■放送年度:2008年
■監督:猪原達三
■出演:観月ありさ、田中美里、中村獅童、他
本日は、観月ありさが主演したテレビ放送された「肉体の門」についてです。ドスが効いた声で「パンパンをなめんじゃねぇよ!」とタンカを斬る演技は、なかなか板についた感じでしたが、やはりテレビとなると迫力の点で映画と比べて落ちるように思いました。そうは言っても、これまで何度か映像化されてきている「肉体の門」ですから、作り手としてはどう以前の作品を超えていくかが、裏のテーマであると思えますから、勢い焦点を変える、展開を変えるという方法論を取るということもあります。このテレビ放送されたドラマも、それに習えとばかりに大胆に変更を加えています。私はそれをテレビ向きの変更を変えたと見ました。なぜなら、単発のドラマに見られるようなサスペンス・ドラマの要素を加えながら、最終的には大衆が納得できる博愛の無理のない終わり方に持って行っているように感じたからです。テレビがゆえの平均点を取ろうとする演出と言えばいいのでしょうか、残念ながら、女優陣の熱演とは裏腹にありきたりの毒のないドラマになっていると思いました。本来この作品はタイトルに、肉体という語句が使われているように、エロティシズムが根底に流れているはずであり、生きることの象徴として、汗であり、体液なりが滴り落ちていくはずなのだと。しかし、大衆の娯楽装置として発展したテレビは、予定調和路線を前提にややはみ出しというラインを走っているのであり、「肉体の門」のような作品は難しいのでしょうね。
肉体の門――田村泰次郎傑作選 (ちくま文庫) | |
田村泰次郎 | |
筑摩書房 |
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