万月堂通信

知床半島、標津町にある民宿「万月堂」から日々の出来事やアウトドアー情報(登山、シーカヤック、釣り、狩猟等)を発信します。

靴底の底力!

2011-08-31 | 登山、スキー
 細かい火山灰が覆って滑りやすい急な上り坂、後ろを来る同行者が遅れているようだった。上りきって見ていると滑って歩きにくそうだった。その足元を見ると登山靴がみょ~にくたびれている。確か朝車に乗せたときは、これ新品の靴かな、と思えるようなきれいな靴だった記憶があった。

 「どうした?」
 「なんか靴が変です!」よく見てみると
 「・・・!」

 靴底がありません。しかも両方。

 本人、いつ靴底が取れたのかも解らなかったようです。

 なんとか薄いプラスティックの板はくっついているようだったので、テーピングしてとりあえず頂上まで往復する。再びテーピングして紐を靴に巻きつけ、下まで壊れないことを祈るのみ!

 下りながら靴底を捜すも見つからず、結構初期の段階で無くなったものと推測する。それにしてもそれに気づかないのもすごいです。

 聞いてみると「6年前に利尻に行った時に履いたっきり。」だそうだ。



 この靴歩くと石が当たる度に「コツコツ」高い音がして面白いです。

 靴底なんか無くても羅臼岳に登れるんだ!と悟った日でした。 

実りの秋、近し!

2011-08-25 | Weblog
 今朝、突然のガッシュの吠え声で目が覚めた。まだ真っ暗だが、間もなく朝を迎えようと言うくらいの時間だと思った。普段にない真剣な吠え方だったのですぐにクマが出たんだなと判った。

 窓を開け、耳を澄ますと笹原をガサガサかき分ける音が遠ざかっていった。
エサを探して移動しているのだろう。

 そろそろ周辺の川にはカラフトマスが遡上し始め、近くの草わらにはバライチゴが生りだしている。盛夏は案外クマの食料の乏しい時期だといわれる。


 高山帯では、7月初旬一斉に開花した植物に実が付いていた。コケモモはまだ硬い実だったが、ガンコウランの実はもう柔らかく、甘かった。

 今年もクマにとってエサの困らぬ実りの秋になるといいが。


 久しぶりの羅臼岳。朝6時頃、登山口の入林名簿に記入しようとしてびっくりした。なんとこの日の一番乗り。天気が悪かったせいもあろうが、この日の羅臼岳登山者は結局10人だった。我々は皆に抜かれてビリで下山!登山ツアーの大パーティーだったら一つでこの3~4倍あります。



 前回の釣りで書き忘れたことがありました。

 流れ込みが大きなプールになったような所で竿を出して間もなく、遠くにいた二羽のヤマセミの一匹がまっすぐ私に向かって飛んで来て、目の前1メーターくらいのところでホバリング。今にも竿に止まらんとするじゃありませんか!

 ヤマセミは美しく、結構大きいです。いきなり近くで目と目が合ってしまいました。あまりにもびっくりして大声を出してしまいました。威嚇されたのかとも思いましたが、顔色は怒っている様には見えませんでした。その一瞬が撮影できていたらよかったのですが・・・残念。

最後のヤマベ釣り

2011-08-23 | 釣り
 お盆休みにお客さんとヤマベ釣りに行ったのだが、さっぱり釣れず!

 今日は前回のリベンジと張り切る。上と下の橋に車を止めて釣り下った。天気は霧雨で寒いくらいだが、虫が出ないので助かる。

 さすがに橋の近くは日曜くらいに人が入ったらしく足跡が残る。

 徐々に型の良いヤマベが釣れ出した。

 新しいクマの足跡も見られる。


 この川では2回目の岩魚が釣れた。海に下ればアメマスとして知られるが、陸封されたものだと思う。27センチあった。




 左上が岩魚。

 車に着くまでに7時間くらいかかった。25センチを最長に20センチ以上のヤマベが沢山釣れ面白かった。尺ヤマベもいそうだったが、さすがにずるく、何回かかすった。大小合わせて30匹くらい釣ったがほとんどが型の良いヤマベばかりだった。

 自分としてはもうヤマベ釣り終了の感じです。

夏も終わりに!

2011-08-20 | Weblog
 ついこの間までティーシャツに短パン着てたはずなのに今は長袖じゃないと寒いくらいです。

 北海道ではお盆過ぎるとテレビでスタッドレスタイヤとストーブのコマーシャルが流れ始めます。


 羅臼コンブの漁もそろそろ終り。

 シマエビの棲家、アマモが美しい。




 誰もいない羅臼湖。


 つかの間の晴れ


 行き交うライダーから手を振られるが、手を離すだけで必死なんです。


知床岬徒歩の旅・・・最終日

2011-08-10 | 登山、スキー
 二晩世話になった洞窟を後にする。



 ペキンの鼻の手前の高巻きを慎重に抜け、黙々と歩く。暑くなってきた!

