🔶1175『自然と人間の歴史・世界篇』中国の景気そして労働動向(2020~2022)

2022-02-19 20:56:55 | Weblog
1175『自然と人間の歴史・世界篇』中国の景気そして労働動向(2020~2022)

 中国の2021年10~12月の実質GDP(国内総生産)成長率の速報値は、前年同期比で4.0%に鈍化した。参考までに、その前の2019年第4四半期からの歩み(前年同期比)をたどると、同5.8%、同マイナス6.8%、同3.2%、同4.9%、同6.5%、同18.3%、同7.9%、同4.9%(同7~9月期、この時時点で6期連続のプラス成長ながら、伸びは2期連続で減少、電力・移動制限が響く)と推移している。
 これを前期比年率ベースでいうと、6.6%のプラス。昨年通年の同成長率は、8.1%のプラスと10年ぶりの高成長となった。なお、その前の2020年は同2.3%、2019年は同6.0%であった。
 同年7~9月の4.9%増から減速し、20年4~6月の3.1%以来の低さとなったのは、新型コロナウイルスの感染再拡大をうけた行動制限が経済活動の足かせとなった。環境や不動産など政府の規制強化も響いた形だ。
 次に、月次統計をみよう。こちらでは、12月の小売売上高は名目ベースで前年比+1.7%、実質ベースでは同0.5%のマイナスだ。こちらでは、雇用の回復の遅れや当局の「ゼロ・コロナ」戦略が影響しているとみられている。
 他方、鉱工業生産は、前年比4.3%のプラスと底入れしてきているのではないか。こちらの方は、世界経済の回復が輸出を押し上げるとともに、同期に入っての当局による電力不足解消に向けた動き(石炭出荷増など)もあろう。なお、固定資産投資は、当2021年初来伸びがペースダウンしているものの、金融当局による金融緩和の動きにも助けられて投資活動が持ちこたえているを模様である。

 さらに、失業者統計によると、2021年からは5%前半に持ち直してきていて、なんとか雇用状況の全面的悪化を防いでいる最中のようである(注)。

(注)その定義としては、完全失業率は分母に就業者と完全失業者の計、分子に完全失業者をおくのはよいとして、中国の完全失業者となる者は、都市戸籍者のうち一定の期間継続して企業等に雇用されていた者のみであって、約2億9千万人以上の農村戸籍者のうち企業等に雇用されていた者(農民工失業者)は、調査からはずされてしまうとのこと。農民には農地があり、農業所得がある、つまり自営業者という扱いであることを考えると、仕方のないのとなのかも知れない。
 ちなみに、2019年時点の中国の都市労働者数は約4億4千万人だというから、その5%ということでは2200万人という話になろう。年代別では、16~24歳の都市住民若年層の失業率は、2018年以来10%を超えているとのこと。特に、2020年7月と8月には16.8%を記録した、これは新型コロナ禍が深刻になったことと関係があろう。
 それから、こちらにつき、2021年4月21日付け中日新聞による試算では、その実態は、次のように見積もられている。
 「全部の関係統計が分かる2019年12月の失業率はまだこれよりやや低かったのですが、12月には12.2%を記録していました。高失業率はコロナ禍以前から起きていることです。
 2019年の16~24歳の都市住民人口は8800万人*と推定されますが、その12.2%というと、失業者数は約1070万人**にも上ります。
 *8800万人:総人口14億人(2019年)のうち同世代人口比は11.1%なので実数は1億5540万人、このうち都市人口比は57%なので実数は約8800万人。
 **1070万人:8800万人×12.2%」(2021年4月21日付け中日新聞より引用)
 続いて、それからしばらく経っての2021年11月の全国都市調査失業率は5.0%となり、前月の4.9%から0.1ポイント上昇しての5.0%となった。同年11月での本地戸籍人口調査失業率は、5.1%(前月は4.9%)、外来戸籍人口調査失業率については、同月が4.8%、前月が4.8%となった。その中でも、16歳~24歳の失業率は、同年10月に14.2%であったのが11月には14.3%、同じように25歳~59歳の失業率は4.2%から4.3%に微増した。週平均労働時間については、同年10月に48.6時間だった、それが同年11月には47.8時間に減少。それから、同年11月の新規雇用増加数は、1207万人で政府の2021年年度目標を達成した形。

(続く)

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