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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

乱歩NO.16・・・<天国と地獄の美女~パノラマ島奇談/1982年>

2006-04-04 | 江戸川乱歩
天国と地獄の美女~パノラマ島奇談

放送:1982年テレビ朝日
監督:井上梅次
出演:天知茂 、伊東四朗、叶和貴子

正月の特別番組であったのであろう冒頭、明智小五郎=天知茂が新年の挨拶を述べる。乱歩の「パノラマ島譚綺」という壮大で支離滅裂な小説の映像化をテレビでやるとなると制作費の予算が付きやすい正月特番ということになるのであろうか?まあ、このシリーズはテレビ番組のため低予算のため、江戸川乱歩の幻想的空間を再現するには、いつも陳腐なのだが今回は、がんばっているのだ。

また、主人公である理想郷・パノラマ島を夢想する人見廣介=伊東四朗に入れ替わられてしまう大富豪・菰田源三郎=伊東四朗/一人二役の妻・千代子を演じる叶和貴子も入浴シーンなどヌードを披露し力が入っている。

さて、ドラマは、理想郷・パノラマ島を夢想する人見に、その妻=宮下順子とその愛人である似非宗教家・大野=小池朝雄という原作にはない創作の人物を絡ませながら展開する。似非宗教家・大野と人見の妻は情事を重ねるのだが、さすがロマンポルノ出身の実力派・宮下順子、その艶っぽい台詞回しにはドキッとさせられる。

夢想家・人見はこの二人の金銭欲によって誘導され、自身の夢を実現させるべく犯罪へと手を染めていく。そこに明智小五郎が加わり、事件は一気に解決に向かう。原作では正体を見破られた菰田こと人見が、人間花火となって自爆するのだが、本作品では、人見は死んでしまい菰田家に復讐を誓うその妻が最後まで残り、パノラマ島の女王の位置におさまってしまう。しかしそれも束の間、その野心を明智に見破られてしまい人間花火となって壮絶に自殺する。

先にも書いたのだが、叶和貴子さんスゴイ役をこなしています。美肌を披露する大サービス、そして人間花火として打ち上げられる、この役にかける女優魂を感じました。

物語は原作がベースとなっているため荒唐無稽、パノラマ島は美女が乱舞するハーレム&妄想のテーマパーク状態。当時、乱歩を知らない人がこの番組を観たらどう思ったのだろうか?辻褄を求めればそれはありえないことばかり、いつものシリーズとは違って特番のため2部構成で、放送時間も長い、テレビの前に長時間拘束されるのである。

茶の間のお父さんとしては、美女乱舞やヒロインのヌードはよいとしても、最後は人間花火でグロテスクな結末を迎えてしまう。正月早々、脳みそグチャグチャ状態の展開と結末、少々後味が悪い気もする。リアルタイムで観た時の視聴者の印象に興味が湧いた。

思うに、江戸川乱歩のこの傑作小説、それの映像化作品、おそらくはそこに意味を求めてはダメである。ただ映し出される映像に身をまかせていけばよいのだ。そうすれば、不条理で不可思議な“愉快世界”がそこに広がっているのだ。

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2 コメント

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天知 茂の江戸川乱歩シリーズ (明智 潔)
2008-02-28 13:31:48
僕は全25作品の中で、パノラマ島が一番好きな作品です。原作も好きです。原作の花火自殺のシーンを忠実に再現しているのには、仰天しました。しかも、それを叶 和貴子さんに演じさせたのに二度仰天!
それに、明智先生のお約束の死んだと思わせるシーンにしても、僕は本気で死んだと思ってしまいました。
何をとっても、驚きの連続です。
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コメント (飾釦)
2008-02-28 22:04:10
ありがとうございます。

私もパノラマ島は好きな作品です。このTV作品は2時間もの、天知茂が正月の挨拶をしている豪華バージョン。ですから叶順子さんもヌードを披露しています。こういったアナーキーなTV作品が少ないのは残念です。

またブログ見てやってください。
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