
江戸川乱歩の小説を原作した丸尾末広の「パノラマ島奇譚」は、乱歩の世界と丸尾流世界観が見事に融合、コラボレーションされ、表現された漫画は見事な出来栄え、ほとんどアートの領域に侵犯している作品でありました。クォリティの高さによりそれが名前からすれば権威がありそうな「手塚虫文化賞・新生賞」を受賞しているのというも十分納得できます。とはいいながらもその「手塚虫文化賞」というのが漫画界においてどのような位置付けにあるのかはわからないのですが…。
その丸尾末広がまたまた、乱歩の世界に挑んだ作品「芋虫」が月刊漫画雑誌「コミックビーム」において連載され、待望の単行本となりました。漫画をほとんど読むことがないボクですが、この丸尾作品については表紙から、ページをめくるのが勿体ないと感じるほどに濃厚で猥雑、眩暈がしそうな絵が表現されています。なかなかここまで充実した絵を提供する作家もそうはざらにいないんじゃないだろうか?
この乱歩の「芋虫」の設定は、映画の「ジョニーは戦場に行った」と近いものがありますが、そこで繰り広げられる展開は全く違うもの、最終的に行き着く先は戦争の悲惨さ、ヒューマニズム的なものであるにしろ、辿り着く方法論が違います。乱歩の場合は本音やエゴ、欲望といったものが表に出てきて“生”あるいは“性”への執着というものがより鮮明に浮かびあがらせています。戦争によって手足をもがれ、声帯まで失った芋虫状態の元兵士、それを世話する妻との関係において、丸尾はそんな状態になっていても機能しているいきり立った男根を夫の上に乗り自身の女陰にうずめる性の一面をしっかりと描き込むことによりヌメリを持った粘着質で狂おしい小さな密室の世界を正面から描き込んでいます。
最も人間の原始的でかつ直接的なコミュニケーションの器官により、かろうじて男と女である夫婦関係が崩れていく様子は、意外と現代に通じるテーマがあるとは言えないか?たとえば介護の問題であります。たとえ親子であっても介護の疲労はその関係を崩壊させてしまうきっかけになりはしないか。この「芋虫」の場合は、ストレスを発散させるのが夫の勃起した男根とは皮肉なものです。乱歩がその小説で書いた「ユルス」のひと言は、そのまま丸尾の漫画にも引き継がれ狂おしく悲しい一編にんっています。先にも書きましたが丸尾の乱歩漫画は最早、アートの領域にあると思うのはボクだけではないでしょう・・・。(※「芋虫」単行本化に伴い2009年5月22日の記事に加筆修正しました)

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この乱歩の「芋虫」の設定は、映画の「ジョニーは戦場に行った」と近いものがありますが、そこで繰り広げられる展開は全く違うもの、最終的に行き着く先は戦争の悲惨さ、ヒューマニズム的なものであるにしろ、辿り着く方法論が違います。乱歩の場合は本音やエゴ、欲望といったものが表に出てきて“生”あるいは“性”への執着というものがより鮮明に浮かびあがらせています。戦争によって手足をもがれ、声帯まで失った芋虫状態の元兵士、それを世話する妻との関係において、丸尾はそんな状態になっていても機能しているいきり立った男根を夫の上に乗り自身の女陰にうずめる性の一面をしっかりと描き込むことによりヌメリを持った粘着質で狂おしい小さな密室の世界を正面から描き込んでいます。
最も人間の原始的でかつ直接的なコミュニケーションの器官により、かろうじて男と女である夫婦関係が崩れていく様子は、意外と現代に通じるテーマがあるとは言えないか?たとえば介護の問題であります。たとえ親子であっても介護の疲労はその関係を崩壊させてしまうきっかけになりはしないか。この「芋虫」の場合は、ストレスを発散させるのが夫の勃起した男根とは皮肉なものです。乱歩がその小説で書いた「ユルス」のひと言は、そのまま丸尾の漫画にも引き継がれ狂おしく悲しい一編にんっています。先にも書きましたが丸尾の乱歩漫画は最早、アートの領域にあると思うのはボクだけではないでしょう・・・。(※「芋虫」単行本化に伴い2009年5月22日の記事に加筆修正しました)

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今後も、これ以上の「芋虫」は出ないと思います・・・
たちばな様のブログを拝読しましたが、
絶賛の言葉がちりばめられていました。
乱歩に堂々渡り合った丸尾さんは凄い漫画家ですよね。