goo blog サービス終了のお知らせ 

風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/リリーのすべて

2016年08月31日 | 映画

秀作です。

映画の出だしの制作は難しいものです。
この映画は、ちょっと「いかがわしく」、「妖しい」雰囲気で始まります。
舞台が、デンマーク・コペンハーゲンのニューハウンなのに言葉が英語、何とも不自然で大なる違和感でした。

ニューハウンは、デンマーク・コペンハーゲンの中心、港町で一大観光地です。[私が撮りました]

若い画家夫婦のアイナーとゲルダは、まさにこのニューハウンのアパートに住んでいます。
ある日、女性のモデルが都合でその日は休んだので妻は夫にモデルの代わりを頼みます。
夫は、ストッキングをはき、ドレスを足に掛けます。その時彼に、不思議な感情がこみ上げます。
夫婦は、すっかりゲーム感覚で夫の女装を楽しみ、ついにそのままパーティーに出かけます。
LGBT(性的少数者)の名称が使われ始めたのはほんの最近です。
心と体の性の不一致(Gender Identity Disorder, GID)が社会的に認められるようになったのも最近のことです。
それらの定義や意味合いや使われ方はまだ一定=確立されていませんし、それらへの偏見と差別は現在も根強く、
容認されているとは到底言えません。
映画の舞台は、第一次世界大戦の傷跡もまだ癒えない1920年代、十数年後にはナチスが台頭し始める時代、
そうした人々は全く排除されました。
夫は、次第に自分の心の奥底から自分の本当の"女の性"(感情、精神、性意識)が彷彿とわき上がるのを感じます。
ゲーム感覚で夫の女装を楽しんだ妻は、次第に夫の変容に苦しみます。
夫(アイナー、リリー)を演じるエディ・レッドメインは『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
ぞっくとするほど美しいです。そして内面の苦しみ、女性の仕草、嬉しさ、恍惚感を見事に演じました。

妻(ゲルダ)は、夫のその変化、内面を初めは全く理解できませんでした。
しかし、彼女はその後もアイナーを支え続けます。
アイナーは世界で初めて男性器を切除し、膣を作る手術を選んだ人と言われます。
彼は、リリーとなって、膣成形手術を受けるのですが術後が悪くしばらくして亡くなります。
彼は、リリーの名前で日記を残し、この映画となりました。
妻を演じたアリシア・ヴィキャンデルはデンマーク人で2015年アカデミー助演女優賞を受賞しました。
アカデミー賞に冷淡な私ですが、エディ・レッドメインは主演男優賞、アリシア・ヴィキャンデルは主演女優賞と思います。
しかし、アイナーが映画のように美男美女でない、を考えると彼の苦しさ・どうしようも無さ・絶望感を感じます。
とても重いテーマですが、映画は「説教せず」、「極端な反対者を登場させず」、「啓蒙にならず」に描きました。
                                【8月29日鑑賞、併映は先日のブログ『キャロル』】 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/キャロル

2016年08月30日 | 映画
 



女性同士の同性愛の映画、現代では特に珍しいテーマではありませんが、原作・映画舞台は60年前です。
「ブルー・ジャスミン」のケイト・ブランシュエットは大昔のハリウッド時代の美人のイメージを持ちます。
他方、ルーニー・マーラは「ドラゴン・タトゥーの女」のイメージを脱し、ちょっと小悪魔的イメージです。
同性愛は、今日では特別目新しいテーマではありませんが、生活感の無い金持ちケイトと庶民のルーニーの設定は、
あまりにありふれていて、新鮮味も無く安易です。
当時の車はまだ暖房が普及していなかったのでしょうか、車内で分厚い毛皮のコートを着ていました。また冬なのに
コンバーチブルの車に乗っていました。
アカデミー女優のケイトはカラミでおっぱいを見せませんが、ルーニーはきれいなおっぱいを見せます。
このシーンが必要とは私には思えませんが…。
ストーリーに特に新鮮味はありませんし、悩みを内面深く探ることはテーマでは無いようでごくありふれた映画です。
【8月29日鑑賞、先々週は満員だったので映画を見ないで帰り、先週は台風で自宅でした。】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/ヘイトフル・エイト

