植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

人生も書も 行きつ戻りつ

2020年09月23日 | 書道
コロナが始まったころから、ワタシの書道の練習の中身が「作品づくり」になりました。半切という長細い紙(条幅ともいいます)に作品として書くのです。半紙に臨書するのは割合お手軽で、机に向かってササっと書き始め、お手本通りに書くのでさほど難しくありません。半切はその約6倍の大きさなので、余白空間の取り方は格段に難しくなりますし、同じ字の大きさとすれば6倍の神経を使って書かなければならない計算になります。

 半切の作品というのは、題材を選び書体を決め、バランスやらなにやらチェック項目が多くて簡単にいきません。臨書(真似て書く)から、自分のオリジナルの字を書こうとすれば尚更ハードルが高くなり、困難さが増します。

 一行詩は、字数が少ないので一字当たりが太く大きいという誤魔化しが効かないものになりますし、字数が多い2行詩・3行詩になると、一字でも書き間違えたらアウト。書道家さんが作品作りに取り組むと何百枚も書くと聞きます。卓越した先生ですらその位書かないと満足が出来る書は出来ないのですね。

 そうして、同じ題材を延々と半年続けて書きました。ほぼ毎日、平均4,5枚書きますから、千枚近く「反故」を出した計算になりますね。一枚50円として5万円、総理大臣の会食1回分ぐらいでしょうか(笑)
 
 機械漉きでない半切の新品の紙なら安いもので一枚50円位です。高いものは200円もします。ワタシはここ1年近くでヤフオクで古い書道紙を集めています。何度か落札出来て、ピークで半切3千枚ほどあったでしょうか。これらは定価の1,2割の価格で落札しているので、さほどもったいないこともありません。
 どこかの納戸に何十年もしまい放しであった古い紙がオークションで日の目をみて、ワタシのようにへぼながら書道の上達に役立つことになります。ただ捨てることから見れば、はるかにましなのです。
 
 オークションで届く段ボール一杯の紙の中には、シミだらけ・茶色に変色・安物で書くに堪えないというものもあり、4、500枚は廃棄しました。それで随分書いたので、在庫を補充するため、またヤフオクで落札した「半切まとめて5束」であります。

 通常一束100枚入りですが、一つには2,30枚しか入っていませんでした。他のも少し使って減った形跡がありました。届いたのは恐らく400枚くらいかもしれません。落札価格からすると一枚40円ほどになります。これがオークションというもの、気にしません。
 
 とりあえず、すべて試し書きしてみました。鉛筆書きの当初購入金額がありましたが、高いものがいつも書きやすいとは限りません。日本製手漉き和紙(因州)とおぼしき半切の一つは極端に滲み、一つは逆にまったく滲みの出ない硬い紙で、むしろ1枚60円の安いほう「天海・鳳凰」が柔らかく書きやすいのです。

 同じ物を書き続けて飽きてきました。上達の跡が無く、写真は割愛いたします。
 先日気に入った半紙も届いたので、作品作りは中断し、当分半紙で臨書に戻ることにいたしました。人生と同じ、順調にいくことは滅多にありません。
行きつ戻りつ、試行錯誤しつつ心静かに稽古を続ける、それで良かろうと思います。自信がついたら、また作品作りに取り掛かればいいのですから。

 これは、もっとも上質な半紙に書いたもので、私にとっては出来が良い字であります。4,5日に一度くらいの割で上手く書ける日があるのです。準中級者としては、それで良かろうとも思います。たまにうまくいくこともある、それが人生でもありましょう。
コメント
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