 ペキン川には瀬渡しできた3人が釣りをしていた。一本釣ったそうだ。

 徒歩の旅は、景色を楽しみながらと言うより、足元の石や岩ばかり見てるのでたまの休憩にしか景色を楽しむ余裕が無い。

 めがね岩のトンネルからは羅臼側の冷気が冷蔵庫を開けた時に出てくる様に吹きぬけて寒いくらいだった。ここからは薄くガスが出ていて少し涼しくなった。



 モイレウシの湾に回りこむと人の姿が見えた。

 地元羅臼の知人達3人がカヤックでマス釣りに来ていた。




 カヤックならここからなら1時間ちょっとで帰れる距離だが、我々にはこの先何箇所も難所が待ち受けているので重い腰を上げる。



 迷路のような巨岩帯をぬけ、岩礁を飛んだり、へつったりしながら最後の観音岩の下降を終え難所は越えた。


 大岩に隠れた冷たい湧き水で元気をつけ、後は相泊まで休まずに歩く。

 もう夕方でコンブ番屋の人達は片付けも終えた後なのか人影は少なく、薪のくべられた五右衛門風呂が1日の終わりを物語っていた。


 今日も10時間近くの行動だった。充実した三日間だった。
 

 
 

ヤマベ釣り

2011-08-09 | 釣り
 知床岬徒歩の旅の報告は一服と言うことで・・・今日、午前中時間があったので女将から魚を仕入れて来てくれと要請があったので川に行ってきました。





 25センチを筆頭に型の良い幅広のヤマベばかり釣れました。

 午後から用事がなかったらそのまま夕方まで続けてたでしょう!

知床岬徒歩の旅・・・2

2011-08-08 | 登山、スキー
 洞窟の一夜は快適だった。上半身はシュラフの外で充分だった。

 ただ洞窟の最奥なので波音と川の音が増幅されたまに目が覚めると気になった。

 今回私の足ごしらえは地下足袋だった。さあ出発と地下足袋を履き、こはぜをはめようとすると錆びていたのか次々に折れて行った。しょうがないので落ちている縄で地下足袋の上から足首に巻いて脱げないようにした。

 洞窟を出てしばらく歩きにくい巨岩帯を飛んで歩いていると前方の浜にクマがいるのが見えた。様子を見ながら近づくと海に入って沖に向かって泳いでいる。何してるのかと思ったら、仕掛けられている定置網に沿って覗きながらかかってる魚を探しているようだ。

 そのうち口にマスをくわえて戻って来た。浜に上がり美味そうに喰っていた。こちらもいなくなるのを待つわけもいかないので、近づいて追っ払うことにした。この段階で同行の女性は足が棒になってしまい、便意まで催してきたようだ。ひとフン張りさせてからクマにこちらの存在をアピールしたが、クマはあくびをしたり、ケツを掻いたり、しまいに胡坐を掻いて動く気配も無い。しょうがないので波打ち際をあくびしてる隙にそそくさとクマの横を通り過ぎて行った。

 念仏岩の高巻きは岬側の壁で行きも帰りも持参のロープで確保した。

 最後の難関、兜岩の高巻き、トウゲブキの黄色い花畑がきれいだった。



 峠から来し方を振り返る。


 よくここまで歩いてきたもんだと呆れかえる。

 ペキンの鼻から先は網走地方の天候エリアで陽射しが強く腕の日焼けがザックの上げ下ろしの度に擦れて痛くてしょうがない。

 峠から滑り台を滑るように降り、赤岩の浜に出る。しばらくすると二匹の犬が出迎えてくれた。


 すっかりテレビで有名になった藤本のばあさんの犬だ。

 今年は知床半島先端部はコンブがなく(今春の流氷の影響らしい)、赤岩には藤本のばあさん一人住むだけだ!
 挨拶しに行くとお茶をご馳走してくれた。寄るコンブもないので毎日家の片づけをしているそうだ。以前骨折した足が痛くて調子悪いと言っていた。


 いよいよ後少しで岬だ!灯台も見える。浜から草原台地に上がり、先端を目指して行くと前方から二人歩いてきた。環境省の腕章を着けていて「アンケートをとらせてください。」と言われた。全く興醒めしてしまった。

 ぶっきら棒に答えてから、気を取り戻してやっと着いた。


 アブラコ湾の流氷で無残に削られた突堤でのんびりする。帰りの難所越えを考えると達成感に浸ってばかりもいられず、後ろ髪を引かれながらも戻らなければいけない。

 赤岩のばあさんにお別れの挨拶をして帰り道を急ぐ。

 兜岩の高巻きの最後20メーターくらいは侵食が進んで以前より悪くなっている。手の爪を立てて這い上がりロープを出して確保した。


 本日も10時間近く行動した。

知床岬徒歩の旅・・・1

2011-08-07 | 登山、スキー
 今年は本当に雨の少ない年です。暑い日も多いです。

 8月一杯で北海道を離れる若いご夫婦のご依頼で相泊から知床岬まで歩いていくことになりました。潮の時間を調べると天気さへ良ければ三日間で行けそうなので予備日1日をプラスして計画を立てました。


 どうやら天気はしばらく良さそうです。相泊からはコンブ干しで忙しい番屋の前を邪魔にならないように歩きます。コンブ番屋群を抜けるといよいよ人のいない領域に入ります。

 崩れ浜のゴロタ石は非常に歩きにくい。

 最初の難所は観音岩



 太い漁用のロープをつかんで攀じ登る。


 段々暑くなってきて、汗が噴き出してきます。海中に浸かると冷えて気持ちよい。



 干潮時しか通過できない岩礁帯が続くので潮の干満時間を調べておかないとだめだ。



 壁のへつりも何とか落ちないで通過して、ペキンの鼻から絶景を見る。




 10時間近く歩いてやっと今回のベースキャンプ地に到着。ツバメ飛び交う洞窟の中だ。



 正面に見えるはずの国後島は霧の中にあって見えない。