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埴輪と装飾古墳で考えた(3):魂を運ぶ馬

2022-12-26 08:41:12 | 古代日本

<続き>

古墳から馬形埴輪が出土する。それは墳丘上に並べて立てられていた。この馬形埴輪は何を表すのか。馬を我が国に持ち込んだのは、騎馬民族やそれに繋がる人々によるものと考えているが、古墳に葬られた被葬者が、生前に騎乗していた馬を埴輪にしたものであろう。

しかし、それだけか・・・・と云う想いがある。馬は被葬者の霊魂を他界・冥界へ運ぶものと認識されていた可能性が高いと考えている。

畿内の装飾古墳は、九州北・中部に比較し少ないが、そのひとつ大阪府柏原市の高井田横穴群には、線刻壁画が存在する。そこには騎乗した人物像が線刻されている。これを単に騎馬民族あるいは、被葬者が生前に騎乗していた姿を表している・・・とするのか。

高井田横穴墓2-3号

故人の亡骸を収める石室に、線刻されている事実から考えられることは、被葬者の霊魂が馬にのって、他界へと導かれる様子を刻んだものと思われる。特に重要なことは、騎乗の人物の下方に琴であろう肖形が刻まれていることである。その琴は、葬送儀礼にとって重要な楽器であったことが窺われる。

そこで九州北・中部の装飾古墳に於ける壁画である。過去何度も紹介しているが、棺を載せて冥界へと旅する船に馬が載っており、幾つかは馬の上に同心円文が描かれている。識者は、これを『太陽の船』と呼び、それは冥界へ霊魂を運ぶ船としている。

弁慶ヶ穴古墳

弁慶ヶ穴古墳に描かれた壁画には、船にのる馬と、その馬の上方には同心円文が描かれる所謂『太陽の船』である。その船にのる馬は、霊魂を冥界へ運ぶ存在として認識されていたであろう。馬が被葬者の魂を運ぶためのもの、そのものズバリが王塚古墳の壁画である。馬の大きさに比べ小さい人物が騎乗している。小さな人物は他界した被葬者であろうか、その魂を馬が運ぶ姿である。

王塚古墳

以上のようにみてくると、馬形埴輪もまた被葬者の魂を他界へ運ぶ役割があったものと考えられる。

<続く>

 



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