植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ヤフオクで印材のお宝を狙う 前編

2022年08月04日 | 篆刻
ヤフオクは、かなりの出品物が日曜日の夜10時頃に入札期限が設けられています。多くの人が仕事が無い土日に、ゆっくりヤフオクをチェックし、遅い時間まで欲しい品物に入札することと関係があるようです。言い換えれば、週末は競争率が高くなり、結果割高な最終価格となるのです。

先週末から月曜日にかけて、篆刻関連の魅力的な出品が続いたのです。その多くは、古い篆刻印、珍しい素材の印材で、約30個ほど、ウオッチしておりました。ねらい目は、いつものように「ワタシにも落札出来るような目立たない石で掘り出し物」、出来れば田黄石ないし「田黄のような石」が希望でした。しばらくヤフオクから距離を置いて自粛していたのですが、ここで一気に「ヤフオク祭」を始めたのです。

まず、最初に「いった」のが、これまで最低落札価格が高く設定されていて誰も入札に至らなかった紐付きで、側款(在銘)刻字ありの古印です。2,3週間前に出ていたのですが、ワタシもちょっと高いと逡巡してそのままになりました。同じ方が再度出品された二つの印材が、それぞれ千円くらい安くなっていたのです。経験的にこういうパターンだとなかなか落札されないのです。で、その最低価格に5百円乗せて札を入れていたらめでたく二つともに落札出来ました。いずれも時代を感じる布箱入り〆て7,300円也。
片方は「龍淵刻」とある緑石、広東緑と思われます。彫自体は大したことが無い様(彫り直した形跡があります)ですが紐が虎とみえて、いい感じなのです。紐は圧倒的に獅子が多いのです。もう一つは象の頭と獅子の体の想像上の動物で、仏教では「慈悲と智慧」を表します。 これがなかなか時代を感じさせる細工でありました。側款は「谷夏」と読めますが、子細に調べないとよくわかりません。石は、黄色味を帯びていて旧坑の青田石の名石「封門」であろうと思います。この印が、日本とも縁がある著名な中国人書道家谷夏さんの作ならば、相当な価値があるはずです。


次に狙いを付けたのが、印材2個セットで印箱もない人気がなさそうな地味な印でした。その方の出品物はほとんどが墨や篆刻印、硯などの書道具でしたが、説明書きがあまり書道関係に詳しくない様子で、故人の遺品整理を委託されたような物ではないかと見ました。同時に出ている他の品物もなかなかの値打ちものでした。
その印は、獅子紐があり楕円で古い金石文が彫られ、側款に「福厂 」の文字が読み取れました。それがもし王福庵先生( 王 禔)の印ならば大変な値打ちものなのです。王さんは、西泠印社の創始者のひとりで、現代の篆刻界でも多大な貢献をした篆刻の名人です。お父さんも金石文研究家、また西泠印社の初代社長はかの呉 昌碩 先生であります。その印と、もう一つは琥珀色の小さな小石、なんの彫もなく自然石の端を、印面に小さく切ったものでありました。この二つが2,100円で落札出来ました。
加えて同じ人が出品していた、2本セットの印材がありました。一つは5㎝位の高さの扁平の自然石、やはり飴色で簡単な薄意(浮彫)が施されていました。もう一つは牛角凍と見える灰色で細長い関防印の形で、植物の紐が彫られ、側款には「只争朝夕」と玄渡?の作家名がありました。これもなかなかいいものだわい、とばかり勢いで入札したら1,000円で落札できたのであります。


次に落札できたのは「関東某家買取」と標題が付いた印が個別に1本ずつ20件ほど出品されていたのです。そのいずれもが、田黄石やそれに類するような見事な石であったので、ほとんど「ウオッチ」でマークしていました。そして予想通り、それらのほとんどがどんどん高値更新されて、3万円から10万円以上になって他人様に落札されていきました。当然懐の寂しいワタシには、そうした高級品・希少品には縁が無いので、かすりもしません。
しかし、かなり本格的な篆刻印蒐集家の収蔵品が一挙にオークションにかけられているようなので、粗悪品や無価値な安物は無かろう、という読みでありました。皆さんの人気が集中しそうな印を避け、入札期限が早く、「ウオッチ」が数人の安そうなものをポンポンと3,4千円の値段を入れていったのです。

すると、2件が引っかかりました。ヤッター😄であります。(これはまだ未着であります)合計4,501円でしたが、彼の人物の出している品物群は、いずれ劣らぬ銘品と見えましたから、大変期待できるものなのです。

更に、高山凍と表示された自然石の薄意ありの印も、同じ時間帯で落札出来ました。これは、色が少し灰色がかっていてワタシが欲しい「田黄」とは異なる、あるいは、もしかして人造石?といった雰囲気もあったので、3,410円という微妙な金額で落ちたのだと思います。下の写真の上の印であります。

最後が、印箱に入っている古そうな凍石系の印で、一つは丸石の下半分を印面に削ったもの、もう一つは、同じく茶色系、パリン石などに見られる雲のような模様が流れる半透明の紐付き対章であります。実は箱の裏に「山陽堂」の価格ラベルが張られていて丸石が850円、二本の対章セットが16,000円となっていたのです。それが本当なら両方で、2,700円で入手出来たのは大変ラッキーであったと言うべきでしょう。

これで合計21千円の投資で、12本の古印・落款印を入手しました。1本あたり1,750円という計算になります。

さて、これらが、実際いかほどの価値になるかじっくり調べてみようと思います・・・・続きは中編へ。
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