稀代の名探偵・明智小五郎は、この「D坂の殺人事件」によって初めて乱歩の小説に登場する。登場したての頃の明智のイメージは、決してスマートではなくむしぶっきら棒で無頓着、かつて石坂浩二が演じた横溝正史の金田一耕助を想起させてしまうのである。
◆作中における明智小五郎の紹介◆
“彼がどういう経歴の男で、何によって衣食し、何を目的にこの人世を送っているのか、という様なことは一切分からぬけれど、彼が、これという職業を持たぬ一種の遊牧民であることは確かだ。強いて云えば書生であろうか、だが、書生にしては余程風変わりな書生だ。いつか彼が「僕は人間を研究しているんですよ」といったことがあるが、其時私には、それが何を意味するのかよく分からなかった。唯、分かっているのは、彼が犯罪や探偵について、並々ならぬ興味と、恐るべき豊富な知識を持っていることだ。年は私と同じ位で、二十五歳を越してはいまい。どちらかと云えば痩せた方で、先にも云った通り、歩く時に変に肩を振る癖がある・・・・・・彼は人と話している間にもよく、指で、そのモジャモジャになっている髪の毛を、更にモジャモジャにする為に引掻廻すのが癖だ。服装などは一向構わぬ方らしく、いつも木綿の着物に、よれよれの兵児帯を締めている。”
◆作中における明智小五郎の部屋の紹介◆
“何のことはない、四畳半の座敷が書物で埋まっているのだ。真中の所に少し畳が見える丈で、あとは本の山だ、四方の壁や襖に沿って、下の方は殆ど部屋一杯に、上の方程幅が狭くなって、天井の近くまで、四方の書籍の土手が迫っているのだ。外の道具などは何もない。一体彼はこの部屋でどうして寝るのだろうと疑われる程だ。”
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■小説(D坂の殺人事件所収)
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◆作中における明智小五郎の紹介◆
“彼がどういう経歴の男で、何によって衣食し、何を目的にこの人世を送っているのか、という様なことは一切分からぬけれど、彼が、これという職業を持たぬ一種の遊牧民であることは確かだ。強いて云えば書生であろうか、だが、書生にしては余程風変わりな書生だ。いつか彼が「僕は人間を研究しているんですよ」といったことがあるが、其時私には、それが何を意味するのかよく分からなかった。唯、分かっているのは、彼が犯罪や探偵について、並々ならぬ興味と、恐るべき豊富な知識を持っていることだ。年は私と同じ位で、二十五歳を越してはいまい。どちらかと云えば痩せた方で、先にも云った通り、歩く時に変に肩を振る癖がある・・・・・・彼は人と話している間にもよく、指で、そのモジャモジャになっている髪の毛を、更にモジャモジャにする為に引掻廻すのが癖だ。服装などは一向構わぬ方らしく、いつも木綿の着物に、よれよれの兵児帯を締めている。”
◆作中における明智小五郎の部屋の紹介◆
“何のことはない、四畳半の座敷が書物で埋まっているのだ。真中の所に少し畳が見える丈で、あとは本の山だ、四方の壁や襖に沿って、下の方は殆ど部屋一杯に、上の方程幅が狭くなって、天井の近くまで、四方の書籍の土手が迫っているのだ。外の道具などは何もない。一体彼はこの部屋でどうして寝るのだろうと疑われる程だ。”
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すごい!たくさんの乱歩情報ですね!まだまだ私未熟者なので勉強させていただきます!
明智小五郎というと、友達が明智小五郎の家に遊びに行ったときに「そこら辺の柔らかそうな本を下にでも敷いて座ってくれ」というようなことを話したということを思い出します。