<続き>
7.下ビルマの窯構造
下ビルマの窯構造を概観するにあたり、いずれも津田武徳氏の著述や論文から引用した。それらの論文等は以下による。ひとつは上智アジア学第23号(2005年)所収「ミャンマー施釉陶」、ふたつめは東南アジア古陶磁展(六)・富山市佐藤記念美術館所収「ラオス、ミャンマー陶磁概説」、三つめは東南アジアの古陶磁(9)・富山市佐藤記念美術館所収「ミャンマー陶磁とその周辺について」より引用している。
7-1.ラグンビー窯
ラグンビーは13世紀後半に成ったモン族国家(ハンタワディー・ペグー朝)の都・ペグーに従属する集落で、歴史上出土遺物の分析から12世紀末まで遡りうるという。窯の成立は集落成立後としても、いつまで遡りうるかは定かでないという。発掘されたラグンビー古窯址は、15-16世紀であろうと云われている。
●平面プラン
地上式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
最大長:10.2m
最大内幅:4.4m
●開窯時期
15-16世紀
●出土陶磁
灰釉系青磁、無釉陶
●轆轤回転方向
左回転
●特記事項
時代がいつまで遡れるか判然としないようであるが、13世紀なにしは14世紀に
は開窯していたであろうと推測される。ここでもモン族が陶業に関わっていた。
7-2.パヤジー窯
●平面プラン
地上式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
外寸全長:15.9m
燃焼室長:4.6m
外寸全幅:5.8m
昇焔壁高:0.9m
煙道最大内径:2.5m
●開窯時期
16世紀中頃
●出土陶磁
施釉陶磁、無釉陶磁
碗、盤(直口縁、鍔平縁、鍔輪花、鍔稜花)、瓶、壺、動物貼花筒状器、動物肖形
●特記事項
北タイ・パーンとの類似性が指摘されている。窯構造や棒状焼台を用いる点さらには
瘤牛の肖形を焼成することに依る。但し轆轤はパヤジーが左回転に対しパーンは左右
混在である。安易な結論は出せないが、時代背景は双方で似ている。
7-3.パガン
パガンには小規模の昇焔式窯が幾つか点在していると云われている。
今回でインドシナ各地の窯構造の概観を終了する。まだ上ビルマや中部タイの古窯址で紹介していないものもあるが、勝手ながらほぼ網羅したことにして、次回以降文化的土壌について検討したい。
<続く>
7.下ビルマの窯構造
下ビルマの窯構造を概観するにあたり、いずれも津田武徳氏の著述や論文から引用した。それらの論文等は以下による。ひとつは上智アジア学第23号(2005年)所収「ミャンマー施釉陶」、ふたつめは東南アジア古陶磁展(六)・富山市佐藤記念美術館所収「ラオス、ミャンマー陶磁概説」、三つめは東南アジアの古陶磁(9)・富山市佐藤記念美術館所収「ミャンマー陶磁とその周辺について」より引用している。
7-1.ラグンビー窯
ラグンビーは13世紀後半に成ったモン族国家(ハンタワディー・ペグー朝)の都・ペグーに従属する集落で、歴史上出土遺物の分析から12世紀末まで遡りうるという。窯の成立は集落成立後としても、いつまで遡りうるかは定かでないという。発掘されたラグンビー古窯址は、15-16世紀であろうと云われている。
(写真出典:東南アジア古陶磁展(六))
(写真出典:ミャンマー国立博物館局)
●平面プラン
地上式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
最大長:10.2m
最大内幅:4.4m
●開窯時期
15-16世紀
●出土陶磁
灰釉系青磁、無釉陶
●轆轤回転方向
左回転
●特記事項
時代がいつまで遡れるか判然としないようであるが、13世紀なにしは14世紀に
は開窯していたであろうと推測される。ここでもモン族が陶業に関わっていた。
7-2.パヤジー窯
(写真出典:東南アジアの古陶磁(9))
●平面プラン
地上式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
外寸全長:15.9m
燃焼室長:4.6m
外寸全幅:5.8m
昇焔壁高:0.9m
煙道最大内径:2.5m
●開窯時期
16世紀中頃
●出土陶磁
施釉陶磁、無釉陶磁
碗、盤(直口縁、鍔平縁、鍔輪花、鍔稜花)、瓶、壺、動物貼花筒状器、動物肖形
●特記事項
北タイ・パーンとの類似性が指摘されている。窯構造や棒状焼台を用いる点さらには
瘤牛の肖形を焼成することに依る。但し轆轤はパヤジーが左回転に対しパーンは左右
混在である。安易な結論は出せないが、時代背景は双方で似ている。
7-3.パガン
パガンには小規模の昇焔式窯が幾つか点在していると云われている。
今回でインドシナ各地の窯構造の概観を終了する。まだ上ビルマや中部タイの古窯址で紹介していないものもあるが、勝手ながらほぼ網羅したことにして、次回以降文化的土壌について検討したい。
<続く>
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