2016年08月04日 | 映画

タランティーノ監督の面目躍如って感じ、密室ミステリーの面白いストーリーでした。
ヘイトフル、日本語では忌々しい極悪人とでも言ったら良いでしょうか、ネタバレですが8人ではなく9人でした。
黒人・メキシコ人の人種問題など放送禁止用語・「ヘイトスピーチ」の様、こんなこと言って良いの、でした。
でも168分は長過ぎです。そして暴力・怪我・死体・血糊そして首吊りなどどぎついシーンがこれでもかと多過ぎです。
導入部分などは冗舌すぎ、途中の中だるみなどがカットされればテンポがもっと良かったでしょう。
店のセットは隙間だらけなのに、雪やほこりが動かず臨場感が今イチなのも残念でした。
舞台がアメリカ西部劇でなく、日本だと犯人捜しがネチネチの屁理屈物となるかも知れません。
リアリティは当然無くて良いのですが、南軍の将軍のキャラ・描き方は変ですし、略奪団の目的が、囚人奪取なら
もっと手っ取り早い強攻策があるでしょうが、そうすると映画にならないのですが。
台詞がゆっくり語られるので、英語の聞き取りが少し出来たのは良かったです。【8月1日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

独裁者と小さな孫

2016年08月03日 | 映画

ジョージアの映画は初めて見ると思います。題材としては面白かったのですが、佳作とは到底言えません。
失敗の一番の理由は、制作者が言いたいことが多すぎて整理できていないこと、啓蒙主義的すぎることでした。
映画の最後の方に、開放された政治犯達が出てくるのですが、その描き方が何とも情緒的で興ざめでした。
「愛に生きる政治犯」が戻ってみると、彼女には別の家庭がありました。すると彼は目の前で自死します。
「独裁者」で無くとも、権力者は大なり小なりの独善と傲慢さを持つもの、それを茶化すか笑い飛ばすのがいいです。
上述の解説に「独裁者が人間性を取り戻すヒューマンドラマ」などと在りますがとんでもない話です。 【8月1日鑑賞】



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/モヒカン故郷に帰る

2016年07月27日 | 映画

タイトルの「モヒカン故郷に帰る」は、木下恵介監督・高峰秀子さん出演の傑作『カルメン故郷に帰る』のパクリで
何とも安直で頂けずイヤです。
引用
てっきりコメディと期待したのですが、後半はすっかり安物の「ヒューマンドラマ」になってガックリでした。
矢沢永吉へのコダワリなど全くわかりませんし、宴会や病院での結婚式など何ともつまらないシーンで、
最悪はテンポがなく、間延びの連続でした。
松田龍平の無表情は良いのですが、柄本明の大袈裟芝居はウンザリ、もたいまさこは小林聡美作品でのウリのマンネリ、
前田敦子が下手くそですが、ただ一人、味が出ていました。
中途半端なシリアスさを皆無にし、徹底してコメディに徹したら良かったのにと思います。
併映は、以前見た『家族はつらいよ』でしたが、二度見る映画ではないので止めました。【7月25日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/最愛の子、ビューティ・インサイド

2016年07月13日 | 映画

離婚した夫婦の3歳の息子が誘拐されます。子どもを作れない体の夫が妻をつなぎ止めるために子を誘拐したのです。
息子を誘拐された男は、息子を探し出します。しかし、時がたっていて息子は父親のことをすでに忘れていました。
子どもの誘拐・売買が中国で行われているか私は知りません。根拠はないのですが「中国ではあり得る」のでは、と思いました。
子どもが発見されたことでドラマは終わりませんでした。自分の子と信じる彼女は裁判費用を得るために体を売ります。
映画は、子どもを産めない体と言われていた彼女の妊娠で終わります。言いようのない悲しみ、未希望に私は襲われました。
映画に描かれた子どもの誘拐・売買・離婚・裁判などは今日の中国社会の一面を鋭く反映しているのではないか、
そして中国の現状と行く末は、彼女の現状と将来を暗喩しているのではと私には思いました。
特に一人っ子政策、子どもを産む・産まないまで国に管理される社会の有り様はどう見ても「正常」とは言えません。
更に、プロ文革での密告・監視社会は、家族・地域の絆やコミュニティを分断・破壊しました。私にはそれは息苦しく、
その後遺症は容易に癒えるとは思えません。中国社会のそうした傷や有り様がこのまま続くとはとうてい思えません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

