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中島誠之助氏久々の誤鑑定か?

2021-02-26 06:35:40 | 東南アジア陶磁

過日(2021年2月16日)放送の『開運!なんでも鑑定団』(←ココをクリック)でとりあげられた、『クメール壺』の中島氏の鑑定についてである。

先ず、放送の大壺は『クメール』ではなく、北タイ産と思われるが、未だ窯場が特定されていない『謎の陶磁』である。今から30年以上前にラオスからメコンを渡り『謎の大壺の一群』がタイに里帰りし、チェンマイに持ち込まれた。北ラオスのシェンクワーン辺りが焼成地ではないかとも云われていたが、それらの壺や陶片が北ラオスのどこからも出土していない。壺の姿かたち、釉薬の調子、土味から北タイ産と云われているが、残念ながら北タイの各窯場から、それらの失敗作や陶片がどこからも出土しておらず、『謎の陶磁』である。ただし候補としては、サンカンペーン、パヤオ、ナーンであろうと云われている代物である。前置きはこの程度にしておく。

中島氏は、その謎の大壺と思われるものに対し、『近年に造られた土産物』で2万円との御託宣である。その理由は一つ、壺の頸部の宝相華唐草文の印花文をさして『その文様は古いものには無い』との指摘である。それ以外に何故土産物かとの説明は無い。失礼ながら中島氏は東南アジア古陶磁について、どこまで御存知であろうか? 

下の写真をみて頂きたい。頸部や肩部の圏帯に宝相華唐草の印花文を認めることができる。実は『謎の大壺』の一群の最大の特徴は、この宝相華唐草文にある。

上掲写真の壺は双耳が取り付けられている。出品作もこの双耳らしき痕跡が残っている。つまり、欠け落ちていると思われる。何故、近年の土産物に耳が欠けているのか?・・・中島氏は何も語っていない。常識で考えて耳が欠けたものを近年の土産物と売りにだすのか? 土産物なら完品を売りに出すであろう。

当該ブロガーは、この大壺は本歌と考えているが、断言できるほどの情報が映像から得られないでいる。手取りの重量感、バランスが分からない、底の処理として鉋削りなのか、静止糸切痕をもつのか、それとも回転糸切痕なのか。土味はどうか・・・など重要な要素が分からないので断言できないが、本歌の可能性が高い。

出品者氏は300万円で購入したとのこと、2万円の鑑定にショックであったであろう。しかし早まるなかれ、本歌の可能性がある。最近正確な鑑定ができる骨董商がお亡くなりになっており、持ち込み先の助言ができない。是非見てみたい一品である。

<了>


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