世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

シリーズ⑰:サンカローク焼博物館61番窯#2

2016-12-02 09:36:18 | 窯址・タイ
<続き>

所謂、多嘴壺の類である。多嘴壺と云えば薬師寺の奈良三彩多嘴壺と越州窯や龍泉窯のそれを思い出す。中世のシーサッチャナーライのオリジナルとは思えず、器形はやはり中国の影響かと思われる。

焼台の表面が黒褐釉に覆われている。とすれば、パヤン窯址で採集した陶片は、やはり焼台の破片であったろう。

建築用材や多くの寺院装飾物も焼成されていたことが伺える。
発掘調査時に出土した青磁の陶片が多数展示されている。当然のことながら破片が多かったので、次の写真で青磁片の写真掲載は終わりとする。
1mもあろうかと思われる大きな壺が焼成されていた。用途は貯蔵壺であろうが、かのマルタバン壺に比較し口縁はラッパ状に開き、口径も小さいように見える。

焼締めの大壺で、ラーイ・ウーと呼ぶ貼花文で装飾されている。この文様は何であろうか、火焔にも見えるが、仏教関連文様であろう・・・すでに多くの研究者が論文発表していると思われるが、詳細を知らない。
そしてスパンブリーのバン・バンプーン窯でも、似たような焼締壺が焼成されている。バン・バンプーンの陶業開始は11世紀頃と思われることから、それとの関連が気になる。噺は飛ぶが3年前バン・バンプーンの窯址を現認したく、スパンブリーを訪れたが、結果として窯址に辿り着けなかった思い出がある。上の所感はスパンブリー国博を見学して感じた比較論である。
最後にモン陶の盤片が、展示されていたので紹介しておく。カベットにポピュラーな鎬(鎬ではなく、掻き落とし文だが)をみせる盤片で、大きな焼成割れがある。




                                    <続く>