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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

乱歩を巡る言葉24・・・『怪人二十面相・伝』をめぐって/北村想VS中島河太郎

2006-10-25 | 江戸川乱歩
『怪人二十面相・伝』をめぐって/北村想VS中島河太郎
「江戸川乱歩ワンダーランド」/沖積舎

面白くって一気に読んでしまった北村想氏の『怪人二十面相・伝』。それをめぐって第一回江戸川乱歩賞の受賞者でもある中島河太郎氏との対談記事。対談と云うこともあり創作をめぐってのエピソードや北村氏の独特な視点が楽しめる。以下、北村氏の発言の抜粋。



◇小説を書く動機◇
“シリーズの中に「サーカスの怪人」というのがありますね。「サーカスの怪人」の中で明智小五郎が、「実は怪人二十面相はもとサーカスにいた男で、名前を遠藤平吉って言うんだ」というところが突然ぽこっと出てきて、そこんがあの話の伏線になっているかと言えば別に伏線になっているんじゃなくて、ただぽこっと出てきてそれっきりで、多分、二十面相の中でもあの一ヶ所だったと思うのですが、それが子供の頃読んでいた時に非常にインパクトが強く印象的だったものですから。遠藤平吉つまり、二十面相という男は何を考え、どんな生活をしていたんだろうと、子供心にふと考えていたことがあって、もしそれがあったら読みたいな、と思っていたんです。僕はそういうものが絶対乱歩さんの中にあるんだとばっかり思っていたんですけど、どうやらなさそうだったので、それじゃ、しょうがないな、書いてみようかということをつい喋っちゃったんです。

◇二十面相は心優しき男◇
いつも捕まっちゃうでしょう、いつも最後に。あれは僕は何となく、何回も読んでいるうちにどうも二十面相はわざと捕まっているんじゃないかと、そんな気がしてきましてですね、相手が子供だから、自分の手品の種は全部出し尽くしちゃって、ここらで捕まらなければ次の仕掛けに移れないから捕まっているだけで、わざと子供たちに捕まってやっている優しい男じゃないかという感じがしているのですけど・・・・・・。

◇二十面相の味方◇
明智小五郎さんは、最初から出てこなくって途中から出てきて、だいたい頭脳明晰なところでパパッとやっちゃって、あとのことは少年探偵団に任せちゃうところがあって、二十面相も舐められたもんだなあって、何かこう、二十面相の側から異議申し立てする人がいないと二十面相も可哀相じゃないかと、そんな気になって・・・・・・。

◇中小企業的◇
結構、中小企業的な怪盗なんですよね、二十面相という人は。・・・なんか中小企業的な、小さな町工場で作ったものを見せているというか、「宇宙怪人」の時でも空飛ぶ円盤を飛ばすのに、他の国の連中は金があるからラジコン使って飛ばしたけど、二十面相だけは鳩を使って飛ばしたという、ああいうところは涙が出る(笑)


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