面白い映画でした。
主人公のウジンは、18歳の誕生日を機に眠りから目覚めると、「体」が全く別人に変わってしまう遺伝体質の持ち主でした。
彼は、アンティーク家具店で働くイスに出会います。その時、彼は、「イケメン」の姿の時でした。
ウジンは、123人の姿に変化します。それも女性であったり、ハゲのおっさんであったり、醜男であったりします。

しかし、この映画の限界でした。極端な醜男や黒人や障害者や高齢者には決して「変身」しなかったのですから…。
上野樹里が出演していました。変身した多くの男性は美形ですが、「ナヨナヨ」過ぎでミスキャスティングでした。
初め、「人は、外見ではない」と言っていたイスですが、次第に彼女はそんな生活に疲れ、二人は、別れます。
第二のそして決定的限界は、数年後、二人は再会し「ヨリを戻す」という何とも安直なありふれた結末でした。
決してシリアスドラマではないのですから、ラブロマンスにしないで、コメディに徹しきって終わりにするべきでした。
韓国映画は、時々このように、奇想天外な「面白い」映画を時々「爆発」させます。   【6月13日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/白鯨との闘い、オデッセイ

2016年07月13日 | 映画

アメリカのハーマン・メルヴィルの代表作『白鯨』の隠された事実を明かすが「ウリ」ですが、「飢えで人肉を食べた」
というだけの話で取り立てて言うことではありません。
大画面でCGを駆使して白鯨を描いていますが、迫力はありますが、とても上手く出来たCGとはとても言えませんでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

原題は"火星人"、ホメロスの『オデッセイ』を無断借用するなんて何と恥知らずの厚顔無恥でしょう。
大いなる駄作でした。
それでも映画の前半は、あたかも宇宙のロビンソン・クルーソーのようなサバイバルが工夫されていました。
空気も水もない火星で、それらを作ってジャガイモを育てる下りはとても面白かったのですが、いかにも嘘っぽかったです。
宇宙のロビンソンと言いましたが、こちらは電気などのエネルギーや最新の技術や材料・乗り物などがあるので
無人島の活躍のようなロマンやわくわく感、創造性は希薄です。
後半は、ただ超人的ヒーローが偶然の連続のみで活躍するアクションサバイバルでハラハラ感もなく「饒舌」だけでした。
142分は長過ぎですし、下らないアメリカンジョークの連発はウンザリでした。
救出にあたりとってつけたようなアメリカと中国が協力する下りはジョークのつもりでしょうか。
今日のサバイバル物二本は全く並作でした。
しかし、撮影場所のヨルダンの南部ワディラ砂漠は息を飲む絶景でした。 ヨルダン観光局からの引用


