過日、逗留しているチェンマイのコンビニにて、タイの2016年占い本を購入した。その表紙には占星術チャートが印刷されていた。
このチャートはどこかで見た覚えがあるので思い出すと、ハリプンチャイ国立博物館でみた石碑に刻まれていたのである。
(二重円圏の中の外周部は十二分割されている。この中に十二宮が配置される、それは占星術の星座で双子座、牡牛座、牡羊座、魚座、水瓶座、山羊座、射手座、蠍座、天秤座、乙女座、獅子座、蟹座である。)
写真は、ランプーンのワット・ノンナムの碑文で、1489年にランナー文字で刻まれたものとキャップションに記されている。ランナー文字など読めるはずもないが、碑文の最上段にホーラーサート・チャートが刻まれているということは、寺院の建立の日時や場所の占いに用いたのであろうか?
ホーラーサートについて検索していると、首都大学東京大学院社会人類学研究室の小川絵美子氏の論文が目に入った。「タイにおける占星術」とある。
女史によると、タイのホーラーサート・チャートはインド占星術のものより、スリランカのものに類似しており、スリランカ経由でインドから流入したであろうと・・・指摘されている。そのスリランカ式占星術チャートは下の図のようになっているという。
女史によるホーラーサートの説明は以下の通りである。“天体の動きや位置から、人や社会の在り方を読み解く方法である。タイのホーラーサートの場合、先ず個人の生年月日、出生時刻、出生の場所を基準とし、十の天体①の配置図を作成する。
興味深いのは、ムアン②についても、生きている人物と同様に、建国や遷都の日時から天体の配置図が作成されていることである。タイにおけるホーラーサートはインドからスリランカを経由して入ったものと考えられる。それは黄道を十二等分し天空に区画をつくり、占う対象に影響を及ぼすとされる諸天体が、出生時などの年月日と時刻に、その十二区画のうちのどこに位置しているかを図に描き出し、それを解釈するという方法で行われる。
タイにおけるホーラーサートも惑星の位置を示した図を解釈することによって行われる。“・・・とある。
先のワット・ノンナムの碑文は中世のものである。するとランナー朝の時代に占星術は、行われていたことになる。
タイのホーラーサートには、ラーフー神③を祀る儀礼もあるという。それについては次回紹介したい。
注
①インド占星術が扱う9つの天体とは太陽、月、火星、水星、木星、金星、
土星、羅喉(偏が口となっているが正しくは目:ラーフー)、計都(ケー
トゥ)の九星と、それらを神格化した神であるが、何故かタイのホーラー
サートは、これにマヌタユを加えた十星としている。尚、マヌタユなるも
のを調べたが、詳細不詳
②多数の村のハブとして存在した都市や国主(チャオ)により治められてい
た街や村々の全体領域を表す言葉であり、村々の上位にある単位を表す言
葉である。古くは都市国家をさしたが、現在では国、都市などを示す言葉
となっている
③羅喉(正式には偏にあたるところが口ではなく目)のこと。日本では羅喉
を不動明王、九曜曼荼羅の一尊として信仰したと云われている
<続く>
このチャートはどこかで見た覚えがあるので思い出すと、ハリプンチャイ国立博物館でみた石碑に刻まれていたのである。
(二重円圏の中の外周部は十二分割されている。この中に十二宮が配置される、それは占星術の星座で双子座、牡牛座、牡羊座、魚座、水瓶座、山羊座、射手座、蠍座、天秤座、乙女座、獅子座、蟹座である。)
写真は、ランプーンのワット・ノンナムの碑文で、1489年にランナー文字で刻まれたものとキャップションに記されている。ランナー文字など読めるはずもないが、碑文の最上段にホーラーサート・チャートが刻まれているということは、寺院の建立の日時や場所の占いに用いたのであろうか?
ホーラーサートについて検索していると、首都大学東京大学院社会人類学研究室の小川絵美子氏の論文が目に入った。「タイにおける占星術」とある。
女史によると、タイのホーラーサート・チャートはインド占星術のものより、スリランカのものに類似しており、スリランカ経由でインドから流入したであろうと・・・指摘されている。そのスリランカ式占星術チャートは下の図のようになっているという。
女史によるホーラーサートの説明は以下の通りである。“天体の動きや位置から、人や社会の在り方を読み解く方法である。タイのホーラーサートの場合、先ず個人の生年月日、出生時刻、出生の場所を基準とし、十の天体①の配置図を作成する。
興味深いのは、ムアン②についても、生きている人物と同様に、建国や遷都の日時から天体の配置図が作成されていることである。タイにおけるホーラーサートはインドからスリランカを経由して入ったものと考えられる。それは黄道を十二等分し天空に区画をつくり、占う対象に影響を及ぼすとされる諸天体が、出生時などの年月日と時刻に、その十二区画のうちのどこに位置しているかを図に描き出し、それを解釈するという方法で行われる。
タイにおけるホーラーサートも惑星の位置を示した図を解釈することによって行われる。“・・・とある。
先のワット・ノンナムの碑文は中世のものである。するとランナー朝の時代に占星術は、行われていたことになる。
タイのホーラーサートには、ラーフー神③を祀る儀礼もあるという。それについては次回紹介したい。
注
①インド占星術が扱う9つの天体とは太陽、月、火星、水星、木星、金星、
土星、羅喉(偏が口となっているが正しくは目:ラーフー)、計都(ケー
トゥ)の九星と、それらを神格化した神であるが、何故かタイのホーラー
サートは、これにマヌタユを加えた十星としている。尚、マヌタユなるも
のを調べたが、詳細不詳
②多数の村のハブとして存在した都市や国主(チャオ)により治められてい
た街や村々の全体領域を表す言葉であり、村々の上位にある単位を表す言
葉である。古くは都市国家をさしたが、現在では国、都市などを示す言葉
となっている
③羅喉(正式には偏にあたるところが口ではなく目)のこと。日本では羅喉
を不動明王、九曜曼荼羅の一尊として信仰したと云われている
<続く>
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