世界の街角

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シリーズ⑨:サンカローク陶器博物館:その15

2016-11-15 09:37:12 | 博物館・タイ
<続き>

●魅了するカロン陶磁・#2

昨夜8時頃、山陰の片田舎でも雲の切れ間から、スーパームーンを東の空に仰ぎ見ることができた。確かに普段の月よりも一回り大きかった。当該ブログを御覧の皆さんは、どうでしたでしょうか。

先ず前回紹介しきれなかった肖形の残りを紹介したい。写真の人物肖形は高さが(目分量であるが)1.2m前後と思われる。見ると腰のあたりで上下2分割されている。

鶏冠(とさか)をもつ鳥を捧げ持っている。鶏であろうか? 人物の眉毛は太いが左右が繋がっていないところを見ると、タイ族であろう。
他の肖形物も見ることができた。ストゥーパ(チェディー)やそこに坐する仏陀、あるいは仏陀の涅槃像も存在していたようで、それらは何れも大型の陶磁である。
入手したレジメと云おうか小冊子には、仏陀が平和祈願をしている像とある。陶工も敬虔な仏教徒であったのか。さらには仏陀の涅槃像も見ることができる。
下は1mを越えるようなチェディーである。中に仏陀像があったのか、なかったのか記憶にない。
いずれも弛緩はなく、陶工の真摯な取り組み姿勢が垣間見える。いずれの肖形も、ここまでくれば立派な芸術作品である。
高さ60cmほどの大壺で、これも唸りたくなるほど堂々としている。口縁は北タイで見る盤口で、胴のはりが実に美しい。胴裾のラマ式蓮弁文は、丁寧かつ張りのある描線である。胴の中央は二重線で飾り窓が設けられ、中には悠然と泳ぐ鯉科の魚が二匹、腹をみせており、蓮池の王者の風情である。
胴を飾り窓のように四区に区切り、絵付けをする方法の初出は北宋代の磁州の陶枕?それとも大阪市立東洋陶磁美術館の磁州窯で、北宋代の緑釉白地黒掻落し牡丹文酒会壺の流れを汲む、元代の白地鉄絵牡丹文酒会壺、それを受け元染でポピュラーな手法になったのか・・・中国陶磁のど素人には、この程度しか思い浮かばないが。写真のカロンの区画の仕方は、中国陶磁の影響を受けたと思われる。
それでは、腹を見せ魚体をくねらせて泳ぐ、鯉科の魚の描き方はどうか? 浅薄な見識からは、中国陶磁で見た覚えがなく、安南青花か安南五彩の影響であろうか?いずれにしても、研究に値する大壺である。

圧倒され続けの、数々の大壺であった。次回は迫力満点の数々の大盤を紹介する予定である。




                                  <続く>