  【7月4日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/サウルの息子、ディーパンの戦い

2016年07月12日 | 映画

ドイツ旅行から帰国して最初に見た映画でした。ベルリンのザクセンハウゼン強制収容所を見て来た直後だったので、
ちょっと不思議な巡り合わせのような感じで見ました。
上記案内のあるように、サウルはアウシュビッツで死体処理をする特殊な「ユダヤ人囚人」でした。
彼らも長生きできた訳ではなく遅かれ早かれ死んで行く運命でした。私には、こうした極限状況で人々は何を"支え"に、
その瞬間、日々を生きて行くことが出来るのかとずっと考えて見ていました。
ユダヤ宗教では、遺体を焼却すると死後救われないと信じられることを私は初めて知ったのですが、サウルは、
死んだ息子をユダヤ教の教えに従って埋葬したいと思いました。
その遺体が、彼の本当の子どもかどうかはわかりません。おそらく違うでしょう。彼は、そう願い、行動を起こすことで、
彼の残された日々=死体処理の過酷な運命を生き続ける支えとしたのではないでしょうか。
映画は、そんな彼の二日間の行動を描きます。事が上手く運んでしまい過ぎるリアリティの無さには目をつむりましょう。
二日後「囚人達」は、レジスタンス行動を行い、収容所を脱出しますが、発見され殺されます。
その時、サウルは逃亡する森の中で、少年を見ます。「息子」とうり二つでした。
スコープではない4.3の様な映像サイズ、カメラはひたすらサウルのみをドキュメントのように追う独特のスタイルでした。
森の様子は、私がドイツの電車から見た森と似ていました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

スリランカでは、1983年から2009年にかけスリランカ政府とタミル・イーラム解放のトラの内戦がありました。
その根本要因は、かつてのセイロンを植民地支配したイギリスが多数派と少数派の民族分裂を作り、対立を煽り、支配した
歴史にあることは疑う余地がありません。
私が、2013年ピースボートでスリランカを訪れた時は、内戦は終わり、穏やかな日々となっていましたが、
内戦の傷跡は諸処にまだ残っていました。
映画は、内戦を逃れるために全く無関係な三人が偽造パスポートで「家族」となって、フランスに移民する話です。
ストーリーはちょっと乱暴でリアリティは希薄なのですが、折しも、ヨーロッパでは難民・移民の問題で揺れていて、
難民・移民達の苦しみや困難、その解決の難しさを思い起こさせます。
映画はこの重いテーマを受けきれず、途中で息切れしてしまい、「めでたし」で終わってしまい、残念でした。 【6月13日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/ニューヨーク眺めのいい部屋売ります・パリ3区の遺産相続人

2016年05月08日 | 映画

------------------------------------------------

予告編では面白しろそうだったので、旅行前日の貴重な時間に行ったのですが、つまらなかった。
有名俳優がたくさん出ていましたがほとんど駄作と言っていいです。202の座席は満席でした。  【5月7日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画2本/黄金のアデーレ、ミケランジェロ・プロジェクト

2016年04月29日 | 映画

英語題名は、Woman in gold
普通作。ナチスに没収され、後オーストリア政府所有となったクリムトの"黄金のアデーレ"を取り戻す映画です。
主人公のマリアの発音はガチガチのイギリス英語でした。私は、イギリス英語の発音が好きですが、
彼女の役はオーストリアからアメリカ渡った人、本当にイギリス英語を話す人だったか知りませんが、
ちょっと違和感がありました。

------------------------------------------------

英語題名は、The monuments men
こちらも、ナチスに渡った芸術品を取り戻すと言う映画、普通作です。
「オーシャンズ11」のイメージが強いクルーニー、おまけにマットデイモンで、この映画はその続編といった感じでした。
日本語題名は、ミケランジェロの「聖母子像」奪還から付けられた様です。
取り返した名画などをもう少しゆっくり紹介して欲しかったです。

………………………………………………………………………………………………………………
芸術品を含めた、諸国の富を略奪したのはナチスだけではありません。
かつてのイギリス、スペイン、フランス、ロシア、アメリカなどの強国は全てそうでした。
「保護」したお陰で、「破壊から免れた」などと盗っ人猛々しいです。彼らは、「無条件で返還」するべきです。
大英博物館は「無料」などと威張っていますが、多くは略奪品です。
タリバンの「バーミヤン遺跡」破壊について非難する欧米諸国はそもそも「この地の豊かな文明」を尊敬せず、
お構いなしに侵略、破壊して来ました。
また、著名な芸術品には想像を絶する価格が付いていますが、それらは決して個人が所有し、秘する物ではありません。
2本の映画を見て、そんなことを感じました。       【4月25日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/マイ・ファニー・レディ

