植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

久しぶりに面白いものを見させてもらった U-20準々決勝

2022年08月23日 | スポーツ
もうジエンド、閉店ガラガラであります。わが巨人は昨日で6連敗を喫し、ビリ争いとなりました。開幕当初は、かなりの間、1位だったのです。しかし、若手の投手は伸びず、中継ぎはどれも失点が防げずで、クローザーの「大勢」以外は全く当てになりません。四球とエラーが多すぎて話になりません。外国人や4番岡本も本塁打狙いの大振りばかりで、ヒットが出ず坂本は年中故障、大黒柱の菅野は昨年同様、故障と年齢からくる衰えで勝てなくなりました。もう将棋で言えば飛車角金落ちみたいなものであります。

ワタシは、たまにチャンネルを回して負けていることを確認する以外は巨人戦を見る気になれません。ワタシの盟友、巨人党で私設ヘッドコーチの北村氏からも、怒りのLINEすらぱったり途絶えております。

秋風が吹くようになって、スポーツ好きのワタシは野球に見切りをつけゴルフを中心にTV観戦していますが、今やってる女子サッカーのU-20ワールドカップに注目しているのです。4年前日本のヤングなでしこは、この大会で堂々の優勝を飾りました。

澤・宮間さんなどが大活躍したフル代表の優勝、U-20 U-17すべてのカテゴリーで優勝経験があるのは日本だけなのです。やや低迷気味のなでしこジャパン、その将来を占う意味でも大変意味がある大きな国際大会なのです。

予選は順調に勝ち上がり、アメリカをも倒して3連勝でグループDを首位通過し、一昨日に準々決勝で、グループC2位のフランスと当たりました。順当ならば軽く勝てると思っていました。ところが、実のところFIFAランクではフランスは3位、日本は11位ですから格上相手であったのです。

録画しているのに気が緩み、見始めたのが前半35分過ぎでした。試合は、今大会初めて日本が1点先行されました。それでもPKを獲得し、前半1-1で折り返しました。スタッツは日本のボールキープが60%程度で、シュート数も倍、ファウルはフランスが6で日本が1、前半をあまり把握していなかったのでその時点では勝てるだろうと思っていました。

ところが、実際の試合では、パワー・テクニック・スピードいずれもフランスの方が上回っていて驚きました。体の大きさが違うせいもあり、ヤングなでしこは突き飛ばされ、のしかかられ何度も転んで倒れるのに、フランス選手たちは簡単にバランスを崩しません。

後半3分に浜野が幸先よく得点しリードはしましたが、フランスは、細かなパスを省いてロングパス一本で最前線に運び、強烈なシュートを何度も放ちました。難敵相手に1点リードした途端、守りに入ったように見えました。なんとかGK大場 朱羽 の俊敏な動きでファインセーブを連発して失点を防いでいました。そして、しかし、フルバックとキーパー間でぐるぐるボール回しをして時間を浪費し、ボランチやサイドバックに出すパスを幾度も狙われてピンチを招くシーンが増えました。

前半攻守で走り回っていたナデシコが疲れたのだと見えました。フランスは日本が後方でボール回しをしているので、運動量を抑えられスタミナが残っていました。後半終了近くになると個人技で突破され、5人のディフェンダーをかわしたフランスのエースに同点ゴールを許したのでした。

延長戦に入ると、彼我の疲れの差は歴然とし、日本のミスが増えて防戦一方となりました。ワタシはもうこのままでは絶対勝てない、と感じていたところ、やはり強烈なミドルシュートをポストの隅に叩き込まれて「万事休す」、敗戦は間違いない展開になりました。

ワタシは、園芸や篆刻の仕事(笑)で、後半戦が待っているので、延長戦後半15分終了を待って、「もうこの1点はとり返せない」と悟って家を出ようとしたのです。すでにしてフランスのベンチでは、勝ちを確信した選手たちには笑顔が浮かび、控えで応援するヤングナデシコたちは涙を流していました。

しかし、ワタシは、ロスタイム2分の表示に気づき最後まで観て行こうとテレビを消しませんでした。残り1分を切ったところで、最後の得点のチャンスが訪れました。フランスのペナルティーエリアの5mくらい外で貰ったフリーキックでした。相手DFの背後に向かったそのキックを、日本選手が飛び込んでヘディングしたのですが、GKがパンチングで守り、シュートは無念にもゴールポストを越えて一巻の終わり、と誰しも思ったのです。

ところが審判がマイクで交信する姿が映し出されました。そうです、あのビデオ判定(VAR)の対象となったのです。GKの出した手が、ヘディングする日本の選手の頭に当たって倒したように見えるのです。先にボールに触れたのがどちらかで決まります。そうして、なんと、GKのファウルが認められ奇跡的なPKとなりました。見事にPKを決め、残り時間数秒で同点に追いつきPK戦となったのです。

こんな展開を誰が予想できたでしょう。漫画や小説でもこれだけの筋書きは考えつかないでしょう。ワタシは、ここで初めて日本が勝てる、と確信しました。フランスは終了間際に多くの主力選手を下げていました。疲れがあったとはいえ日本はベストメンバーがピッチに残っていました。キーパー大場は、非常に反応が良く、好調に見えました。また、勝ったものだと気が緩んでいたフランスの選手に、再度モチベーションを上げるというのは難しいと思えました。まだ十代の少女たちですし、とりわけファウルを犯したGKの選手は半泣きで、とうてい平静な神経・心理にはなっていないでしょうから。日本人選手たちは、100%負けだと思ってPK戦となったものだから勇気凛凛であります。

はたして5-4の結果で、なでしこが勝ち上がりました。勝負は終わるまで何が起きるかわからない、最後まであきらめてはならない、という典型的な試合で、この試合を観れただけですごい得をした気分であります。

ワタシにとっては、あのワールドカップでアメリカと戦って、延長戦最後の澤の奇跡の同点ゴールをみたその感動に匹敵する試合でした。画面の向こう、コスタリカで走り回る選手たちの「心理戦」、それとシンクロして自分がその展開を想像しながら観る楽しみ、これがサッカーの醍醐味でありました。

珍しくこの試合は録画してあります。これから何度も再生して楽しもうと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする