■日時:2012年6月9日(土)、11:00~
■劇場:明治座
■原作:江戸川乱歩
■演出:西川信廣
■出演:浅野ゆう子、加藤雅也、渡辺哲、鷲尾真智子、林丹丹、他
明治座で公演中の江戸川乱歩「黒蜥蜴」を見ました。このブログをここまで続けるきっかけとなったのが、40歳も後半でその面白さをしった江戸川乱歩でした。最近はその乱歩について書くことがめっきりなくなったものの、現在のところ一番関連記事が多いのも事実でそれだけ乱歩に入れ込んだ時期があったということです。「黒蜥蜴」は舞台に映画、何本も私も見ていて、名実ともに乱歩の代表作。しかし、今回はそれ以上に観劇のお目当てとなったのが主役の黒蜥蜴を勤める浅野ゆう子なのでありました。
彼女のお芝居ははじめて見るのですが、私にとって浅野ゆう子という存在は特別な響きを持っているように思います。というのも浅野ゆう子は、私ともしかしたら同い年?少なくとも同じ世代の女優だからです。早くから芸能界で活躍し、一時はダブル浅野とトレンディ女優としても一世を風靡した、スタイルも抜群で絵に描いたような一級の美女なのですから。私もこの歳になって体の衰えなんかを意識するようになり、アンチエイジングの魅力をどう見せてくれるのか?若い世代にとってはおばさんなのかもしれませんが、私らの世代にとっては何時までも輝くマドンナなのです。だからその舞台で大いに期待を寄せるというわけなのです。
その浅野ゆう子さん、さすがにステージでは映えまくっていました。正直、やっぱりやや歳をとったかな?と感じないわけではありませんが、私がこれまで見てきた黒蜥蜴とは一味違ったファッショナブルな女性を演じていました。一つ一つの衣裳の着こなしが優雅です。彼女はもとは勝ち気な方なのか、どことなくシャキッとした女性な感じ。(カーテンコールではおてんばな側面も見せていました)その勝ち気さが女賊の悪の華というよりは、多くの部下を従え敵も多い、故に、むしろ実業家のような意志の強い女性、そんな風も見えました(公演パンフレットに「黒蜥蜴は、奇抜な犯罪も含め、すべて自分のキャリアとしてやりとげてみせると心に決め、凜と生きているのではないか。私はそのように解釈し」と浅野ゆう子のコメントがありました)。
この江戸川乱歩の「黒蜥蜴」は、三島由紀夫が戯曲化することで黒蜥蜴と明智小五郎の愛の物語に仕上げ、良質なエンターテイメントとなり、美輪明宏が演じ定番化していった作品です。今回の「黒蜥蜴」は、三島が脚色したいい部分を引き継ぎながら、さらに黒蜥蜴の人間性を掘り下げていったと見ることができそうです。客層は明治座ということもあってか、高齢の女性の方が多い、よって演出もわかりやすい正攻法的な感じ。そして所々にはちょっとした工夫も施されている。洒脱な大人のラヴサスペンス。ジャズの響きが心地好い。ストーリーも乱歩を追っかけた私としてはよく知ったものであるのですが、こうした大劇場の公演ではツボを押さえてあって、3時間近いお芝居を楽しく見ることができました。
当日お土産で黒蜥蜴のホルダーを販売していて買ってしまいました。
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