2016年04月17日 | 映画

日本語題名は、もちろんヘップバーンの"マイ・フェア・レディ"のパロディですが、
原題の「She's funny that way」は何と訳すのでしょかわかりません。
とにかくハチャメチャなドタバタ喜劇です。
主人公が、元エスコートレディ(コールガール・娼婦)の映画俳優のお話で、下ネタのギャグ連発が下品ですが…。
単純だけど入り組んだ人間関係と機関銃のような会話ですが、ウディ・アレンのような難しい単語が出てこないので、
英語もわかりやすいです。

セラピストと判事のキャラクターがユニークでおもしろいです。
判事は罪を犯して刑務所に行くのですが、かつて判決を下した受刑者と再会することになりますし、
セラピストが実は最もセラピーが必要というおかしさです。
もちろん、映画の各所にこれまでの映画のパロディ・パクリがあって楽しいです。
各男女が新たなパートナーとまとまる結末はありふれて予想された結末ですが、
イジーの恋人がどう見ても不細工な男なのはシャレていました。
コールガールの元締めの女性もアーノルドの同じ手口で「成功」したのもおもしろいです。
しかし、わざわざ映画館に行って見るほどの映画ではありません。    【4月11日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/夏ゆく人々(Le meraviglie)

2016年04月14日 | 映画

2014年の第67回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞作ですが、主観主義的でとても秀作とは言えません。
原題:Le Meraviglie はイタリア語で驚き ですが"宝物"の意味もあるようですがよくわかりません。
トスカーナ地方の片田舎に、養蜂業を営むドイツ系移民の家族がやって来ます。
テレビ局がエルトリア文化についての現地ロケイベントをしていました。
この家の長女・ジェルソミーナはこの「不思議の国」イベントへの出場にあこがれ、家族に隠れて申し込みます。
非行歴のある少年が更正プランとしてこの一家に預けられています。
彼は、人との接触を嫌い、人と言葉を交わしませんが、口笛の名手で、ジェルソミーナだけに親しみを感じています。
思春期にある少女の一夏の出来事と家族愛と自然のハーモニィなどと表されていますが何とも大袈裟です。
ジェルソミーナと言う名は、イタリア映画の名作「道」(1954年)の薄幸の主人公の少女と同じ名で、
その名が何度か館内に響く時、「道」の哀愁が流れます。
エルトリアは馴染みが少なく余り知られていませんが、古代ローマ以前のトスカーナ地方に栄えた古代文明です。
昔、イタリアを旅した時、「エトルリア」縁の地を訪れました。
その時のブログは、イタリアの旅・エトルリア を参照(クリック)して下さい。     【4月11日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/家族はつらいよ

2016年04月05日 | 映画


十分楽しみました。久し振りにMOVIXで封切りで見ました。
リメイク盤・東京家族はテレビで見ましたが、これは普通作でした。
「家族のために頑張ったオレ」なんて言ってわがまま・頑固・威張り散らす父親はもう大分古くさいです。
離婚を言い出した妻が、「お前と一緒で幸せだった」の一言で、離婚を止めるなんてなんて安直な終わり方でしょう。
ダメ親父は離婚されて、何も出来ずひからび、そして心を入れ替え、わびを入れ大変身を遂げるオチがイイです。
吉行和子、蒼井優、妻夫木聡のまったり系と大声でわめき散らす橋爪功、中嶋朋子、西村雅彦、そして
夏川結衣、林家正蔵は普段はおとなしく穏やかなのですが、普段我慢しているのでキレるとわめき散らすなど
キャラクターはステレオタイプですが、それなりに工夫されて、その対比はおもしろいです。
出色は蒼井優、そしてやはり風吹ジュンはきれいで役もイイですねぇ。

