植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

安倍政権が遺したもの その5 言論封殺

2020年09月05日 | 時事
 民主党政権がコンクリートから人へ、をキャッチフレーズに長きにわたって君臨し続けていた自民党政権に代わったのが十数年前です。寄り合い所帯、旧自民党出身者が統率したこの政権も、最初の頃は「事業仕分け」で思い切った公共事業・行政の無駄に切り込みました。ワタシは、これが派手なパフォーマンスという評価をされたのが残念でなりません。実際、仕分けされたものが役人の手で別の名目で復活しました。連綿と続いている無駄な事業・変革を阻害する天下り組織が温存されたのです。
 
 官僚の方が上手でした。当時の田中真紀子さんの例を挙げるまでもなく、役人を上手に使いこなすことが出来なかった政権は徐々に立ち往生するようになりました。八ッ場ダムも結局は工事再開。小沢さんの蓄財、鳩山さんの巨額のおこずかい、そして、あの東日本大震災が起こりました。そもそも、自民党の原発政策、原子力発電所の管理体制におごりと欠陥があったのに、その責任は問われず、ヘリコプターで陣頭指揮に当たった菅総理が非難されました。結局消費税引き上げに同意した野田内閣で終わりになりましたね。しかし、これは自民党と役人が結託して民主党を引きずり下ろしたのです。

 以後、「悪夢の民主党政権」という安倍さんの言葉が国民の間に摺りこまれ、民主党はとんでもない政権だったという評価に定まったのです。彼らは政権運営を初めて執り行ったのですよ。実務経験の乏しい閣僚、人材の薄い寄り合い所帯でぎくしゃくし、失政に思われることも多々ありましたが、国を変え、もしかしたら失われた30年から脱却するチャンスだったかもしれないのです。それを有権者が我慢できず、自民党の老練さと安定に委ねたのが今の日本の現状であります。

 それからというもの、安倍政権は徹底した世論操作を行いました。自民党に逆らうものは排除、政権批判するメディア・識者・評論家はどんどん圧力をかけられ排除されました。

 そこに最も重要な役割を果たしているのが「電通」であります。例の持続化給付金の受託先です。Go-Toキャンペーンでも受託の約束をしていたことが明るみに出て、急遽公開入札になりました。電通の若手社員が過労死しても軽い処分でした。政府と電通はずぶずぶの関係なんですね。
 電通は、スポンサー契約を通じてマスコミ・テレビ関係者に絶大な影響力を有しています。また、世論調査などでの情報操作も担っております。報道番組に出てくる芸能人やジャーナリスト、専門家、キャスターどれをとっても、電通の承諾なしでは放送・出演が叶わないのです。

 また、安倍政権では内閣の広報が朝から晩まで、報道番組からバラエティー番組、ワイドショーなど幅広く視聴し、問題のある内容や批判があると経産省あたりから公式ツイッターなどで反論しているようです。以前TBSの報道ステーションに強硬な抗議をしたのは公然の事実です。当然直接テレビ局の上層部には連絡が行くでしょう。これを圧力をかけると言います。スポンサーの意向と政府からの圧力で、民放はもはや完全に牙を抜かれた飼い犬、番犬にすらなりません。

 政権要人との記者会見でも、徹底した統制を行い、質問内容を制限し、フリーの批判的な記者からの質問など受け付けません。そもそも会見場に入る記者たちの選別を行いっているのです。

 今更、全国紙・大新聞社の政府びいき・偏向報道をあげつらっても仕方ありません。今朝も、朝日新聞が「世論調査」(笑)と称して、安倍政権の評価結果を公表しました。なんでも、政権を評価するが71%だそうです。よく見ると、「大いに」17%、「ある程度」54%を合わせた数字。どんな政権でも8年近くやればある程度なにかしら目に付きます。ある程度とはどの程度か知りませんが、過半数の人は、そういうあいまいな設問に曖昧な回答をするよう仕向けているのです。これも一種の世論操作、いかにも7割以上の人が「安倍政権よくやった」と満足しているような印象を与えているのです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする