■製作年:2002年
■監督:アキ・カウリスマキ
■出演:マルク・ペルトラ、カティ・オウティネン、ユハニ・ニエミラ、他
アキ・カウリスマキ監督作品です。実は、私、彼の作品は初めて見ました。アキ・カウリスマキ、日本人の名前の感覚からしたらちょっと変な名前だなあと思ってしまうような響き、そのアキ・カウリスマキという名前については映画に関する本を見ていると度々目にして、作品は見たことがないけれども、名前だけは覚えてしまったという案配で。熱烈な支持者を持っているというこの監督の映画はどんなだろうと思っていましたら、予想を裏切る?面白さ。面白さというのは笑える面白さ、センスのよさを感じるもので、実際、映画をみながら笑ってしまい、またセンスのよさに感心してしまうのでした。
北欧系なのでシリアスなのかなと思っていたら、そうではない、陽気な感性に満ちている。そして独特の間、ズレでもって絶妙な会話(これが練り込まれているのか極端に少ない)を交えながら味わい深い展開を見せてくれます。これはもう一篇の大人のためのおとぎ話だと思いました。冒頭、男が記憶をなくすきっかけとなる暴漢に襲われるシーンがあるのですが、あそこまで殴られたら死んでしまうだとうと。しかし、男は蘇り過去の記憶を失った者として、トレーラーハウスの並ぶ貧民窟で生活をすることになります。しかしそこには全く暗さがありません。生きているだけで素晴らしいんじゃないかと、その日その日を謳歌するポジティブな感性に満ちています。
話の展開もある種予想できないシュールで不思議な展開を見せます。過去を失った男が「ロックンロール・バンドのマネージャーになる」なんていう台詞を言うなんて、意外性の大笑いと感性の鋭さを感じちゃいます。ハリウッド映画では見ることができない独特の感性で、ワォ!の感嘆符が思わず出てしまうアキ・カウリスマキ監督の映画でした。まだ私はこの1本しか見ていないのでなんとも言えないのですが、どうやらカウリスマキ監督の作品は、練り込まれた台詞とクールさを漂わせながらも暖かさに満ちた独特の映像とその展開を楽しむものなのかもしれませんね。(途中、主人公の男が寿司を食べるシーンが、そしてバックの音楽に日本語の歌が・・・、クレイジー・ケン・バンドの唄とか)
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