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サンプラプームの魔除けは、ミックスカルチャーだった

2018-07-31 09:36:56 | チェンマイ

投宿しているKantary Hillsの2箇所にサンプラプームが鎮座している。1箇所は北東の隅、2箇所目は南西の隅である。風水で云うところの鬼門と裏鬼門にあたる。本当に北タイの当地でそんなことがあり得るのだろうか。

中国でいう鬼門は、風水と共に日本に伝来した。鬼門の概念は本家では多少薄れたが、日本ではクローズアップされた。鬼門は中国・古代の『山海経』に登場する。世界の東の果ての海中に桃都山と呼ぶ山がある。山上には巨大な桃の木が在る。それは幹から枝先まで三千里もあるという。その東北の隅は枝が絡まって門のようであった。夜になると世の中の鬼神どもが、その門を通って人間界へ出入りしたので、神荼(しんと)と鬱塁(うつるい)という兄弟と虎にその門を守らせた。この門を鬼門と呼び、日本では古来から忌み嫌われた。

本家本元の中国ならいざ知らず、北タイのチェンマイで鬼門・裏鬼門の概念が存在するのであろうか? そこでKantaryのベテラン・スタッフに聞いてみた。曰く、Kantaryのオーナーの何代前かの祖先は中国南部からの移民で、風水を取り入れて鬼門に相当する処にサンプラプームを建立したとのことであった。う~ん!中国移民のパワー恐るべし。

(敷地北東隅(鬼門)のサンプラプーム)

(敷地西南(裏鬼門)のサンプラプーム)

ところが、サンプラプームは土地霊であるピーが鎮座する。これはランナー古来の土着信仰であり、それが鬼門抑えとなっているところがタイそのものであろう。話がやや複雑になるが、サンプラプームには2種類が在る。一つは土地神であるピーが棲むサンプラプームで、タイ字でศาลพระภูมิ(サンプラプーム)と記す。これは切妻屋根の祠でศาลตา(サンタ―)、ศาลยาย(サンヤーイ)と呼ぶお爺さん、お婆さんが鎮座する。もう一つのサンプラプームはศาลพระพรหมと記し、なにやらサンプラトームと聞こえなくもない。このサンプラトームはクメール様式の仏塔であるプラーンを戴く祠で、ブラフマー神が鎮座している。ホテルのような比較的大型の建物の敷地には、サンプラプームとサンプラトームが対で建立されると云う。

(サンプラプーム)

(サンプラプームにはサンタ―、サンヤーイが鎮座する)

(サンプラトームとブラフマー神)

何やら訳が分からないが、中国式風水にタイ古来のピーが宿るサンプラプームに、インド伝来のブラフマー神が鎮座するサンプラトームと、魔除けと云うか厄除けはミックスカルチャーである。中国古来、インド古来、タイ古来の伝統が合体すれば、その効力は絶大になるであろうか? 何やらドラゴンボールを想起させる。七つのドラゴンボールがそろえば、神龍が願いを叶えてくれるという・・・それと同じ効力か?

<了>

 


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