アカ族集落の入口に立つ門(ロッコン・ロコーン)の笠木と云うか横木が、三角の鋸歯文で装飾されている。その装飾文様には何らかの意味があると考えていたが、もう一つ分からずにいた。ロッコンそのものは、その柱元に在る男女交合像が示すように結界である。
先ずロッコンの鋸歯文を見て頂くことにする。笠木の上には黒く塗られた鳥(多分鵲であろう)が、集落の内側を背に異端者の侵入を監視している。その笠木には三角の鋸歯文が刻まれている。
長らくこの鋸歯文の意味が分からずにいた。最近、考古学者の寺沢薫氏の著作①を読んでいると、鋸歯文は辟邪文だという一文が眼に入った。
氏によると、銅鐸には二面性があると云う。一つは鋸歯文や綾杉文、渦巻き文のように、世界共通で邪気を払うという意味をもった文様。もう一つは、袈裟襷文や流水文のように銅鐸を縛り付ける文様である。銅鐸とは、どうもこの辟邪と呪縛という二つの呪力をその内に秘めている呪具のようなのだ。一体何に対してか。もちろん、それは穀霊(稲魂)に対してである・・・とある。
写真は島根県雲南市・加茂岩倉遺跡出土の23号銅鐸である。紐を吊るす鈕に当たる部分は、鋸歯文と綾杉文で埋め尽くされている。これが邪気を払う辟邪文とのことである。
ロッコンの鋸歯文の理由・意味が分からずにいたが、辟邪文とすれば、結界の絶好の文様であることになる。機会があればアカ族の住民に尋ねてみたい。
① 日本の歴史(2)王権誕生 寺沢薫 講談社
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