万月堂通信

知床半島、標津町にある民宿「万月堂」から日々の出来事やアウトドアー情報(登山、シーカヤック、釣り、狩猟等)を発信します。

夜の訪問者

2013-04-20 | Weblog
 自分は晩酌派なので夕食を食べると眠たくなって早々と寝てしまう。特に年をとるにつれその傾向が強くなってきた。

 昨晩も早く寝たつもりである。

 いつもの様に夜中の二時ごろ目が覚めた。いつもならトイレに行ってすぐまた寝てしまうのだが、昨晩は気になることがあったので服に着替えて完全に起きることにした。

 寒い夜だったので消えていたストーブに火を点けてしばらく一服していた。


 ふと玄関の戸のガラスに外を走る車の明かりが映るのに気が付いた。

 うちの前の道は、昼間でも車の通りが少ないし、今はまだ通行止めで通り抜けできない。

 おかしいなと思っていると車の明かりが玄関の目の前で止まった。

 「こんな時間に誰だろう?」


 隣の部屋のカーテン越しに覗いてみたが、車の明かりがまぶしくて何も見えない。

 すると

 「ピンポ~ン」

 とチャイムが鳴るではないですか!

 今は深夜の二時半です。



 自分はなんの危険も感じず、条件反射で「は~い!」と玄関の鍵を開けて自ら戸を開けてしまいました。



 外にいたのは、目つきの鋭い二人の若者がいました。



 制服を着た警察官でした!!



 すわっ!!「ガサイレ」かと思いましたが、自分はそんなに悪いことはしていないはずです。


 一人の警官曰く

 「近くでコンビニ強盗があり、犯人が逃走中である。」

 「今日の宿泊者の有無?」「自分の氏名、生年月日、電話番号」を尋ねられました。


 その間もう一人の警察官が鋭い眼差しで家の奥や自分の服装などをチェックしているのを自分は見逃しませんでした。

 自分の応答が不自然がちになっているのが、自分でもわかります。(なにせこちらは
寝起きですから!)

 しかし答えながら自分の中で妄想が勝手な妄想が湧きはじめました。



 「ちよっと明かりが漏れていたので尋ねてみましたが、しっかり鍵をかけて何かあったら警察に連絡ください!」と言って去って行った。



 3時半頃よく訳の判らないまま寝ることにしました。すっかり目が冴えてしまったのでイビキをかいて寝ている女将をわざわざ起こして今の顛末を話しました。

 初めは真面目に聞いていた女将ですが、自分が勝手な妄想を話し始めるとあきれて再びイビキをかいて寝てしまいました。


 その後ますます自分の妄想は広がってしまい、眠れないまま朝になってしまった。



 起きてすぐテレビを点けてニュースを見ても一向にコンビニ強盗のニュースは出ませんでした。日中うちに来た人皆に聞いてもそんなの知らないと言うし。


 いったい何だったのか?



 夜中の二時半に人のうちのチャイムを押して尋ねること自体、警察に即通報してもいいくらいの異常事態だと思われて仕方ありません・・・!!



 

早春の「地の涯」へ、徒歩の旅 ⑤

2013-04-20 | 登山、スキー
 四日目

 順調なら今日中に相泊に戻れる予定で出発です。

 いきなりのゴロタ石と巨岩帯が交互に出てくるつらい海岸歩きが始まります。

 食料はもう半分以上消費しているし、水も常に川から取れるので最小限の水しか入れてないので、相当荷も軽くなったはずですが、肩にこたえます。



 岩陰を回り込んでビックリ!

 小舟が数十艘磯にかたまっていました。ウニ漁の小舟の群れでした。遠くから声が聞こえて来ます、久しぶりの他人の声です。


 今日最初の難所、「ペキンの鼻」の高巻きです。アイゼンを履いて登り出します。

 無事乗り越えるとアイゼンも泥だらけで、収納する前に川水で洗浄。


 「ペキンの鼻」から、歩いて来た方向を眺める。手前にはウニ漁の小舟が何艘か・・・



 干潮を利用して岩礁帯を回り込んでモイレウシの静かな湾で大休止。

 二日前に通過したポロモイ岳頂上



 ここからはしばらく巨岩帯の迷路が、始まる。デブリが被って踏み抜きの危険もあるが、クマの足跡を辿るのが正解なのか?迷い辿り着くとたいていクマの足跡に当たる。

 大岩を這い上がる所は、クマも苦労したのか滑っている爪痕が・・・

 前回はスキーを担いでいたのでかなりここで消耗した記憶がある。履いていたズボンもビリビリになってしまった。


 干潮が丁度昼間なので快調に岩礁帯を進めた。





 そろそろ岩礁帯も終わるだろうと思われた時、思いもよらぬ難所にあたりました。

 距離こそたいしたことないのに、足場が悪く被り気味で簡単に通過できそうにない感じです。

 二人ともこんな所があったなんて記憶にありません。結論として「流氷か時化で足場の岩がなくなり、こんなふうになったんだ!」ということにして、空荷で渡ってからロープで荷物を海上運搬しました。


 「また新たな難所の出現だね!」なんて言いながら歩き始めて苦笑です。

 すぐ岩の付け根には大きな穴が開いていて、ここが正解の近道でした。



 干潮時間を使って無事岩礁帯を越えられました。もう一日泊まってもいいのですが、なんとか明るいうちに帰れそうなので頑張ることにします。



 最後の難所「観音岩」。ここもクマが先行しています。上部に雪が残っていて、ロープを使って懸垂下降することに。

 前回はここでロープ回収に失敗し、あとで長男と一緒に回収に来てエライ目

 今回はちゃんとチェックして・・・

 降りるとそこにはシカの毛が散乱!クマがこの地形を利用してシカを捕まえ食卓にしていたと想像です。



 もう難所はありませんが、ここからの数時間が忍耐の浜歩き、ある意味一番の難関です。何も考えずにただ足を前に出しているだけです。

 たまに休んで水を飲んで、タバコ吸ってまた歩き出す。

 番屋が見えてくると雪道です。〆はカンジキを履いて


 18時なんとか明るいうちに相泊に到着。無事旅を終えることができました。