植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ただ酒とただ食いは高くつくのかしら

2021年02月19日 | 時事
 以前ワタシは金融機関勤務でした。だいたいその半分くらいが営業職・渉外と言われる業務についていました。お取引先との交渉事、売り込み、融資条件折衝などなかなか面白い仕事で、この職業の一番のだいご味でした。

 駆け出しのころは集金とか御用聞きですが、30歳ころになると、重要な取引の窓口になったり、営業店の主要先を担当することも増えてまいりました。ちょうどバブルが始まった頃でした。そこで繰り広げられたのが「接待」であります。接待麻雀、接待ゴルフ、料亭での飲食、いろいろありました。概ねこちらが接待する方で、相手は官公庁やその関連団体、大手企業から地元の名士、中小企業までといろいろでした。

 目的は、普段お世話になっている取引先との「懇親」で、情報交換や親交を深めるといったことです。が、その先には、なかなかいろいろ事情や戦略的な意味合いもあります。そもそも銀行の支店長クラスは、取引そっちのけ、自分がうまいもの食ってゴルフをしたいからではないかと疑うような接待も多かったのです。

 思うに、世の中には人の金で飲み食いをすることに無上のシアワセを感じる人種が存在するのではないでしょうか。会社や団体のお金で堂々と遊べるのが、役得であり権限でもあるのです。ですから、十分に親交が図れていて親密なお相手は、なにも接待など必要ないのですが、お互いの個人的な利害が一致するので「癒着」に近いような接待が頻繁に行われるのです。

 接待した場合、お金の負担は明快です。招いた方が全部持つ、であります。飲食費・花代、車代もお土産代も二次会費用も全部です。宴が終わって、ごそごそ財布を出して割り勘など見たことも聞いたこともありません。

 さて、菅総理の息子さんの会社「東北新社」との接待問題が取りざたされています。確認されただけでも10数回飲食し、基本的には新社側がお土産付きで費用を持ったという接待です。こういうのをわれわれは接待攻勢をかけたといいます。そして、通常では考えられない総務省の最高幹部4名がのこのこでかけています。衛星放送を手掛ける映像事業会社 が、会社負担で許認可権を握る総務省の幹部をもてなす、それだけでアウトです。

 「総理大臣の息子が役員」の会社から要請があり、息子が出席しているので、これを忖度した役人がその利権を分かち合う、というだけの明確な構図でありますな。倫理法・国家公務員倫理規程に違反しております。また「請託」がありこれに呼応して便宜を図った場合は、贈収賄罪に問われます。 省内の処分どころではなく「刑事罰」の対象になるのであります。

 衛星放送の話をしたか、というのが焦点になっています。飲み会で野暮な話はしませんわね。官僚は「記憶にございません」などと、何処かで聞いたようなふざけた回答をするから、話が拗れ疑惑が深まります。世界に冠たる頭脳明晰・記憶力の塊のような国家公務員ですよ。記憶が飛ぶような泥酔をしたのかもしれませんが(笑)。特定の企業から頻繁に接待を受けていたなら、ただ酒欲しさに出向いたという理由は通じません。野党も、下らぬ質問する暇があったら、試しに記憶が残っていそうな数年間で、公用の接待が何回あって、金は誰が払ったか、何社で何回行われたかを調査すればいいと思いますね。許認可権と関係先企業の密接度がよくわかるのではないでしょうか。

 只より高い物はない、とい言葉があります。ただという文句につられて痛い目に合う、かえって高くつくという戒めであります。ワタシは、酒でも旅行でもゴルフでも、自分の気の合った仲間と自分のお金で、なんの気兼ねもなく遊ぶというふうにやってきました。

 今回の関係者の皆さん、会社の経費でさんざん飲み食いして、記憶にござーませーん、といって白を切るのです。やっぱり、ただほど楽しいものは無い、ということになるのでしょうか。

 嗚呼 何をかいわんや


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