174『岡山の今昔』井原市
井原(いばらし)は、2005年3月1日、井原市、それまでの後月郡芳井町及び小田郡美星町の1市2町が合併してできた。県の西南部にあり、西は広島県に接す。江戸時代までは、備後と連れだって、話に上っていた。そこの中心地の福山市とは、古くから人びとの生活、経済が通じており、共に繁栄したと伝わる。
その面積としては、243.54平方キロメートルある。北部は、標高200~400メートルの丘陵地帯で吉備高原へと続く。南部には、小田川が、地域の南部を西から東へ貫流し、その流域の平野部に市の中心部がある。
気候としては、年間平均気温は約13~15℃、年間降水量は1,200ミリメートル前後だという。
この辺りの交通の便利は、「ほどほど」というところだろうか。倉敷市真備町からは国道486を西へ、広島県福山市神辺(かんなべ)町からは国道313号を東へと向かううちに、町並みが見えてくる。また、旧山陽道に沿うように走るのが井原鉄道であって、総社を出発して高梁川を渡り川辺宿(かわなべ)に近づく辺りからは、高梁川の支流の小田川にも沿っての旅路となり、概ね田舎の田園地帯を進むうち、やがて列車は井原市内の早雲の里荏原から井原の市街地へと入っていく。
これらの自然を含めての環境下、産業としては、かねてからの繊維をはじめ、自動車部品や電子部品、それに食器製造、鉱業なとが盛んだという。これらのうち、「デニムの聖地」とまていわれる背景には、高級ジーンズ生地を使っての井原オリジナルのジーンズやデニムシャツが生産されており、その一部は欧米にも輸出されるほどの品質と聞く。
次に、このうちの西部、美星地区は、国内でも大規模の天文台で広く知られる。好天なら、遠く瀬戸大橋まで望むことができるという。公開されており、口径101センチメートルの天体望遠鏡で、360度パノラマの星空を眺めることができるというから、一度覗いてみたい。
合併前の美星町の時代に、1989年に光害防止条例を全国に先駆けて制定した。その前文には、「多くの人々がそれぞれに感動をもって遥かなる星空に親しむよう宇宙探索の機会と交流の場を提供することが美星町及び美星町民へ与えられた使命」とある。
2021年11月12日には、岡山市内で「星空保護区」の証書授与式が開かれた。天体観測の好適地として知られる井原市の美星町地区で、国際認証制度「星空保護区」の認定を契機に新たなまちづくりが動き出したというのだ。しかも、単なる人集めではなく、「星空保護区」は夜空の環境保全に益するように、との目的意識がちゃんと宿っているというから、驚きだ。その社会的背景としては一体何があるのだろうか。
新聞報道によると、今ではかなり有名なっている、国連が唱導しているSDGs(持続可能な開発目標)に照らして、行政と民間が協力、相互乗り入れ、もしくは一体となっての自然生態系を守るための行動計画の策定を進める話なのだという。
また、旧芳井町は、井原鉄道でいうと井原を過ぎ、いずえ、子守唄の里高屋の辺りをいう。その西の先は、もう県境だ。大まかには、農村地帯なのであろうか。明治ごぼうは、この地の粘土質の赤土の中で生産される。聞けば、「普通のゴボウよりも太く育ち、食べると風味があって柔らかい」とのこと。地元では、これをラーメンなどに入れて、おいしく食べる食文化があるらしい。
(続く)
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井原(いばらし)は、2005年3月1日、井原市、それまでの後月郡芳井町及び小田郡美星町の1市2町が合併してできた。県の西南部にあり、西は広島県に接す。江戸時代までは、備後と連れだって、話に上っていた。そこの中心地の福山市とは、古くから人びとの生活、経済が通じており、共に繁栄したと伝わる。
その面積としては、243.54平方キロメートルある。北部は、標高200~400メートルの丘陵地帯で吉備高原へと続く。南部には、小田川が、地域の南部を西から東へ貫流し、その流域の平野部に市の中心部がある。
気候としては、年間平均気温は約13~15℃、年間降水量は1,200ミリメートル前後だという。
この辺りの交通の便利は、「ほどほど」というところだろうか。倉敷市真備町からは国道486を西へ、広島県福山市神辺(かんなべ)町からは国道313号を東へと向かううちに、町並みが見えてくる。また、旧山陽道に沿うように走るのが井原鉄道であって、総社を出発して高梁川を渡り川辺宿(かわなべ)に近づく辺りからは、高梁川の支流の小田川にも沿っての旅路となり、概ね田舎の田園地帯を進むうち、やがて列車は井原市内の早雲の里荏原から井原の市街地へと入っていく。
これらの自然を含めての環境下、産業としては、かねてからの繊維をはじめ、自動車部品や電子部品、それに食器製造、鉱業なとが盛んだという。これらのうち、「デニムの聖地」とまていわれる背景には、高級ジーンズ生地を使っての井原オリジナルのジーンズやデニムシャツが生産されており、その一部は欧米にも輸出されるほどの品質と聞く。
次に、このうちの西部、美星地区は、国内でも大規模の天文台で広く知られる。好天なら、遠く瀬戸大橋まで望むことができるという。公開されており、口径101センチメートルの天体望遠鏡で、360度パノラマの星空を眺めることができるというから、一度覗いてみたい。
合併前の美星町の時代に、1989年に光害防止条例を全国に先駆けて制定した。その前文には、「多くの人々がそれぞれに感動をもって遥かなる星空に親しむよう宇宙探索の機会と交流の場を提供することが美星町及び美星町民へ与えられた使命」とある。
2021年11月12日には、岡山市内で「星空保護区」の証書授与式が開かれた。天体観測の好適地として知られる井原市の美星町地区で、国際認証制度「星空保護区」の認定を契機に新たなまちづくりが動き出したというのだ。しかも、単なる人集めではなく、「星空保護区」は夜空の環境保全に益するように、との目的意識がちゃんと宿っているというから、驚きだ。その社会的背景としては一体何があるのだろうか。
新聞報道によると、今ではかなり有名なっている、国連が唱導しているSDGs(持続可能な開発目標)に照らして、行政と民間が協力、相互乗り入れ、もしくは一体となっての自然生態系を守るための行動計画の策定を進める話なのだという。
また、旧芳井町は、井原鉄道でいうと井原を過ぎ、いずえ、子守唄の里高屋の辺りをいう。その西の先は、もう県境だ。大まかには、農村地帯なのであろうか。明治ごぼうは、この地の粘土質の赤土の中で生産される。聞けば、「普通のゴボウよりも太く育ち、食べると風味があって柔らかい」とのこと。地元では、これをラーメンなどに入れて、おいしく食べる食文化があるらしい。
(続く)
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