下手くそ小林稔侍は税務Gメン窓際太郎風で登場しましたが違和感を放ち不要でした。
正蔵が父親・林家三平の真似をして「どうもすいません」したり、皿を割って連れ合いの愛情を探る落語ネタや、
フウテンの寅の歌を歌ううなぎ屋、カルチャーセンターの壁に「東京家族」、「男はつらいよ」の映画のポスター、
「これが目に入らぬか」と水戸黄門の印籠のように浮気現場の写真を差し出すシーンなど
あちこちパロディっぽい細かいところもたくさんあって笑えます。
しかし、教訓的には家族、人の心の奥底は計り知れないもの、「心穏やかに」ありたいものです。         【4月4日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/あん、恋人たち

2016年04月01日 | 映画
 
私の好きな永瀬正敏が出演しています。そのことを割り引いても文句なしの佳作です。
私は河瀬直美さんの映画はこれまではあまり好きではありませんでしたがこの映画は素敵でした。
樹木希林は、文句の付けようのない上手さですし、永瀬ももちろんです。
内田伽羅は樹木の孫だそうですが、とても良い味でした。
樹木、永瀬、内田の三人の台詞がスローモーションのようにゆっくりなのが何と言っても素敵でした。

この穏やかな時の流れのゆっくりさはとても心地よいものでした。
徳江(樹木)は、ハンセン病の罹患以来、つい最近まで強制隔離され、一切の自由は無く、働くことさえ許されませんでした。
彼女は、ワカナ(内田)が飼えなくなって譲り受けたカナリアを逃がします。
そして、彼女は、しみじみと語ります。
「私達は、この世を見るために、聞くために生まれてきた。この世は、ただそれだけを望んでいた。
…だとすれば、何かになれなくても、私達は生まれた意味がある。」
自分個人の責任ではどうしようも出来ない出自、差別や偏見、そしてこの世の不条理過ぎる出来事に私が見舞われる時、
私は上のような思いを抱く自信はありません。
川瀬さん、原作のドリアン助川さんは、重いテーマを深刻にならずましてや説教せず、まことに淡々としみじみと描きました。
冒頭、英語でスタッフなどのコピーが流れました。「何気取ってんだろう」と思っていたら、日仏独の合作映画でした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

予告編を見て期待したのですが、全くの期待外れの駄作でした。
何よりテンポがなく、繰り返しの台詞が饒舌で、内面の葛藤や不条理さを深く掘り下げもせず、描きもせずです。
「もがき苦しみながら懸命に生きている」とは何と大袈裟な。
そんな退屈な映画が延々140分も続き、何度も席を立とうとしました。
その上、喫煙シーンが多すぎで気持ち悪くなりました。
唯一、黒田大輔を演じた黒田大輔の静かな穏やかさが出色でした。
この映画が大きないくつかの賞を得、「あん」が無冠という不思議さです。   【3月28日鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画/エール!、ヴィンセントが教えてくれたこと

2016年03月30日 | 映画

四人家族のポーラ、彼女以外はみなろう者の物語、予告編で大期待したのですが、期待外れ・残念でした。
手話がいかにもぎこちなく不自然だし、三人のろう者がただ一人聞こえるローラに手話通訳やいろんな支援を要求し、
依存するなどおかしいです。
ただ、コメディタッチで描いているので「深刻」、「障害者もの」となっていないのはせめてもの幸いですが、何を描き、
訴えたいのか私にはさっぱりわかりませんでした。
彼女が、通訳を正直にしないのは笑えましたが、でもそれで良いの?とは思いました。
この映画の中で彼らは、耳が聞こえないため、音をたてることを全く気にせず、大きな音をたてます。
映画ではそのことをことさら強調しているように私には感じ、違和感を覚えました。
私が知っているろう者の多くは、それが聞こえる人に迷惑をかけることを知っているので不必要に音をたてません。
------------------------------------------------

一寸の虫にも五分の魂と言うが、嫌われ者のヴィンセントは実はとても善人で良い人だった、
とはいかにもアメリカ映画らしい安っぽさですが、結構楽しめました。
オリバーの母親の描き方が素敵でした。              【2.21鑑賞】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする