印泥廠三代目職人長で、品質と人気が高い明るい橙色に近い印泥を開発し、大どころの印材メーカーのほとんどがこの人と提携し監修されているのです。そういう意味では、伝統と歴史がある 栄宝斎すら、李女子とタイアップしているので、旧来の印泥の製法や材料の組成なども全く変わったとみております。


さて、そこで問題というか急遽思い立ったのが、数ある印泥の収集物を、整理し、個々の印泥の状態を全部チェックして、「高価なもの・珍しいもの、実用に使えるもの」などを選り分けようという大作業であります。篆刻を始めて印泥の大切さとその奥深い魅力に動かされ、ついついヤフオクで集めてしまいました。印肉・朱肉・印朱などと言われる物を除いても60個位あります。実際に使っているのは1個か2個(笑)。槐松亭と風雅な名前を掲げておりますが、もはや「印泥庵(インデイアン)」と改名したいくらいです。

そして、今のところ、印泥蒐集の仲間や篆刻印を彫った人に譲って欲しいと言われていて、それに相応しい実用に問題が無い状態のいいものを3個ピックアップしなければならないからでもあります。

まぁ、いっぺんに全部は出来ません。のんびりやるとして、優先的には「北京栄寶斎」を点検しようと思います。前述のブログに、縁がなさそう、と書いたのにいつの間にか4つになっている(笑)。以前紹介したのがこれで、「1号」としましょう。印のつき方や色合いから真正のものだと断定しております。





先日、「栄寶斎印泥」の研究と蒐集に関しては恐らく右に出る者は居ないと思われる「tachan116」さんから出品されていた4両装の品で、「3号」としておきます。上の写真の印泥と比べると、①陶器製の品物に移し替えられている、②外が寒かったので少し固い(押印した印影が薄い)、③裏ブタが「六角形シール」で栄宝斎定制と印刷されているのです。ワタシのものは七宝焼きの印合の裏ブタに金属の横長の薄いシールに「北京栄寶斎新記製」と書かれております。

次に、もしかすると本物かもしれないと思っている未使用(表面に金箔が張られたまま)の印泥で、量目は2両と思われます。これは2号として、箱には何の記載も文字も無く、裏ブタに1号と同じ金属シールが貼られているのです。これが問題のある印泥で、ベタベタして「ダマ」になるのです。

「tachan116」さんによれば、本物の古い栄寶斎印泥(1980年以前)ならば、何十年経っても変質しないし、油などのしみ出しも無いそうです。ならば、この2号は、偽物か・管理メンテナンスが行き届かないために状態が悪い、かのいずれかであります。また、もともと陶製の印合に入っていたことが、偽物の証明なのかもしれません。ダメもとで「骨ヘラ」で練り直してみました。油を吸い取る「繊維」を使う、更に「艾(もぐさ)」で固くするという方法もありますが、これは最後の手段にとっておきます。

まだあります。これは、色合いが全く違うのです。しかも陶製の印合にはなんの表示も無く、箱の表に「特製印泥 栄寶斎」のラベルが貼られているだけなのです。一応これを「4号」としておきましょう。これもどうやらアヤシイ、偽物の匂いが致します。

※因みに、雰囲気や色合いが伝わりやすいように、それぞれの印の色合いで「号」に色を乗せてあります。写真でも分かるように、同じ「栄寶斎」なのに、その色が明らかに違いますね。

こうした印泥達を、偽物・粗悪品と区別したいのであります。それはいずれ、終活・断捨離で販売・処分する時が来る時、「栄寶斎」だと嘘ついてヤフオクに出したくないのです。本物ならちゃんと、それなりの値段で販売し、偽物ならここで思い切って廃棄処分し、二度と世に出る事が無いようにしようと思うのです。
インデイアンは嘘つかないのであります(笑)
コメント
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